熱膨張率 主な物質の線膨張率

熱膨張率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 07:22 UTC 版)

主な物質の線膨張率

10−6/K

物質 線膨張率
水銀 60
アルミニウム 23
黄銅 19
コンクリート 12
12.1(S30C:11.5)
無水ケイ酸 0.5
ダイヤモンド 1.1
グラファイト 4.5~5.5程度
パイレックスガラス 3.2
タングステン 4.3
炭化ケイ素 (SiC) 6.6
クロム 6.8
粘土 8
硬質ガラス 8.5
アランダム 8.7
白金 9
煉瓦 9.5
酸化マグネシウム 9.7
アンチモン 12
炭素鋼 10.8
ステンレス鋼 (SUS410) 10.4
ステンレス鋼 (SUS304) 17.3
コバルト 12.4
ニッケル 12.8
ビスマス 13.3
14.3
16.8
フッ化カルシウム 19.5
ケイ素 2.4
マグネシウム 25.4
亜鉛 30.2
スズ 26.9
カドミウム 28.8
29.1
塩化ナトリウム 40.5
(0℃) 50.7
硫黄 64
ナトリウム 75
カリウム 83
パラフィン 110
ゴム 110

主な物質の体積膨張率

10−4/K

物質 体積膨張率 備考
水銀 1.8
2.1(at 20 °C °C で膨張率0、°C 以下では膨張率は負の値となる。

熱応力

温度変化による自由熱膨張(あるいは収縮)が拘束される場合に物体内に生じる応力熱応力[4]ひずみ熱ひずみという。

線膨張率 αヤング率 E の棒が、その両端を固定され長さが変化しない状態で ΔT だけ温度変化したとき、その棒に生じる熱応力 σt と熱ひずみ εt

となる。

機械装置の起動時などのような過渡的な状態では、物体に急激な加熱または冷却が加わり一時的に大きな温度分布が生じることがある。このような場合に生じる熱応力を非定常熱応力、特に急速な非定常熱応力が生じる現象を熱衝撃という[5]。熱衝撃の理論的な解析には、ビオ数が用いられる。

熱膨張を考慮した設計

殆どの固体の線膨張係数はごく小さく、通常の温度変化でのひずみは小さいが、その変形は物体の長さに比例するため、長大な物体では変形の影響が無視できない。

線路を敷く際にレールが夏に伸びることを前提として、レール同士の継ぎ目に隙間が設けられている。列車が「ガタンゴトン」と走行音を立てるのは、この継ぎ目を通過する際の音である(分岐器は別とする)[注 1]

電柱に架けられる送電線架線)は夏は配線がたわんでも安全な高度を確保できるよう、冬は配線が縮れて破断しないよう、それぞれ念頭に設計される。

超音速で飛行する航空機機体断熱圧縮の影響で高温に晒されることから対策は必須である。特にマッハ3を優に超える高速で飛行するSR-71ブラックバードでは膨張が著しいことから、飛行中の機体状態を正常とすべく、部品同士に隙間が設けられている。これによって地上ではどうしても燃料類が漏れ出てしまう仕様となっていた。ただし引火点は極めて高く、マッチくらいで燃えることはない。オイルに至っては常温ではバター状になってしまう。


注釈

  1. ^ ただし、この隙間は(電車の場合)1両あたり30トン前後の重量がある鉄道車両が通るため、乗り心地を悪くしたり、車輪を傷つける要因ともなる。そのため、2009年現在では、25mのレールを現地で溶接して長いロングレールにしたうえで、熱膨張による影響を抑えるために、レールの先端を斜めに加工して接続するのが主流となっており、ガタンゴトンというジョイント音は過去のものとなりつつある[6]

出典

  1. ^ a b c d JIS Z 8000-5.
  2. ^ a b 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編』培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4 
  3. ^ 独立行政法人理化学研究所; 独立行政法人科学技術振興機構 (2005年12月13日). “温度が上がると縮む新物質を発見”. プレスリリース. 理化学研究所. 2012年5月7日閲覧。
  4. ^ 野田直剛; 谷川義信; 須見尚文; 辻知章『基礎弾性力学』(8版)日新出版、1999年、122頁。ISBN 4-8173-0146-5 
  5. ^ 日本機械学会 編『伝熱工学資料』(5版)丸善、2009年、19頁。ISBN 978-4-88898-184-2 
  6. ^ 杉山淳一 (2009年6月26日). “鉄道トリビア(8)電車の「ガタンゴトン、ガタンゴトン」という音が消えた?”. 2017年3月22日閲覧。






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