《持っていく》の敬語
「持っていく」の敬語表現
「持っていく」の敬語表現としては、「お持ちくださる」「持っていかれる」「お持ちになる」「持参する」「お持ちします」「持ってまいります」などが挙げられます。その中で「お持ちくださる」「持っていかれる」「お持ちになる」は尊敬語、「持参する」「お持ちします」「持ってまいります」は謙譲語に当たります。ここでは「持っていく」の敬語表現の意味を、1つ1つ解説していきます。「お持ちくださる」は取引先や目上の人にに対して、お願いをするときに使われる尊敬語の敬意表現です。「お手間をかけますが、書類を一式お持ちくださいませんか」のように使われます。ビジネスの場で使用するときは、先方や目上の方に失礼に当たらないように注意しながらこの表現を用いてください。尊敬語の敬意表現の2つ目は、「持っていかれる」です。この言葉を使用するときは、目上の人がどこかにものを持っていく場合になります。実際に使用するときは、「課長が大切な資料を持っていかれました」のようにするといいでしょう。
「お持ちになる」は来客や目上の方が何かを持っていく場合に、その動作を勧める形で使用する敬意表現です。例えば「雨が振りそうなので、雨合羽などをお持ちになるのはいかがでしょうか」のように使われます。「お持ちになる」には、相手を気遣うニュアンスもあるので覚えておくといいでしょう。「持っていく」の謙譲語の1つ目は、「持参します」です。「持参します」は取引相手へプレゼンテーションする時や、顧客に対してものを持っていくときに用いられます。人によっては堅苦しいイメージを持つかも知れませんが、うまく使えば相手の立場を高めることも可能です。
「お持ちします」は相手のために自分が何かを持っていったり、届けたりするときに使う謙譲語です。ビジネスの場面では何かを持ってくるように促されたタイミングで、「すぐにお持ちしますので、いましばらくお待ちください」のように使います。相手が目上の人の場合は、「お持ちになっていただくことは可能でしょうか?」のような相手に行動を促す敬意表現にする必要があります。謙譲語の敬意表現の3つ目は、「持ってまいります」です。自分が目上の人に何かを届けるときに使用する言葉になります。へりくだった表現のため、自分より立場が下の人や同期に対しては使わないほうがいいでしょう。
「持っていく」の敬語の最上級の表現
「持っていく」という敬語を最上級で使用するときには、敬語が重複しないように注意する必要があります。例えば「お持ちになられる」を使ってしまうと、接頭語の「お」と尊敬語の「られる」が重なってしまうので二重敬語になるのです。丁寧な言葉遣いであっても正しくない表現だったなら、相手に対して失礼に当たるので使用する際には注意が必要です。「持っていく」の敬語表現として正しいのは、「お持ちになってください」になります。「持っていく」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「持っていく」の敬語は日常でもよく使われるので、正しい使用法を覚えておくといいでしょう。もし口頭で間違えてしまったときにはその場で訂正することができますが、メールや手紙の場合は後に残ってしまうのでより注意が必要になります。メールや手紙で「持っていく」の敬語を用いるときは、主体が誰で持っていく場所がどこかを明確にする必要があります。誰かにものを持ってきてほしいときは、「ご持参いただきたく、お願いいたします」「お持ちください」とするのがいいでしょう。自分が持っていけないことを相手に伝えるときは、「ご持参することはできません」「ご対応いたしかねます」という表現が適切です。「持っていく」を上司に伝える際の敬語表現
「持っていく」を上司に対して使用するときは、「お持ちします」「持ってまいります」を用いるといいでしょう。どちらも話し手を低める謙譲表現の1つになります。ただし持っていくものが上司の利益にならない場合は、「持ってまいります」を使用したほうが適切です。なぜなら「お持ちします」は最終的に相手の利益につながる動作を表す言葉ですが、「持ってまいります」はそういった制限のない言葉だからです。「持っていく」の敬語での誤用表現・注意事項
「持っていく」の敬語表現の中で間違えやすいのは、「お持ちして」と「お持ちになって」の2つの言葉です。どちらも「持っていく」という意味を持っている点では同じですが、用法には大きな違いがあります。「お持ちして」の方は目上の人に自分が持っていくときに使用される言葉です。「お持ちになって」は目上の人の方が、ものを持っていく場合に用いられます。同じような言葉でも主体が逆転するので、使用する際には注意が必要です。「お持ちします」という表現を持ちいる場合にも注意が必要です。この言葉は相手のものを持っていくときに使われる敬語なので、自分の所有物を持っていく場合は「持って参ります」を使った方がいいでしょう。「お持ちして差し上げる」という表現は間違ってはいませんが、うまい表現ではありません。同じ場面なら「お持ちする」を使っても十分に意図は伝わります。丁寧にするあまり回りくどい表現にならないように注意しましょう。
「持っていく」の敬語での言い換え表現
「持っていく」の敬語の言い換え表現としては、「持参する」「ご用意する」「お届けする」などが挙げられます。「持参する」は謙譲語で、ある物品を別の場所に持っていくことをへりくだって表現した言葉です。「ご用意する」は用意するという動詞を丁寧に表現しています。「お届けする」は「届く」の謙譲語で、指定したものを届けに行くという意思を相手に伝える言葉です。- 《持っていく》の敬語のページへのリンク