『ゴータ綱領批判』とは? わかりやすく解説

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『ゴータ綱領批判』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 19:33 UTC 版)

カール・マルクス」の記事における「『ゴータ綱領批判』」の解説

ドイツではラッサール派の信望高まっている時期だった。インターナショナル衰退した今、アイゼナハ派リープクネヒトとしては早急にラッサール派と和解しドイツ労働運動一つ統合したがっていた。ドイツ内側にいるリープクネヒトから見ればマルクスエンゲルス外国にあってドイツの政治状況知らず妥協案を拒否する者たちであり、政治的戦術にかけては自分の方が把握できているという自負心があった。 すでにアイゼナハ派オーストリア加えたドイツ統一計画断念していたし、ラッサール派も1871年シュヴァイツァー党首辞任して以来ビスマルク寄り態度弱めていたから両者歩み寄るのはそれほど難しくもなかった。ただ対立期間が長かったので冷却期間がしばらく必要なけだった。だからその冷却期間過ぎた1875年2月にはゴータで両党代表会合持たれ5月にも同地大会開催のうえ両党を合同させることが決まったのである。 この合同に際して両党の統一綱領として作られたのがゴータ綱領ドイツ語版)だった。ラッサール派は数の上優位であったにも関わらず綱領作成に際して主導権を握ることはなかった。彼らはすでにラッサール民族主義的立場労働組合へ不信感放棄していたためである。そのためほぼアイゼナハ派綱領と同じ綱領となったリープクネヒトマルクスにもこの綱領送って承認得ようとしたが、マルクスはこれを激しく批判する返事リープクネヒト送りエンゲルスにも同じよう手紙を送らせた。 この時の書簡編纂してマルクス死後エンゲルス出版したものが『ゴータ綱領批判』である。マルクスから見れば、この綱領最悪の敵である国家正当性受け入れて労働対す正当な報酬」や「相続法廃止」といった小さな要求平和的に宣伝していれば社会主義到達できるという迷信立脚したものであり、結局は国家支え資本主義社会支え結果なるとした。 マルクスは、綱領無意味な語句曖昧な自由主義的語句散りばめられていると批判したとりわけ「公平」という不明瞭な表現強く反発した自分著作引用部分についてもあらさがし調子批判行ったラッサール派の影響受けていると思われる部分とりわけ強い調子批判した綱領中にある「労働者階級はまず民族国家の中で、その解放のために働く」については「さぞかしビスマルク口に合うことだろう」と批判し。「賃金の鉄則」はラッサールリカードから盗んだものであり、そのような言葉綱領入れたのはラッサール派への追従の証であると批判した。 また綱領が「プロレタリアート独裁」にも「未来共産主義社会国家組織」にも触れず、「自由な国家」を目標宣言していることもブルジョワ理想批判したリープクネヒトマルクスからの手紙をいつも通り敬意をこめて取り扱ったものの、これをつかうことはなく、マルクスエンゲルスも党の団結優先してこの批判公表しなかった。ゴータ綱領は、わずかに民族国家の中で」という表現について国際的協力理想へ向かう予備的段階」であることを確認する訂正がされただけだったゴータ綱領のもとにドイツ社会主義労働者党結成される至った。これについてマルクス口惜しがったし、この政党を「プチブル集団」「民主主義集団」と批判し続けたが、マルクス活動的な生涯はすでに終わっており、受けた打撃それほど大きいものではなかったという。

※この「『ゴータ綱領批判』」の解説は、「カール・マルクス」の解説の一部です。
「『ゴータ綱領批判』」を含む「カール・マルクス」の記事については、「カール・マルクス」の概要を参照ください。

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