熱蛍光線量計とは? わかりやすく解説

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ねつけいこう‐せんりょうけい〔ネツケイクワウセンリヤウケイ〕【熱蛍光線量計】

読み方:ねつけいこうせんりょうけい

熱ルミネセンス線量計


熱蛍光線量計(TLD)

硫酸カルシウム等の結晶放射線が当たると,その放射線エネルギー結晶中に蓄えられ,これに熱を加えると蓄えられエネルギーを,光として放出すつ性質(熱蛍光)を有しており,光の量を測定することにより,放射線の量を知ることができます。この原理利用した測定器を熱蛍光線量計と呼びます

熱ルミネッセンス線量計

(熱蛍光線量計 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/18 10:12 UTC 版)

熱ルミネッセンス線量計

熱ルミネッセンス線量計(ねつルミネッセンスせんりょうけい、熱蛍光線量計、Thermoluminescent Dosimeter、TLD)は、検知器の内部の結晶が加熱された時に、そこから放射される可視光の量を測定する[1]ことにより、放射線被曝量を測定する[2]ための小さな器具である。

概要

熱ルミネッセンス線量計には何種類かあり、測定したい放射線の種類に応じて内部の結晶が異なる。 フッ化カルシウムガンマ線フッ化リチウムはガンマ線と中性子線の測定に使われる。 この他、メタホウ酸リチウム等も用いられる。

放射線がその結晶と相互作用した時、結晶の原子にある電子がより高いエネルギー準位に飛び出し、結晶中の不純物(多くはマンガン)のためにトラップされ、加熱されるまでそこに留まる。結晶を加熱することによりその電子が基底準位まで落ちてくるが、その時に特定の周波数光子を放出する。これが熱ルミネッセンス反応である。

放射される光の量は被曝した放射線の量に依存するため、光度を測定することで被曝線量を知ることができる。

熱ルミネッセンス線量計は、加熱した後に結晶が元に戻るため何度でも再利用できる。また、フィルムバッジとは異なり、暗室のような特別な設備を必要としない。安価で軽量、さらに衝撃にも強いという特長もある。

熱ルミネッセンス線量計は、個人の被曝線量の測定、および環境モニタリングに用いられる。一定期間(1ヶ月または3ヶ月)ごとに回収し、TLD読み取り装置でその期間の積算線量を読み取る。

原理

結晶には通常不純物ストレスによる転位など、様々な理由による格子欠陥が存在する。これによってポテンシャルが乱れ、部分的にポテンシャルの高いところ低いところなど、でこぼこができる。そこへ自由な電子が導かれてトラップされ、蓄積される。

放射線が照射されると、結晶原子中の電子が励起して伝導帯へ移り自由電子となる。ほとんどはすぐに結晶と再結合するが、そのうちいくらかトラップに捕らえられるものもあり、これが放射線のエネルギーを電気的に蓄えることになる。

被曝した結晶が熱や強い光にさらされると、トラップされた電子は充分なエネルギーを得て解放され、格子中のイオンと再結合して観測可能な特定周波数光子を放出する。放出される光子はトラップされた電子の量に比例し、さらに累積された被曝量に関係する。

測定についての理論とグロー曲線

熱ルミネッセンス線量計を用いた測定では、線量計の素子を一定の昇温速度[K/s]で加熱したときの素子温度とその温度における熱ルミネッセンスの発光強度を測定する。この発光強度を縦軸に加熱温度を横軸にしたグラフをグロー曲線(英:glow curve)と呼ぶ。熱ルミネッセンス線量計の測定では、このグロー曲線により素子の性質や必要な加熱温度を知ることができる。[3]

グロー曲線の理論的な解釈は、1945年にランドール(英:Randall)らによって初めて提唱された。

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