《未曾有》の正しい読み方
「未曾有」の正しい読み方
読み方:みぞう。本来は、「みぞうう」と読んでいたが、「うう」と同じ母音が連続していることから、慣用的に「みぞう」と読まれるようになり、一般化した。ただ、日本語では「オ段の仮名+う」を長音化して発音する場合がある(例:「おとうさん」を「おとーさん/おとおさん」と発音)ことから、「みぞう」も「みぞー」「みぞお」(もしくは「みぞうう」が「みぞーう」「みぞおう」)と発音されることがある。「みぞゆう」と読むのは誤り。「未曾有」の意味解説
「未曾有」は「未 (いま) だ曾 (かつ)て有(あ)らず」と訓読され、今まで一度もなかったこと、非常に珍しいこと、稀有なことを意味する。また、仏教経典を12に分類した十二分経の一つで、仏・菩薩による奇跡を記した経典(阿浮陀達磨)の意味もある。語源は、サンスクリット語の「奇跡」や「驚き」を表す「adbhuta(アドゥブタ)」で、仏教が中国に伝わった際に三蔵法師によって「未曾有」と翻訳された。仏の悟りや功徳の尊さを称える仏教用語であり、もともとは良い意味で使われていた。
なぜ「みぞう」と読むのか・理由
漢字の音読みには、漢音、呉音、唐音、慣用音などがあるが、「未」の漢音はビ、呉音はミ、「曾」の漢音はソウ、呉音はゾウ、「有」の漢音はユウ、呉音はウである。仏教語である「未曾有」は呉音で読むため、「ミ・ゾウ・ウ」となり、現代では「みぞう」と慣用的に読まれる。「未曾有」の類語・用例・例文
「未曾有」の類語には、「前代未聞」「絶世」「空前」「空前絶後」「前例のない」「類のない」などがある。本来は、ポジティブな意味での「今までにないこと」「非常に珍しいこと」を指す言葉であったが、鎌倉時代頃から良い意味・悪い意味の両方で使用されるようになり、現在は以下の例文のようにネガティブな文脈で使われることが多い。
・近年、未曾有の天災が各地で発生しており、大きな被害が出ている。
・着任以来、会社の業績を伸ばし続けていた社長の不祥事が発覚し、社内は未曾有の危機に直面した。
・世界情勢の急激な変化の影響を受けて、国内経済は未曾有の混乱に陥っている。
・これからの時代は、何が起こるかわからない。未曾有の事態に備えておかなければならない。
「未曾有」はポジティブな文脈で使うことも可能ではあるが、誤解を避けるために類語を用いて、「今年新発売した当社の商品は、空前の大ヒットとなっている」のような言い回しをすることもできる。
「未曾有」の英語用例・例文
「未曾有」の英語は「unprecedented」など。以下の例文のように、良い文脈・悪い文脈の両方で使うことができる。・The hurricane that hit the south area last month was an unprecedented disaster.(先月、南部地域を襲ったハリケーンは、未曽有の災害だった)
・The sudden drop in exchange rates has left the company in an unprecedented situation.(為替レートの急激な下落により、その企業は未曾有の事態に陥った)
・The healthcare industry has experienced an unprecedented boom.(ヘルスケア業界は未曾有(空前)の好景気に沸いている)
・Last year, the domestic economy achieved unprecedented growth.(昨年、国内経済は未曾有の(前例のない)成長を遂げた)
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