自転車
『自転車泥棒』(デ・シーカ) 失業者アントニオは、ポスター貼りの仕事を得た。彼は質屋から請け出した自転車に乗ってローマ市街を走り、ポスターを貼ってまわる。ところが作業中に、大事な自転車を盗まれてしまう。警察に訴えるが、「自分で捜せ」と言われる。アントニオと6歳の息子ブルーノは、終日歩き回って自転車を捜す。犯人らしい男を見つけたものの、証拠がなく、追い返される。いらだったアントニオは、とうとう街角の自転車を盗み、それに乗って逃げる。しかし大勢に追いかけられ、捕らえられる。
『美しき自転車乗り』(ドイル) 独身中年男カラザースの娘の家庭教師として、スミス嬢は雇われた。彼女は、駅からカラザース邸までの田舎道を、自転車で往復する。怪しい顎鬚の男が、自転車に乗って追いかけて来る。スミス嬢が止まれば男も止まり、一定の距離を置いてつけてくるのだ。彼女は気味悪く思い、ホームズに相談する〔*顎鬚の男は、変装したカラザースだった。カラザースはスミス嬢を恋し、彼女を誘拐者から守ろうと、監視していたのだ。しかしスミス嬢には、相思相愛の若い婚約者がいた〕。
『二十四の瞳』(壺井栄) 昭和3年(1928)4月、瀬戸内海べりの寒村の分教場に、女学校の師範科を卒業した大石久子先生が赴任する。大石先生の家から分教場までは片道8キロもあるので、大石先生は洋服を着て、自転車をこいで通う。自転車は5ヵ月の月賦で買い、母親の着物を黒く染めて洋服に仕立てたのだったが、村の人たちはそうとは知らず、「おてんばで自転車に乗り、ハイカラぶって洋服を着ている」と思った。
『自転車日記』(夏目漱石) 1902年秋。「余(夏目漱石)」は神経衰弱にかかり、部屋に閉じこもっていたので、下宿の婆さんから「自転車乗りの稽古をして、神経病を退治しなさい」と勧められた。しかし自転車の操縦はたいへんな難事業で、「余」は幾度も転倒した。大落5度、小落その数を知らず、ある時は石垣にぶつかって向こう脛を擦りむき、ある時は立ち木に突き当たって生爪を剥がし、ついに物にならなかった。
『自転車』(志賀直哉) 「私」の少年時代、日本ではまだ自転車製造ができず、米国製の「デイトン」という自転車を、祖父にせがんで買ってもらった。160円だった〔*10円あれば、1人1ヵ月の生活費になった時代である〕。3~4年乗ってから、「私」は神田の萩原という店で新車を買うつもりで、デイトンを50円で下取りしてもらった。しかしその帰り道、「私」は他の店で見た新車を気に入って買ってしまった。「私」は祖母から10円もらい、違約を詫びに萩原の店へ行った。萩原は5円だけ受け取った。
『現代民話考』(松谷みよ子)3「偽汽車ほか」第3章の1 雨上がりの深夜。男の人が市内のある坂を自転車で登って行くと、急にペダルが重くなる。「あれ」と思ってふり返ったが、別に変わったことはない。また少し登り出すと、再びペダルが重くなる。もう1度ふり返ったら、ザンバラ髪の女が、自転車の荷台を引っぱっていた(福島県郡山市)。
*後ろから袖を引く→〔衣服〕9の『妖怪談義』(柳田国男)「妖怪名彙(ソデヒキコゾウ)」。
★6.自転車の曲乗り。
『或る精神異常者』(ルヴェル) 自転車に乗って旋回し、大跳躍し、逆立ちをする曲芸師は、毎夜同じ座席で見物する1人の客を見つめることによって、精神集中を行なっていた。それを聞いた客の男は、翌晩、曲乗りがまさに始まろうとする瞬間、ごく自然な動作で席を立ち、出口へ歩いて行った。曲芸師はバランスをくずし、真っ逆さまに墜落した。
★7.空飛ぶ自転車。
『E.T.』(スピルバーグ) E.T.を宇宙へ還すために、エリオット少年が自転車にE.T.を乗せて走る。その後をNASAや警察が追う。E.T.の力で自転車は空を飛び、宇宙船が待つ森へ到る。
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