《取りに行く》の敬語
「取りに行く」の敬語表現
敬語には、丁寧語、謙譲語、尊敬語の3種類があり、それぞれの場合の「取りに行く」の敬語表現についてみていきます。まず、「取りに行く」の丁寧語は、「取りに行きます」です。丁寧語は、「です」、「ます」、「ございます」を付けて丁寧な言い回しをします。「取りに行く」の謙譲語は、「取りに伺います」、「取りに参ります」です。謙譲語は、自分についてへりくだって表現することで相手をたたせ、敬意を表します。「取りに行く」の尊敬語は、「お取りにいらっしゃる」です。尊敬語は、相手を高める表現をすることで敬意を表します。「お取りにいらっしゃる」という言葉はなじみが薄く、妙な感じがするかもしれませんが正しい表現です。尊敬語は直接相手を高める表現をしますので、「取りに行く」の主語は、目上の人などの敬意を表したい相手になります。「取りに行く」の敬語の最上級の表現
目上の人が何かを「取りに行く」場合の最上級の敬語表現は、「お取りにいらっしゃる」です。自分から何かを「取りに行く」場合の最上級の敬語表現は、「取りに伺います」または「取りに参ります」となります。「伺う」と「参る」は、敬意を表す対象によって使い分けます。例えば、「来週はお茶の先生のお宅に伺う予定です。」この場合は、その場に先生がいてもいなくても使えます。どちらの場合であっても先生に敬意を表しているので「伺う」を使用しています。このように訪問先に敬意を表している場合は「伺う」を使います。一方で、アポイントがない場合は、「明日、新規の営業先に参ります。」のように「参る」を使います。この「参る」という敬語は、訪問先に対して使っているのではなく、聞き手に対して使っています。敬語表現には様々な解釈の仕方があり、「伺う」と「参る」では、「伺う」の方が敬意が高いとする考え方もあります。日常生活では、「伺う」も「参る」も同等の敬意を表しているという認識が一般的ですので厳密に使い分けなくても大丈夫ですが、色々な考え方があるということはご承知おきください。
「取りに行く」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「取りに行く」の敬語表現を使ったビジネスメールの例文をご紹介します。「営業部
〇〇様
お疲れさまです。
販売管理部の〇〇(氏名)です。
明日、販売員向け研修会を行う予定ですが、講師用マイクが足りなくなってしまいました。
恐縮ですが、営業部のマイクをお貸しいただけますか。
こちらから取りに伺いますので、ご都合の良い時間をお知らせください。
ご多忙中申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
続いては、手紙の例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
総務部〇〇様
拝啓
初秋の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社製品をご愛用いただき誠にありがとうございます。
製品Aの試用期間が〇月〇日で終了いたしますことをご報告申し上げます。
誠に勝手ながら、私のほうから取りに伺います。
尚、製品Aの使用感についてご意見いただければと存じます。
訪問に際しましてご都合の良い日時をお知らせいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
署名」
「取りに行く」を上司に伝える際の敬語表現
自分が何かを「取りに行く」ことを上司に伝える際には、「取りに伺います」、「取りに参ります」と表現します。上司が何かを「取りに行く」ことは、「お取りにいらっしゃる」と表現します。例えば、本日午後に上司が取引先の〇〇社に資料を取りに行く場合、「本日午後、部長は〇〇社に資料をお取りにいらっしゃいます。」とするのが正しい表現ですが、日常で「お取りにいらっしゃる」を使うことは少ないでしょう。特に、社内の口頭での会話は、丁寧語などの簡潔な表現が好まれる傾向にあるため、丁寧過ぎる表現や冗長な言い回しはあまり使われません。オフィスで実際に伝達する場合には、「部長は午後、〇〇社に行かれる予定です。」のような感じで短く簡潔にまとめられる場合が多いです。相手やシーンに合わせて適切な表現をしましょう。「取りに行く」の敬語での誤用表現・注意事項
「お取りにいらっしゃる」と同じように、「お」を付けてより丁寧に表現しようとして「お取りに伺う」や「お取りに参る」としてしまうのは間違いですので注意が必要です。「取りに伺う」や「取りに参る」の「取る」はそのままで失礼ではないのかと心配になるかもしれませんが、大丈夫です。「お取りにいらっしゃる」の「お」は尊敬語です。尊敬語は、相手を高める表現をします。自分が「取りに伺う」のに「お」を付けてしまったら、自分の行為を高めてしまうことになるので間違いになります。もし、より丁寧に表現したい場合は、文の始めにクッション言葉を付けることをおすすめします。クッション言葉とは、「申し訳ございませんが…」や「お忙しいところ恐縮ですが…」のような言葉です。このような相手を気づかう言葉を文の始めに付けることによって、やわらかい雰囲気で伝えることができます。「お忙しいところ恐縮ですが、私のほうから取りに伺います」とすると、「私のほうから取りに伺います」だけの場合よりも配慮のある温かい表現になります。「取りに行く」の敬語での言い換え表現
「取りに参ります」という言葉は、「頂戴に上がります」と言い換えることもできます。「頂戴」は「もらう」の謙譲語で、そのまま「何かをもらう」ことを意味しています。謙譲語ですので、自分がもらう場合に使います。「明日、資料を頂戴に上がりますのでよろしくお願いいたします。」のように使うことができます。- 《取りに行く》の敬語のページへのリンク