《参る》の敬語
「参る」の敬語表現
「参る」は「行く」の謙譲語にあたる言葉であり、すでに敬語表現の一つです。「行く」を敬語に変えて表現すると、尊敬語、謙譲語、丁寧語に区別することができます。相手を高める表現である尊敬語では、「いらっしゃる」や「おいでになる」「行かれる」という表現になり、自分をへりくだらせることによって、相手を高め、敬意を表す謙譲語では、「伺う」や「参る」「参上する」といった表現になります。語尾に「です」「ます」を付けて丁寧な言い方にする丁寧語では、「行く」に「ます」を付けて「行きます」と表現します。「参る」の敬語の最上級の表現
「行く」の敬語表現の中で、「参る」は謙譲語にあたる表現ですが、「行く」の謙譲語は他に「伺う」や「参上する」があります。会話の中の誰に対して敬意を表しているのかによって、「伺う」を用いるのか「参る」を用いるのかが変わってくるので、使い分けが必要です。相手や、相手に関することが主となる際に用いられる尊敬語で、「参る」のもとになっている「行く」を表現すると、「いらっしゃる」や「おいでになる」「行かれる」といった表現があります。「いらっしゃる」も「おいでになる」も「行かれる」も、上司や先方など、目上の人がどこかに行く際に用いられる言葉ですが、「いらっしゃる」と「おいでになる」は「行く」の他に「来る」「居る」の敬語表現でもあるため、場合によってはどの表現の敬語として用いているのか分かりにくくなってしまうこともあります。「行かれる」であれば「行く」の尊敬語表現であるので、「行く」という意味として伝わりますが、他の尊敬語に比べると、尊敬の度合いが軽度であるとされているので、より丁寧な表現をするのであれば、前後の文章でわかりやすくしながら「いらっしゃる」や「おいでになる」を用いるのがよいでしょう。
「参る」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
メールや手紙で「参る」を用いる際には、誰に対して敬意を表したいのかが重要です。曖昧なままメールや手紙を作成してしまうと、誤った表現をしてしまう恐れがあります。「目上の人」が「行く」という内容のメールや手紙を作成する際は、「いらっしゃる」「おいでになる」「行かれる」といった尊敬語を用いた文章になります。
・週末はどちらへいらっしゃいますか。
・次の学会にはおいでになりますか。
・新しくできた店舗には行かれましたか。
のように用いることができます。
「自分」が「行く」のであれば、「伺う」や「参る」「参上する」などの謙譲語を用いた表現になります。
・週末、お宅に伺います。
・先日、義実家に参りました。
などのような文章にすることができます。
「参る」を上司に伝える際の敬語表現
「参る」は「行く」の謙譲語表現であるため、上司に対して謙譲語を用いる場面であれば、そのまま用いても問題はありませんが、敬意を表す相手によっては尊敬語を用いて表現する場面もありますので、「誰が行くのか」、や「誰に敬意を表しているのか」は重要です。自分や同僚が行ったのであれば、謙譲語である「伺う」や「参る」を用いて、「○○が伺いました」や、「○○に参ります」などの伝え方になります。ですが、社長や先方など、上司よりも敬意を払う必要がある相手が「行く」のであれば、「いらっしゃる」や「おいでになる」などの尊敬語の表現になります。「参る」の敬語での誤用表現・注意事項
「行く」の謙譲語である「伺う」と「参る」は、用いることができる場面が異なります。「伺う」は行く先の相手に対して敬意を表すときに用いる表現であり、「参る」は話をしている相手に対して敬意を表すときに用いる表現です。例えば、部長に対して「先日社長のご自宅に伺いました。」は「社長」に対しての敬語表現であり、「先日社長のご自宅に参りました。」は話をしている「部長」に対しての敬語表現ですので、どちらも正しい表現です。ですが、同じように部長との会話の中で、敬意を表さなくてよい「妹」の話題になった際に、「先日妹の家に伺いました」は「妹」に対する敬語表現になるので誤用表現であり、「先日妹の家に参りました」は「部長」に対しての敬語表現なので正しい表現です。このように、同じ「行く」の謙譲語表現であっても、誰を立てて述べるのかによって、用いることができる表現が異なるので、注意が必要です。他にも、「行く」を尊敬語として表現しようとする際に、より丁寧な表現にしようと「いらっしゃる」を「いらっしゃられる」という表現で用いたり、「おいでになる」を「おいでになられる」と表現したりすることは誤用です。これは、もとの「いらっしゃる」「おいでになる」がすでに尊敬語として成り立っているので、さらに尊敬の助動詞である「れる」や「られる」を付け加えてしまうと二重敬語となってしまうためです。尊敬語のつもりで、「伺う」や「参る」を用いることも、場合によっては誤用となるので注意が必要です。相手を高めた意味で用いようと「○○へ伺ったことはありますか」や「○○に参りましたか」は誤用表現です。
「参る」の敬語での言い換え表現
「参る」のもとの表現である「行く」の敬語は、「いらっしゃる」や「おいでになる」、「伺う」や「参る」などと表現することができ、それぞれ、次のように言い換えることができます。・いらっしゃる
・いらっしゃいます
・いらっしゃいました
・おいでになる
・おいでになります
・おいでになりますか
・行かれます
・行かれました
・伺う
・伺います
・参る
・参ります
・参上する
・参上します
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