その他の化学反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/03 09:56 UTC 版)
「水素化ウラン(III)」の記事における「その他の化学反応」の解説
ポリスチレン含浸水素化ウラン粉末には自己発火性がなく圧縮も可能であるが、水素-炭素比が好ましくないことから、代わりに水素添加ポリスチレンが1944年に開発された。 重水素化ウランは中性子点火器(英語版)の設計に利用できるといわれている。 水素減速自己制御原子力モジュール(英語版)の燃料 兼 減速材としてウラン235を5%に濃縮した水素化ウランを用いるという設計が提案されている。特許出願書類によれば、十分な温度・圧力にした水素ガスを粒状の金属ウランでできた炉心に通じることで水素化ウランが生成し、電力が発生するという。この設計では水素化ウランは核燃料としても減速材としても働く。すなわち、水素化ウラン235が核燃料として働き、他の水素化ウランが核分裂反応を持続できる程度に中性子を減速する。いったん臨界に達すると約800 ℃になるまで動作するが、そこで減速材である水素化ウランが熱分解しはじめるため中性子が減速されなくなり核分裂反応が止まる。すると温度が下がるため再び水素とウランが化合して水素化ウランが生成しはじめ、中性子が減速されて核分裂反応が再開される。このような仕組みにより自己制御性を持つとされる、 水素化ウランジルコニウム (UZrH) はウランとジルコニウムの複水素化物で、小型研究用原子炉TRIGA の燃料 兼 減速材として利用されている。 水素化ウランをジボランと共に加熱するとホウ化ウランが生成する 。また、臭素ととも300 ℃に加熱すると臭化ウラン(IV)が生成し、塩素と共に250 ℃に加熱すると塩化ウラン(IV)となる。フッ化水素とは20 ℃でも反応して四フッ化ウランとなる。一方、塩化水素や臭化水素、ヨウ化水素とは300 ℃で反応して塩化ウラン(III)、臭化ウラン(III)、ヨウ化ウラン(III)となる。アンモニアとは250 ℃で反応して窒化ウラン(III)となる。硫化水素とは250 ℃で反応して硫化ウラン(IV)となる。酸素とは20 ℃で反応して八酸化三ウランとなり、水と350 ℃で反応して酸化ウラン(IV)となる。 質量分析を行う際、水素化ウランによって質量数239にピークが現れることがあり、プルトニウム239と誤認されることがある。
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