《持って行く》の敬語
「持って行く」の敬語表現
目上の人に書類などを「持っていく」ことを敬語で伝えたい場合はどのように表現するのでしょうか。その前に、「持っていく」の「いく」は、ひらがなと漢字のどちらで表記するのか、についてご説明します。前述の場合、「持っていく」の「いく」は本来の意味が薄れている補助動詞であり、補助動詞はひらがなで表記するという決まりがありますので「持っていく」となります。「持っていく」は、「ものを体から離さずに一緒に持つこと」を意味しています。「持って歩く」、「帯同する」、「携行する」などの類語があります。一方の、「持って行く」は「ものを他の場所に運ぶこと」を意味し、類語は「運ぶ」、「運送する」、「移動する」、「配送する」などです。「持って行く」の「行く」は、〇〇へ行く、と同じ意味で使われる実質動詞の「行く」なので漢字で表記します。今回は、自分で「持っていく」場合や目上の人が「持っていく」場合の敬語表現について取り上げるため、本文中の表記は「持っていく」で統一します。(見出しは「持って行く」としています。)「持っていく」の敬語表現についてみていきます。「持っていく」の丁寧語は、「持っていきます」です。丁寧語は、「です」、「ます」、「ございます」を付けて丁寧な言い回しをする敬語です。「持っていく」の謙譲語は、「お持ちする」、「持って参る」です。謙譲語は、自分に対してへりくだった表現を使うことによって相手を立たせ、敬意を表します。「持っていく」の尊敬語は、「お持ちになる」、「持っていかれる」です。尊敬語は相手を高める表現をします。
「持って行く」の敬語の最上級の表現
特に丁寧に「持っていく」ことを敬語で表現したい場合は、尊敬語または謙譲語を使いましょう。丁寧語は日常生活でも広く使われ、敬意の度合いはさほど高くありません。尊敬語と謙譲語はどちらも高い敬意を伝えることができます。尊敬語は自分以外の他人が「持っていく」場合に、謙譲語は自分が「持っていく」場合に使う敬語表現です。「持っていく」の最上級の敬語表現として、決まった表現があるわけではありません。前後の文脈や使う相手に合わせて適切な敬語表現を使いましょう。「持って行く」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「持っていく」の敬語表現を使ったビジネスメールの例文をご紹介します。「営業管理部
〇〇様
お疲れさまです。
法務部の〇〇(氏名)です。
契約書のチェックは問題なく終わりました。
後ほどお席まで書類をお持ちします。
その際、ご捺印をいただきたく存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
署名」
「株式会社〇〇
総務部〇〇様
拝啓
盛夏の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社製品をご愛用いただき誠にありがとうございます。
新製品のカタログをお送りいたします。
サンプル品のご用意がありますので、〇月〇日のアポイントの際にお持ちします。
通常のカラーのほかに、新色のラベンダー色もございます。
詳しくは同封のカタログをご覧ください。
今後ともご支援ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
署名」
「持って行く」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対して、自分が何かを「持っていく」ことを伝える場合は、「お持ちします」、「持って参ります」という敬語表現が適しています。例えば上司に、「〇〇の資料はどこに保管されているか」と聞かれた場合、「書庫に保管していますので取って参ります。後ほど部長のお席までお持ちします。」のように使うことができます。上司が何かを「持っていく」ことを表現する場合は、「お持ちになる」、「持っていかれる」です。「月次報告の資料は、部長が直接社長室に持っていかれる予定です。」などのように使うことができます。社内の上司のことを社外の人に伝える場合は注意が必要です。自分にとっては目上の人であっても、社外の人との話題に出す際にはへりくだって表現する謙譲語を使います。取引先との会話の中で、上司である山田部長が資料を持っていくことを伝える場合、「〇〇の件につきましては、弊社の山田が直接資料をお持ちします。」などのように伝えます。「〇〇の件につきましては、山田部長が直接資料を持っていかれます。」は間違いですので気をつけてください。
「持って行く」の敬語での誤用表現・注意事項
「持っていく」の間違いやすい敬語表現についてみていきます。「お持ちになる」を「お持ちになられる」としてしまう人がいますが、これは間違った敬語表現です。「なられる」は「なる」の尊敬語です。「お持ちになる」の「お」も尊敬語であり、「お持ちになられる」という言葉の中に尊敬語が二回使われています。これは二重敬語と言って、誤用になりますので注意しましょう。「持って行く」の敬語での言い換え表現
「持っていく」は、「届ける」と言い換えることができます。「届ける」の敬語表現は、「お届けします」や「お届けいたします」となります。「システム部の備品が必要でしたら、こちらからお届けします。」などのように使うことができます。また、「持参する」と言い換えることもできます。「持参する」は元々謙譲語に含まれるため、自分以外の誰かが「持っていく」ことに対しては使うことができません。自分が何かを「持参する」場合の敬語表現は、「持参いたします」となります。「次回のミーティングにはノートパソコンを持参いたしますので、弊社システムの実際の画面をご覧いただけます。」、といった感じで使うことができます。- 《持って行く》の敬語のページへのリンク