《参考にしてください》の敬語
「参考にしてください」の敬語表現
相手に資料や情報などを受け渡す際に、「参考にしてください」と伝えたいときはあると思います。「参考」は、物事を行うにあたって他人の意見や事例、資料などを引き合わせ、自分の考えを決める手がかりとすることを表す言葉です。「自分の渡したものが相手にとって参考になればいい」という意味を込めて、「参考にしてください」と言いたくなる人は多いかもしれませんが、実は多少丁寧さを欠いた表現なのです。「参考にしてください」を敬語表現に直すと「ご参考になさってください」となります。「ご参考にしてください」も間違いではありませんが、指示や命令として使われる「してください」よりも、「する」の尊敬語「なさる」を使った「なさってください」のほうが丁寧な表現となります。ほかにも「ご参考になりましたら幸いです」「ご参考にしていただければ幸いです」「ご参考にしていただければと思います（存じます）」「ご参考までに～をお渡しします」などの敬語表現があります。また「よろしければ」という前置きをすることで、参考にするかどうかはあくまでも相手の判断にゆだねるといったニュアンスが出ます。
「参考にしてください」の敬語の最上級の表現
あまり頻繁に使われている表現ではありませんが、「参考にしてください」の敬語の最上級の表現としては、「ご参考いただければ幸甚です」というものがあります。「幸甚」は「幸い」をさらに丁寧に、かしこまった形で表現した言葉です。それだけに、多用すると大げさな印象を与えてしまったり、逆に軽率と受け取られてしまうことがあります。状況に合わせてほかの表現と使い分けましょう。「幸甚です」が使われる表現としては、ほかにも「お招きいただき幸甚です」「ご返信いただけますと幸甚です」などがあります。「幸甚」はフォーマルな場面で使われやすい、改まった言葉であることを頭に入れておきましょう。
「参考にしてください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「参考にしてください」の敬語表現を取り入れた、ビジネスメールや手紙で使用できる例文を紹介します。・ご依頼をいただいていた件について、資料を添付ファイルにてご案内いたします。是非ご参考になさってください。
・過去のデータが入った資料を添付しております。よろしければご参考になさってください。
・お問い合わせいただいた見積もりを送付いたします。ご参考になりましたら幸いです。
・先日お話いたしました商品の資料を同封いたします。ご参考にしていただければ幸いです。
・弊社の○○というサービスについての資料を同封いたしました。ご参考にしていただければと思います。
・ご参考までに、今後の日程を記載した資料を添付いたします。
「参考にしてください」を上司に伝える際の敬語表現
「参考にしてください」を上司に伝える際にも、「ご参考になさってください」や「ご参考にしていただければと思います」のような敬語表現を使うことができます。「よろしければご参考になさってください」のように伝えることで、へりくだった印象がより強まります。ただし「参考に」と言う場合、あくまで補足資料としての扱いになるため、必ず見てもらいたいものや確認してもらいたいことがある場合、「ご確認ください」などの表現を使用したほうがいいでしょう。「参考にしてください」の敬語での誤用表現・注意事項
「参考にしてください」の敬語を使う際に知っておきたい、誤用表現や注意事項があります。「参考にしてください」の敬語として「ご参考ください」という言葉を使うケースが見受けられますが、これは間違った表現です。似た表現に「ご参照ください」「ご確認ください」というものがありますが、この場合は「参照する」「確認する」といった動詞が存在するため、誤用にはなりません。「参考する」という言葉がないので、「ご参考ください」と言うと不自然に聞こえてしまうのです。あまり気にせずに使用されていることもありますが、目上の相手に対して使うのはなるべく避けたほうがいいでしょう。
「参考にしてください」の敬語での言い換え表現
「参考にしてください」の敬語での言い換え表現としては、ほかにも「ご参照ください」「ご覧ください」「ご高覧ください」などがあります。「参照」は「参考」と似た意味で使われますが、特にメインの資料がある場合に、別の資料を補足として「ご参照ください」と言うことができます。「ご覧ください」は相手に何か見てもらいたいものがあるときに使えます。「参考にしてください」と比較すると、「できれば」「よければ」というニュアンスが薄れ、見てほしいことがより伝わる表現といえます。「ご高覧ください」は「ご覧ください」のより丁寧な表現です。資料を一通り最後まで確認してもらいたい場合には「ご一読ください」、さっと見てもらいたい程度であれば「お目通しください」などを使うこともできます。「ご確認ください」も内容を確かめてもらいたいときや、何かをはっきりと確認してもらうときなどに使える表現です。「参考にしてください」という意味を持つ敬語表現にはそれぞれ違ったニュアンスが含まれるため、場面や状況に合わせた表現を選んで使いましょう。
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