祭典と行事
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式年遷宮では、多くの祭典と行事が行われる。 下記の年月日は、左側が第61回神宮式年遷宮の日程、右側が第62回神宮式年遷宮の日程である。年月日が記されていないものは、未決定のものである。 なお「※」印が付されたものは、御治定(ごじじょう)といい、天皇が日程を定める。 山口祭(やまぐちさい)※ 1985年5月2日 / 2005年5月2日 遷宮の最初の行事。用材を切り出す御杣山の山口にある神を祭る儀式。 現在、用材は木曽山中から切り出すが、この儀式は古来のまま内宮は神路山、外宮は高倉山と、いずれも境内背後の山で行われる。 木本祭(このもとさい)※ 1985年5月2日 / 2005年5月2日 心御柱(しんのみはしら)にする木を切り出す前に、その木の神を祭る儀式。 深夜に行われ非公開。 御杣始祭(みそまはじめさい) ウィキソースにみそまはじめ祭の原文があります。 1985年6月3日 / 2005年6月3日 御樋代(御神体を納める容器)にする木を切り出す行事。 前回と同じく、長野県上松町の赤沢自然休養林で行われる。 用材は、「三ツ尾伐り(三つ紐伐りともいう)」という古くからの作法で切り出す。 式典は、内宮・外宮の順で行われ、内宮用・外宮用各1本伐採される。2本が交差するように倒すのが習わしである。 山元からの輸送は木曽森林鉄道を用いるのが慣わしになっている。現在もごく短距離ではあるが休養林の保存線を使用する。 裏木曽御用材伐採式(うらきそごようざいばっさいしき) 1985年6月5日 / 2005年6月5日 御樋代木は裏木曽でも切るため、その安全を祈願する。 前回と同じく、岐阜県中津川市(以前の加子母村)で行われる。 式典次第は、御杣始祭と同様である。 山元からの輸送は鉄道時代より北恵那交通が担当することが慣わしになっている。 御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき) 内宮:1985年6月10日 / 2005年6月9日外宮:1985年6月11日 / 2005年6月10日 木曽から切り出された御樋代木(両宮とも予備2本を含む。)を伊勢到着後両宮境内五丈殿まで運び入れる儀式。 内宮へは五十鈴川を三重県営体育館裏から内宮境内風日祈宮橋まで木橇(きぞり)で遡る。(「川曳(かわびき)」) 外宮へは宮川河畔の度会橋から市内を外宮まで奉曳車で曳く。(「陸曳(おかびき)」)厳密には市内の奉曳は地元奉曳本部主催の「奉曳行事」であり、神宮主催の「奉曳式」は、外宮北御門から五丈殿までである。 繰り糸はじめ式(くりいとはじめしき) (前回不詳) / 2005年7月8日 愛媛県西予市の製糸工場にて、御神宝・御装束に使う生糸の生産開始にあたり行う。 御船代祭(みふなしろさい)※ 内宮:1985年9月17日 / 2005年9月17日外宮:1985年9月19日 / 2005年9月19日 両正宮および別宮の御樋代を納める御船代(船の形をしている。)の用材を切り出すにあたり行われる儀式。 参進、修祓ののち宮山祭場(内宮:風日祈宮橋南東、外宮:土宮東方)で祭儀が行われる。 最重要なのは「物忌」と呼ばれる童男(内宮)、童女(外宮)が忌斧で木を伐る儀式。 実際の用材は、木曽(内宮)および裏木曽(外宮)で、この儀式の進行に合わせ伐り出される。 御装束神宝御料織初式(おんしょうぞくしんぽうごりょうおりぞめしき) 前回不詳 / 2005年11月9日 京都府京都市上京区にある織物工場で、御装束・御神宝の織り初めにあたり、祝詞奏上・雅楽奉納・清祓などを行う。 御木曳初式(おきひきぞめしき) 内宮・同別宮:1986年4月12日 / 2006年4月12日(但し瀧原2宮と伊雑宮は4月16日)外宮・同別宮:1986年4月13日 / 2006年4月13日 御木曳行事の皮切りとして両宮正殿垂木などの重要な用材(「役木」という。)を、特定の「神領民(江戸時代以前の伊勢神宮領地の住民)」が運搬する儀式。第61回までは、「棟持柱など」という表現をしていたが、第62回には「棟持柱」は含まれないと公表している。 役木は内宮・外宮とも正宮が各3本、別宮は各1本である。 御樋代木奉曳式とほぼ同様であるが、以下の点が異なる。内宮境内への曳き上げは御手洗場(みたらしば)からとなる。 陸曳は宮川から木を引き揚げ、宮川堤防で水を切る「どんでん」という作業を再現する。 別宮役木は、御敷地まで運び入れるため、最後は木を担いで奉搬するところもある。また域外の内宮別宮へは橇または奉曳車による陸曳となる。 奉曳車は各地域独自のものとなり、木遣り歌(きやりうた)なども異なる。 役木曳(やくぎびき)とも言う。 宮川河川敷をそりで曳かれる役木 外宮前を曲がる役木を載せた奉曳車 外宮火除橋前に揃った正宮の役木 外宮火除橋前に並んだ神官 外宮宮域を担いで運ばれる役木 外宮正宮に奉納された3本の役木 外宮別宮多賀宮に奉納された役木 外宮別宮月夜見宮でシートを掛けられた役木 木造始祭(こづくりはじめさい) 1986年4月21日 / 内宮・外宮:2006年4月21日、荒祭宮・多賀宮:4月22日、月讀4宮:4月23日、瀧原2宮・伊雑宮:4月25日、風日祈宮・倭姫宮:4月27日、土宮・月夜見宮・風宮:4月28日 造営工事の開始にあたって作業安全を祈る儀式。 御木曳初式で運び入れられた役木の前に神饌を供え、家屋の守護神である屋船大神(やふねのおおかみ)に祝詞を奏上する。 小口を切り、墨を引き、忌斧を打ち入れる所作をおこなう。 手斧始(ちょうなはじめ)とも事始神事(ことはじめしんじ)ともいう。 内宮では祭儀の前に、外宮では祭儀の後に、「神宮司庁」が造営作業に携わる「神宮式年遷宮造営庁」の関係者を膳と神酒でもてなす饗膳(きょうぜん)の儀が行われる。 御木曳行事(おきひきぎょうじ) 第1次陸曳(おかびき):1986年4月26日・27日・29日・5月10日・11日・17日・5月18日・24日・25日・31日・6月1日 / 2006年5月5日・6日・7日・12日(一日神領民のみの奉曳日)・13日・14日・19日(一日神領民のみの奉曳日)・20日・21日・26日(一日神領民のみの奉曳日)・27日・28日・6月2日(一日神領民のみの奉曳日)・3日・4日 第1次川曳(かわびき):1986年5月17・18・24・25日 / 2006年7月22・23・29・30日 第2次陸曳:1987年5月5日・9・10・16・17・23・24・25・30・31日・6月6・7日 / 2007年5月4・5・6・12・13・19・20・26・27日・6月2・3日(予備日は、各月曜日。) 第2次川曳:1987年5月10・17・24・31日 / 2007年7月21・22・28・29日(予備日8月4・5日) 遷宮行事前半最大の大衆参加行事。 全神領民が参加するほか、陸曳には全国から参集した「一日神領民」(第61回は約2万人、第62回は1年次約35千人。)も参加する。 行事の概略は、御木曳初式と同様であるが、奉曳コースは以下のとおり若干異なるほか、用材は2本・3本の場合がある。陸曳は、外宮山田工作場の貯木池へ用材を納める。 川曳は、内宮境内へ宇治橋手前で曳き上げ、参集殿前で神宮に用材を引き渡す。 内宮用材は川曳を行うが、歴史的事情により陸曳を行う例外がある。遷宮復活に功績のあった慶光院(けいこういん)に与えられた領地であった磯町の住民が、内宮扉木を宮川河畔から外宮、倭姫宮を経由して内宮宇治工作場まで陸曳で奉曳する。慶光院曳(けいこういんびき)という。 伊勢湾岸にあり、海運当時の用材集積地であった大湊町の住民が、内宮棟持柱を倭姫宮から内宮宇治工作場まで陸曳で奉曳する。 伊勢の「お木曳き」行事として、国の選択無形民俗文化財(風俗習慣・祭礼(信仰))に選択されている。 仮御樋代木伐採式(かりみひしろぎばっさいしき) 1986年7月13日 / 2006年5月17日 旧殿から新殿まで御神体を遷す際に御神体を入れる「仮御樋代」と「仮御船代」にする用材を切り出す儀式。 鎮地祭(ちんちさい)※ 1988年4月25日 / 2008年4月25日(別宮は4月25日 - 5月2日) 新宮建設予定地で作業安全を祈る儀式。一般の地鎮祭に相当。 神職と物忌(神饌等を扱う童女)によって刈り初め式、穿ち初め式の祭事が斎行される。 宇治橋修造起工式(うじばししゅうぞうきこうしき) 1988年7月19日 / 2008年7月26日 橋の架け替えを前に工事の安全を祈願する。 橋を守護する饗土橋姫神社で祝詞奏上後、仮橋架橋位置で橋の杭を3度ずつ打ち固める。 仮橋修祓(かりばししゅはつ) 1988年12月27日 / 2008年12月27日 仮橋完成時に安全祈願のお祓いをする。 宇治橋渡納(うじばしわたりおさめ) 1989年1月16日 / 2009年2月1日 架け替えられる宇治橋の最後の通行を儀式化。 純市民行事として行われる。 宇治橋萬度麻奉下式(うじばしまんどぬさほうげしき) 1989年1月17日 / 2009年2月2日 宇治橋解体前に擬宝珠内に納められている萬度麻を下げる。 宇治橋渡始式(うじばしわたりはじめしき) 1989年11月3日 / 2009年11月3日 橋の安全祈願 橋を守護する饗土橋姫神社で祈願した後、萬度麻を擬宝珠に納める。 神領地から選ばれた「渡女(わたりめ)」を先頭に夫、子夫婦、孫夫婦が渡り初めを行い、全国から選ばれた三世代揃った夫婦が続く。 立柱祭(りっちゅうさい)※ 内宮:1992年3月11日 / 2012年3月4日外宮:1992年3月13日 / 2012年3月6日 正殿の柱を最初に立てる儀式。 御形祭(ごぎょうさい) 内宮:1992年3月11日 / 2012年3月4日外宮:1992年3月13日 / 2012年3月6日 御形(正殿の妻の束柱の装飾)を穿つ儀式。 立柱祭に続き行われるが非公開。 上棟祭(じょうとうさい)※ 内宮:1992年3月26日 / 2012年3月26日外宮:1992年3月28日 / 2012年3月28日 正殿の棟木を上げる儀式。 綱を引っ張り棟木を上げる所作をする。 檐付祭(のきつけさい) 内宮:1992年5月23日 / 2012年5月23日外宮:1992年5月25日 / 2012年5月25日 新殿の屋根の萱を葺き始める儀式。 甍祭(いらかさい) 内宮:1992年7月21日 / 2012年7月21日外宮:1992年7月23日 / 2012年7月23日 新殿の屋根を葺き終える儀式。 お白石持行事(おしらいしもちぎょうじ) 内宮:1993年7月31日 - 8月11日・8月17日 - 8月19日 / 2013年7月26日 - 8月12日外宮:1993年8月2日 - 8月30日 / 2013年8月17日 - 9月1日 遷宮行事後半最大の大衆参加行事。1993年は約21万人が参加した。2013年は226,000人が参加した。 宮川河原から採集した「お白石」を御木曳同様に陸曳・川曳で運び、正殿用地に敷き詰める行事。 神宮関係者以外にとっては、遷御後は絶対に立ち入ることのできない正殿そばまで入ることができる唯一の機会。 基本的には、一日神領民も含め、御木曳行事参加者が参加する。 伊勢の「白石持ち」行事として、国の選択無形民俗文化財(風俗習慣・祭礼(信仰))に選択されている。 御戸祭(みとさい) 内宮:1993年9月13日 / 2013年9月13日外宮:1993年9月15日 / 2013年9月15日 新殿に扉を取り付ける儀式。 御船代奉納式(みふなしろほうのうしき) 内宮:1993年9月17日 / 2013年9月17日外宮:1993年9月19日 / 2013年9月19日 御船代を正殿内に納める儀式。 洗清(あらいきよめ) 内宮:1993年9月24日 / 2013年9月24日外宮:1993年9月26日 / 2013年9月26日 文字通り新殿内を洗い清める儀式。 心御柱奉建(しんのみはしらほうけん) 内宮:1993年9月25日 / 2013年9月25日外宮:1993年9月27日 / 2013年9月27日 心御柱を新正殿床下に立てる儀式。 夜間から深夜に行われ非公開。詳細不明。 杵築祭(こつきさい)※ 内宮:1993年9月28日 / 2013年9月28日外宮:1993年9月29日 / 2013年9月29日 新殿敷地を撞き固める儀式。 後鎮祭(ごちんさい) 内宮:1993年10月1日 / 2013年10月1日外宮:1993年10月4日 / 2013年10月4日 新殿敷地の平安を祈る儀式。 御装束神宝読合(おんしょうぞくしんぽうとくごう) 内宮:1993年10月1日 / 2013年10月1日外宮:1993年10月4日 / 2013年10月4日 遷宮に合わせ作り替えられた御装束と御神宝を読み合わせる儀式。 川原大祓(かわらおおはらい) 内宮:1993年10月1日 / 2013年10月1日外宮:1993年10月4日 / 2013年10月4日 「仮御樋代」・「仮御船代」・御装束神宝や遷御参加者を祓い清める儀式。 御飾(おかざり) 内宮:1993年10月2日 / 2013年10月2日外宮:1993年10月5日 / 2013年10月5日 殿内装飾。 遷御(せんぎょ)※ 内宮:1993年10月2日 / 2013年10月2日外宮:1993年10月5日 / 2013年10月5日 荒祭宮:1993年10月10日 / 2013年10月10日、多賀宮:1993年10月13日 / 2013年10月13日、月読宮・月読荒御魂宮:1994年10月6日 / 2014年10月、伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮:1994年10月10日 / 2014年10月、瀧原宮・瀧原竝宮:1994年10月28日 / 2014年10月、伊雑宮:1994年11月5日 / 2014年11月、風日祈宮:1994年11月9日 / 2014年11月、倭姫宮:1994年11月15日 / 2014年11月、土宮:1994年11月19日 / 2014年11月、月夜見宮:1994年12月4日 / 2014年12月、風宮:1994年12月10日 / 2014年12月 御神体を旧殿から新殿へ遷す儀式。 天岩戸伝説にちなみ鶏鳴三声は、内宮ではカケコー、外宮ではカケローの声で出御する。 遷宮行事の中核神事。百名を超える奉仕員(神官)が参加する。また出御の時刻には、天皇が神嘉殿の前庭から伊勢を拝礼するとされる。 皇族を始め多数の参列者が見守るが、儀式は夜間(2013年は20時より出御)行われ、照明も松明のみとなる。 大御饌(おおみけ) 内宮:1993年10月3日 / 2013年10月3日外宮:1993年10月6日 / 2013年10月6日 新殿において、初めて大御饌を奉る儀式。 奉幣(ほうへい) 内宮:1993年10月3日 / 2013年10月3日外宮:1993年10月6日 / 2013年10月6日 天皇から奉られる幣帛を奉納する儀式。 古物渡(こもつわたし) 内宮:1993年10月3日 / 2013年10月3日外宮:1993年10月6日 / 2013年10月6日 旧殿内の神宝類を新殿の西宝殿に移す儀式。 御神楽御饌(みかぐらみけ) 内宮:1993年10月3日 / 2013年10月3日外宮:1993年10月6日 / 2013年10月6日 御神楽に先立ち大御饌を奉る儀式。 御神楽(みかぐら)※ 内宮:1993年10月3日 / 2013年10月3日外宮:1993年10月6日 / 2013年10月6日 天皇から派遣された宮内庁式部職の楽師が御神楽などを奉納する儀式。
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