《言われた》の敬語
「言われた」の敬語表現
「言われた」という言葉を敬語として使っている人も多いですが、実際には「言われた」を敬語表現として使うのは間違った使い方です。「言われた」の語尾には「れる」・「られる」という助動詞が使われています。この「れる」・「られる」には4つの使用法があり、その中の1つが尊敬の用法です。言葉のニュアンスが似ているので、よく誤用されてしまいます。「言われた」は受け身の言葉になりますが、この受け身の使い方には被害者を思わせるイメージがあるので、使われた相手に悪印象を与えてしまうことも多いです。「言われた」を敬語として使ってしまうと、逆に相手を不快にしてしまうかも知れないので、使う際には注意が必要です。「言われた」を敬語として使用する場合は、「おっしゃった」という言葉を使うのが一般的です。「おっしゃった」は「言った」の尊敬語に当たる言葉で、人から言われた言葉を伝聞の形で伝えるときに利用します。尊敬語は相手に敬意を表すための言葉なので、目上の人や社外の人に使用されることが多いでしょう。「おっしゃった」はもともと「ご命令があった」という意味の「仰せある(おおせある)」という言葉が、省略されて「おっしゃる」と記されるようになりました。「言われた」の敬語表現は、その場に応じて言い回しを変えていくとより敬意を与えられるようになります。能動文で「言われた」の敬語表現を使用する場合は、「お声掛けください」・「お伝え下さい」という形にするといいでしょう。受動文として「言われた」の敬語表現を使用するときは、「おっしゃっていた」の他に「との指示を受けました」などを使うのが一般的です。
「言われた」の敬語の最上級の表現
「言われた」の最上級の表現をしたいのなら、「おっしゃった」を使用するといいでしょう。実際に使う際には、「課長が今日の会議は延期だとおっしゃっていました」などのように、目上の方が言った内容を伝聞する形で用います。他には「貴方様のおっしゃる通りでございます。失礼いたしました」などのような形に変化して敬意を表すことも可能です。「言われた」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ここからはビジネスメールや手紙で「言われた」の敬語表現を用いる場合の、正しい使い方について紹介していきます。メールや手紙は書き言葉なので、冗長な表現は避け事実のみを記すようにするといいでしょう。能動文で「言われた」を用いる場合は、「次年度のスタジアムに関してのコンペに参加するようにおっしゃっていました」のように使ってください。受動文の形で「言われた」を使用するときは、「課長からプロジェクトの見積もりを出すように承りました」という形で使用するといいでしょう。「おっしゃった」を用いる場面でも、「ご指摘した」・「お話された」を使えば言い換えることが可能です。その場合は、「先生がお話された件は、後日検討いたします」・「お客様が先日ご指摘された点について、説明のためにメールいたします」のように使用してください。「言われた」を上司に伝える際の敬語表現
「言われた」を上司に対して用いる場合は、誰に言われたかが重要になります。発言したのが上司よりも身分が上な時や取引先だった場合は、「おっしゃった」を使用するといいでしょう。そうでない場合は、普通の丁寧語でも失礼に当たりません。「言われた」の敬語での誤用表現・注意事項
「言われた」の敬語表現である「おっしゃった」を表記する場合、「仰った」と漢字で表記するよりも日本語の「おっしゃった」と表記するのが一般的です。どちらの表現でも間違いではないのですが、漢字で「仰った」と記述してしまうとかしこまりすぎてしまったり読みづらかったりする場合があります。「おっしゃった」はビジネスの場面でよく利用される言葉ですが、誤った使い方をされることも多いので注意が必要です。ここでは「おっしゃった」が使われるときの間違えやすい点を紹介していきます。「おっしゃった」は相手への敬意を表す尊敬語なので、相手の行為に対して用いられる言葉です。ですから主語が自分になる場合には用いられません。社会人になりたての方が、こういった間違いを起こしやすいので注意してください。まちがっても「私がおっしゃった」のように使うことがないようにしましょう。社外の取引先に対して「おっしゃった」を利用するときにも注意が必要です。社外にいる場合は敬うべき対象が取引先に変わるため、たとえ自分の上司や先輩であっても尊敬語が使われなくなります。取引先と会話する際は、くれぐれも「私の上司がおっしゃるには」という使い方をしないようにしましょう。
「おっしゃった」を使用する際によくある間違いとして、敬語を二重に使用してしまう二重敬語というものがあります。例えば「おっしゃられる」・「おっしゃられた」と言う使い方が二重敬語に当たります。「おっしゃった」自体がすでに敬語表現になっているので、さらに尊敬語である「られる」・「られた」をつける必要がないのです。また「おっしゃった」の変化形として、「おっしゃる通り」という使い方があります。「おっしゃる通り」は尊敬語として正しい表現なのですが、シチュエーションによっては誤解を与えてしまうこともあるので注意が必要です。例えばビジネス上で上司に対してこの言葉を用いた場合、「おっしゃる通り」だけでは誤解を与えてしまう可能性があります。ですからその場合は、「おっしゃる通りです。ご指摘いただいた点は十分配慮致します」などという言葉を付け加えておくと、誤解されることが少なくなります。
「言われた」の敬語での言い換え表現
「言われた」の敬語での言い換え表現としては、「お聞きした」・「伺った」・「拝聴した」などが挙げられます。「お聞きした」は接頭語の「お」をつけた形になります。接頭語の「お」は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなれるのでとても使いやすいです。「伺った」は誰かから聞いた内容を、へりくだった形で相手に伝えることができます。「拝聴」は「聞く」の謙譲語で、「謹んで相手の言葉に耳を傾ける」という意味があります。- 《言われた》の敬語のページへのリンク