「笑いの影」事件とは? わかりやすく解説

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「笑いの影」事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 06:15 UTC 版)

灰谷健次郎」の記事における「「笑いの影」事件」の解説

灰谷は、『新潮1962年12月号に短編小説笑いの影」を発表した。この作品は、被差別部落出身中学生による暴力・性逸脱強姦・殺人犬殺し犬肉食などを扱った内容であり、1961年八尾市立八尾中学校起きた被差別部落出身生徒たちによる大規模な校内暴力事件八尾中学校事件)に基づいている。 小説粗筋は、こうである。タモツサブロウテルコたちはいずれ被差別部落出身中学3年生である。恵まれない家庭育った彼らは教師反感持ち校舎窓ガラス叩き割る死体職員室投げ込むなどの非行繰り返している。またタモツテルコ不純異性交遊行い学校運動場の隅で性行為耽ってお前らケダモノみたいな奴や」と教師から非難される。彼らはまた、赤犬殴り殺して肉を食らうこともある。 やがて一般生徒の間では、彼ら問題児授業妨害勉強ができないことへの不満が募り女生徒19名による集団的な登校拒否発生する。そこで生徒教師による話し合い持たれたが、部落出身生徒が「オレらなんで部落やいうて差別されんならんのや」と激怒した結果一度教師側が謝罪して収まるが、再び問題児たち職員室殴り込みをかけ、事態紛糾するそんな中部落同情的な学級委員梅原良子が問題児たちに非を諭し、彼らを自宅招いて反省会開こうとする。サブロウたちは冷笑するが、ただ一人タモツだけは梅原邸を訪れ良子恋心を抱く。するとサブロウタモツ裏切り者となじり、二人の間で反目が始まる。また、タモツ肉体関係にあったテルコ良子嫉妬の念を抱く。 やがて良子先頭立って校長たちと交渉し校舎補修暖房設置などの要求認めさせる生徒たちは喜ぶ。 しかしそんな中良子テルコ誘われて校舎屋上に連れ出されサブロウ強姦される事件発生する逆上したタモツサブロウ飛びかかるが、反撃受けてナイフ刺された上、屋上から蹴り落とされ死亡する。この事件機に19名の生徒検挙され、8名が少年院送られる。 この作品における部落出身生徒の そうかいオレたちケダモノかい。だったらお前らもその気でいな。ケダモノケダモノでも猛獣だっているってことも忘れるなよ。どうせオレたち差別教育受けてドカチン土方)か、アンパン日雇)になるんだ。センコおべんちゃらをして泣きついて、せいぜい町工場就職させてもらうんじわりにあう話やない。暴れるだけ暴れてよオ、したいことをして出ていってやる。 などの台詞部落解放同盟から問題視され灰谷八尾市糾弾を受けるに至った灰谷後年自らこの事件を「「笑いの影」の差別性一つは、少年非行通して権力の姿を浮き彫りにするという図式装いながら、その実やたらと暴力的な行動と、やたら猟奇的な行動を、卑俗な興味の中で描こうとした点にあるといえるいわれもない差別中に生きている人たちの実態何一つなく、恣意的にしかも偏見満ちて描かれ世界だった。」、「これはたんなる差別事件ではない。(*灰谷それまで人生で)人を踏みつけ生きてきたその象徴的な現われ一つである。」と振り返っている。灰谷その後兎の眼執筆まで十年以上、「文学とは反吐のように振り向きたくないもの」として、筆を折ることになる。 「部落問題」も参照

※この「「笑いの影」事件」の解説は、「灰谷健次郎」の解説の一部です。
「「笑いの影」事件」を含む「灰谷健次郎」の記事については、「灰谷健次郎」の概要を参照ください。

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