和歌山県 地理・地域

和歌山県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 13:44 UTC 版)

地理・地域

  • 日本近畿地方
  • 隣接都道府県:大阪府 - 奈良県 - 三重県 - 兵庫県 - 徳島県
  • 総面積は4726km2、このうち山地が3832km2で、総面積の約81%を占める[1]
  • 紀伊山地は、中央に大峰山脈が南北には連なり、奈良県との県境を紀和山脈(陣ヶ峰:1106m、護摩壇山:1372m、安堵山:1184m)を経て果無山脈に続き、それから分かれて竜門・長峰・白馬・虎が峰などの山脈が北から南へ並行し、さらのその南に大塔山 (1122m) を中心とする山塊が半島の南端近くまで迫っている[1]
  • JR西日本紀勢本線(きのくに線)が海岸沿いを走り、和歌山線紀の川沿いを東西に走る。紀勢本線にほぼ併走する形で、国道42号が紀伊半島を取り囲んでいる。
  • 東牟婁郡北山村の全域と新宮市のうち熊野川町玉置口・熊野川町嶋津が飛地で、三重県と奈良県にはさまれた場所にある。
  • 潮岬は本州の最南端に位置し、太平洋から瀬戸内海へと続く海に面する。中央構造線と並行する紀の川沿いの中規模な平野を除きそのほとんどが山であり、道路・鉄道は海岸線に沿って走る部分が多い。
  • 中部南部は奈良県、三重県へと繋がる山塊にあり、内陸に向けて標高は高くなる。
  • 大きい河川は紀の川が平野を流れる以外、有田川日高川富田川日置川古座川熊野川のいずれもが山間を非常に蛇行して流れ、険しいV字谷を形成する。地形は南の方がより急峻になっている。
  • よく発達した照葉樹林に覆われ、崖地ですら森林が発達する。しかしその多くは伐採されて、人工林になっている。それでも人家周辺の二次林的なシイ林なども含めれば、自然林が残っている地域である。近年では、山林でシカ、農村部でアライグマなどの食害が目立ち始めている。
  • 海は特に南部では黒潮の影響が強く、串本付近ではサンゴ礁に近い状況の地域がある。また、チョウチョウウオのような熱帯に棲む魚も、南部沿岸部では釣れることがある。詳細については紀伊半島を参照のこと。

気候

和歌山県は、紀伊半島沖を流れる黒潮の影響を受けるため年間を通して温暖である。ただ、山間部に限るとは厳しい寒さとなる。その中で最も寒い高野山は、冬場の平均気温が青森市函館市といった北日本並みとなるほか、が降ることも多い。これに対して沿岸部には無霜地帯が存在する。からにかけて台風の襲来が多く、1951年昭和26年)以降の台風上陸数は鹿児島県高知県に次いで3番目に多い県である。中でも「伊勢湾台風」では、紀伊半島や東海地方などに甚大な被害をもたらした。

瀬戸内海式気候に属し、梅雨期と台風期を除けば降水量が少なく、年間日照時間が長い地域となっている。夏になると、和歌山市など平野部では連日のように熱帯夜が続き、かなり寝苦しい夜もあるものの、昼間はそれほど暑くはならない。しかし、紀伊山地和泉山脈金剛山地の間に位置する北東側は内陸性気候(夏と冬、昼と夜の気温差が大きい)の傾向があるため、猛暑になることがある。1994年8月8日に伊都郡かつらぎ町で40.6℃(1933年7月25日に山形市で観測された当時の日本歴代最高気温記録である40.8℃に次ぐ記録)を観測している。なお、北東側は寒暖差を利用したブドウをはじめとする様々な果物の栽培が行われている。

冬は晴れることが多いため、放射冷却が強まった朝は平野部でも冬日になることがある。そのうえ、強い冬型の気圧配置になると雪雲が和歌山市内に流れ込むことがあり、ごく稀にうっすらではあるが積雪することがある。さらに、南岸低気圧が紀伊半島沖を通過した時にはまとまった積雪となることもあり、平野部で10cm以上の積雪はほぼすべて南岸低気圧によるものである。

  • 県中部(紀中)

太平洋側気候に属し、年間日照時間が長い地域となっている。年間降水量は2,000mm程度でそれほど多くない。御坊市など沿岸部の夏は蒸し暑いが、海洋性気候の特徴である海風が吹き、ほとんど猛暑にならないため比較的過ごしやすい(東牟婁郡串本町潮岬など県南部の沿岸部にも同様の特徴がみられる)。

太平洋側気候に属し、年間日照時間が2,200時間を超え、全国1位2位を争うほど日照時間が長い地域となっている。一方、年間降水量はかなり多く、特に東側は4,000mmにも達する日本でも有数の多雨地帯である。夏から秋にかけて台風が頻繁に通過することから「台風銀座」と呼ばれている。また、台風本体が遠くにある場合でも、南から流れ込む暖湿流の影響で南東側を中心に大雨を降らせて、被害をもたらすことがある。

和歌山県各地の平年値(統計期間:1971年 - 2000年、出典:気象庁・気象統計情報
平年値
(月単位)
紀北 紀中 田辺・西牟婁 新宮・東牟婁
和歌山 かつらぎ 高野町
高野山
有田川町
清水
湯浅 田辺市
栗栖川
田辺市
本宮
白浜 白浜町
日置川
新宮 那智勝浦町
色川
古座川町
西川
串本町
潮岬
平均
気温
()
最暖月 27.8
(8月)
26.2
(8月)
22.3
(8月)
24.9
(8月)
25.2
(8月)
27.2
(8月)
26.8
(8月)
25.0
(8月)
26.5
(8月)
最寒月 5.9
(1月)
3.7
(1月)
−0.5
(1月)
2.7
(1月)
3.8
(1月)
7.1
(1月)
7.0
(1月)
4.1
(1月)
7.9
(1月)
降水量
(mm)
最多月 208.5
(9月)
223.3
(6月)
281.9
(6月)
287.8
(6月)
238.9
(6月)
357.1
(6月)
449.4
(9月)
240.0
(9月)
307.6
(6月)
437.5
(9月)
494.1
(9月)
456.4
(9月)
358.7
(6月)
最少月 41.3
(12月)
43.2
(12月)
63.4
(12月)
60.5
(12月)
47.0
(12月)
68.3
(12月)
65.6
(12月)
58.6
(12月)
70.4
(12月)
74.6
(12月)
81.6
(12月)
87.1
(12月)
83.8
(12月)

自然公園

地域区分

和歌山県には以下の9市6郡20町1村がある。町の読み方はすべて「ちょう」、村は「むら」である。

紀伊国の大部分を近代以降引き継ぐ和歌山県の地域区分には、紀北紀南の二分法と紀北・紀中・紀南の三分法との2つが用いられることが多い[2]。紀北・紀南の二分法は、近世和歌山藩における口六郡・両熊野という地域区分をほぼ引き継いだものである[3]

紀北とは紀伊国北部の略とされ、有田郡ないし日高郡以北を指す[4]。それに対し、紀南とは狭義には西牟婁郡田辺市を含む)および東牟婁郡新宮市を含む)を指し、二分法を採る場合には日高郡以南とする[5]。紀中とは、第二次世界大戦後に地域開発上の要請から生じた新しい概念で[6]、紀北と紀南の境となる有田郡有田市を含む)と日高郡(御坊市を含む)を指す[7]

しかし、こうした本来の用法があるものの、これら一群の地域区分が何を指すのかが曖昧となっている状況もある[8]。例えば、紀南を指して「南紀」と呼ぶ場合があるが、南紀とは南海道紀伊国の略に由来して紀伊国全体を指す語であり[5]、紀南は南紀に対し下位の概念である。こうした混同は、戦後の観光ブームの中で、観光上の要請から和歌山県南部を表す観光用語として南紀が広められ、昭和40年代ごろの昭和元禄と呼ばれた経済成長の時代に南紀と紀南が同義語として用いられるようになった[9] もので、和歌山県在住者でも紀南と南紀が混同されることもある[10]

また、田辺市・西牟婁郡・東牟婁郡・新宮市を開催地として1999年(平成11年)に開催された南紀熊野体験博の会期中に、伊都郡橋本市が「北紀高野」を謳って観光キャンペーンを行ったが、「北紀」という名称には歴史的に根拠がないものであることから、批判がなされた[11]

一方、県による行政的な地域区分はに基づく7区分で、それぞれの地域に振興局を設置している。

地名の由来
「和歌山(わかやま)」の語源由来は、「和歌浦」の和歌と「岡山」の山との合成語とされている。豊臣秀吉の命名。

北部

海草(かいそう)地域
那賀(なが)地域
伊都(いと)地域

中部

有田(ありだ)地域
日高(ひだか)地域

南部

西牟婁(にしむろ)地域
東牟婁(ひがしむろ)地域

注釈

  1. ^ a b 兵庫・徳島の2県とは海上を隔てて隣接。
  2. ^ 他の一部は三重県となっている。
  3. ^ 需要に応じてジェイエアによる運航便もある。

出典

  1. ^ a b 小山靖憲「風土と人間」、小山靖憲・竹内雅人・栄原永遠男弓倉弘年笠原正夫高嶋雅明『和歌山県の歴史』山川出版社 2004年
  2. ^ 金田・石川[2006: 509]
  3. ^ 藤本・山陰[2003: 2-3]
  4. ^ 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編[1985: 362]
  5. ^ a b 「角川日本地名大辞典」編纂委員会[1985: 356]
  6. ^ 平凡社[1983: 520]
  7. ^ 「角川日本地名大辞典」編纂委員会[1985: 355]
  8. ^ 藤本・山陰[2003: 2]
  9. ^ 桑原[1999: 300-305]
  10. ^ 桑原[1999: 299]
  11. ^ 桑原[1999: 300]
  12. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、85頁。ISBN 9784816922749 
  13. ^ 県の推計人口90万人切る 出生は死亡の3分の1、和歌山:紀伊民報AGARA|和歌山県のニュースサイト”. www.agara.co.jp. 2023年11月28日閲覧。
  14. ^ 会派別名簿 和歌山県議会
  15. ^ 都道府県別にみた製造業の現状 和歌山県 経済産業省工業統計調査 2011年3月1日
  16. ^ 平畑玄洋 (2016年1月9日). “よみがえる紀の国:8 「紀州肌着」で産地広くPR、「信和ニット」”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 和歌山版 
  17. ^ Eテレラジオ第1ラジオ第2NHK大阪放送局がカバーしている。
  18. ^ 日本放送協会放送文化研究所放送情報調査部『NHK年鑑 '91』日本放送出版協会、1991年、495-496頁。 
  19. ^ “県と中国の四川省が友好都市提携”. テレビ和歌山. (2022年1月27日). オリジナルの2022年1月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220129121205/https://www.tv-wakayama.co.jp/news/detail.php?id=67690 2022年1月29日閲覧。 
  20. ^ a b 和歌山県名誉県民条例 - 和歌山県、2020年4月17日閲覧。
  21. ^ 和歌山県名誉県民条例施行規則 - 和歌山県、2020年4月17日閲覧。
  22. ^ a b c d 仁坂知事・たま駅長に「県民栄誉賞」検討 - 和歌山放送ニュース、2020年4月17日閲覧。
  23. ^ a b c d 和歌山県観光振興実施行動計画(76ページ)
  24. ^ わかやま県政ニュース 声優・中島由貴(なかしま ゆき)さん 「和歌山県ふるさと広報大使」就任に係る委嘱状交付式について






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