《言われる》の敬語
「言われる」の敬語表現
「言われる」は、この言葉そのもので敬語表現として成り立っています。「言う」という動詞の未然形に、尊敬を表す助動詞「れる」が付いて「言われる」という一つの言葉になっています。「先ほど先生が言われたのは、〇〇という意味ですか?」のように使うことができます。「言われる」の元の形である「言う」には、他にも敬語表現があります。「言う」の丁寧語は、「言います」です。丁寧語は、「です」、「ます」、「ございます」を付けて丁寧な言い回しをする敬語です。「言う」の謙譲語は「申す」です。謙譲語は、自分に対してへりくだった表現を使うことによって相手を立たせ、敬意を表します。自分が「言う」場合に謙譲語を使います。「言う」の尊敬語は、「おっしゃる」です。尊敬語は相手を高める表現をします。目上の人が「言う」ことを敬語で表現したい場合は尊敬語を使います。先述した「言われる」も、「おっしゃる」と同じように相手を高める表現ですので、自分以外の他人に対して使う敬語です。
「言われる」の敬語の最上級の表現
「言われる」の最上級の敬語表現は、「仰せられる(おおせられる)」です。「仰せられる」は上記で紹介した「おっしゃる」よりも改まった言い方で、高い敬意を表しています。「会長はどのように仰せられましたか?」などのように使うことができます。日常的によく使われる敬語は「おっしゃる」ですが、かしこまった場所や高い敬意を表したい場合には「仰せられる」を使います。「言われる」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールの例文をご紹介します。「福岡支店
事務部山田様
お疲れさまです。
本社の〇〇(氏名)です。
先日お電話にて山田さんがおっしゃっていた書類を探しましたところ、書庫に保管されていることが分かりました。
取り寄せの申請を出しましたので、次回の社内便でお送りいたします。
また何かありましたらご遠慮なくお問い合わせください。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
署名」
続いては、手紙の例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
マーケティング部〇〇様
拝啓
寒冷の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社サービスをご利用いただき誠にありがとうございます。
本日は、「月次データ」をお送り申し上げます。
前回のミーティングで〇〇様がおっしゃっていた懸念事項についても、詳しく分析いたしました。
ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
寒い日が続きますがくれぐれもご自愛ください。
敬具
署名」
「言われる」を上司に伝える際の敬語表現
目上の人が何かを「言う」ことについて敬語表現したい場合は、「おっしゃる」が適しています。「言われる」でも間違いではありませんが、「おっしゃる」の方が多く使われる傾向にあります。「社長は、営業方針を変更した方が良いのではないかとおっしゃっています。」などのように使うことができます。社外の人に対して、社内の上司の話をする場合には、「申す」を使います。自分にとっては目上の人であっても、社外の人との話題に出す場合にはへりくだった表現をします。「そのまま話を進めてください、と弊社の佐藤が申しておりました。」などのように伝えます。「そのまま話を進めてください、と弊社の佐藤部長がおっしゃっていました。」と、自社の上司を高める表現をしてしまうのは間違いですので気をつけてください。「言われる」の敬語での誤用表現・注意事項
「部長が先ほど言われたのは〇〇社の件ですか?」という表現を聞いてどのような感じがしますか。「言われる」は正しい敬語であるはずなのに、敬語だと感じにくく、失礼だと感じる人もいるかもしれません。「言われる」は、「僕、おかあさんにいつも朝のしたくをもっと早くしなさいって言われるんだ」のように、人から言われたことをそのまま伝える際に使われることが多くあります。そのため、「言われる」を敬語として使っていても、敬意が相手に伝わりにくいです。また、単に「れる」や「られる」を付けただけの敬語は、「お(ご)~なる」や「特定形」の敬語よりも敬意が低いという認識が一般的です。(特定形とは、「食べる」を「召し上がる」と敬語表現するように、元々の動詞を変化させる形をとる敬語のことを言います。「おっしゃる」も、「言う」の特定形です。)ですので、「言われる」を敬語として使いたい場合には、近しい人など相手を見極めて使うようにしましょう。特に目上の人に対して「言う」を敬語で表現したい場合は、「おっしゃる」を使うほうが無難であると言えます。「おっしゃる」をもっと丁寧に表現したいと思って「おっしゃられる」としてしまうのは間違いですので注意が必要です。「おっしゃられる」の「られる」は尊敬語です。「おっしゃる」は「言う」の尊敬語ですので、「おっしゃられる」としてしまうと二重敬語になってしまいます。「おっしゃる」で充分に敬意が伝わりますので過剰な表現に気をつけるようにしましょう。
「言われる」の敬語での言い換え表現
「言われる」は、「お話される」や「お話なさる」と言い換えることができます。「今年の研修会では特別講師として〇〇先生がお話されました。」のように使うことができます。また、「お伝えになる」、「伝えられる」とも言い換えることができます。「出張スケジュールの変更について、部長にお伝えになりましたか?」といった感じで表現できます。尊敬語は相手を高める表現をする敬語ですが、敬意を表したい相手として目の前にいない人についても使うことができます。例えば「営業部の田中さん、社長賞を受賞されたんですね、すごいですね!ご本人にはもう伝えられましたか?」のように、その場に田中さんがいなかったとしても、敬意を表す表現を使うことができます。- 《言われる》の敬語のページへのリンク