沖縄本島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/07 08:21 UTC 版)
概要
沖縄県の政治、経済の中心となる島で、同県の41市町村の内、県庁所在地の那覇市を含む26の市町村がある。また、県の人口約145万人の内、およそ9割に当たる約129万人の人口を有している。
国土交通省は、北海道・本州・四国・九州・沖縄本島の5島を除く島を「離島」としている。但し、沖縄本島を含む5島に対して「本土」という語は用いていない。沖縄振興特別措置法によると、沖縄本島以外の島を「離島」とし、このうち一部を「指定離島」に指定する。指定離島には無人島も入るが、沖縄本島と架橋接続された島は、指定離島から外されている。一方、宮古島、石垣島と架橋接続された島は外されていない[11]。
沖縄では一般的に(漠然と)、沖縄県外(狭義の日本列島)を「内地」、「本土」や「本州」と呼ぶ場合がある。
また、沖縄方言と国頭方言のウチナー・ウチナーンチュ(ウチナンチュ)は、本来沖縄本島及びその出身者を指す言葉だが、明治期の沖縄県設置後に沖縄県全域及びその出身者を示す様になってきた。
名称
「沖縄島」は沖縄県の主島という意味で、「沖縄本島」または単に「本島」と呼ばれるが[12][13]、これは人文・社会的概念によって離島を意識した呼称である[11]。国土地理院および海上保安庁海洋情報部では、「沖縄島」と統一して使用している[14]。
沖縄方言では、「ウチナー」のほかに「ジジ」とも呼ばれる。ジジとは漢字で「地下」と書き、「ハナリ(離島)」の対となる言葉である[15]。方言で「地下三方諸離」(ジジ サンポー シュハナリ[注 2])は、沖縄本島、国頭・中頭・島尻、そして本島周辺の離島の総称で、現在の沖縄諸島に当たる[16][注 3]。
地理
沖縄県の北東端部に位置する島である。日本の島の中では本州・北海道・九州・四国・択捉島・国後島に次ぐ大きさで[3]、主要4島と北方領土を除いた日本の島の中では最大の島である。
面積は1,207.00km2[2]、周囲476km[5]、また本島の直線距離は南北端で約106.6kmである[4]。沖縄返還されて以降、埋立が盛んで1000ヘクタール以上が埋め立てられた。
北部は火成岩が中心で、島内最高峰の与那覇岳をはじめ、八重岳、名護岳など400m程度の低山が続く。やや大きな河川があるのも北部の特徴であり、平地はごく少ない。酸性の土壌が分布している為、パイナップルの栽培が行われている[12]。また北部は山原(やんばる)と呼ばれ、狭義には沖縄本島北部の国頭村・大宜味村・東村に広がる森林または国頭村・大宜味村・東村の地域自体をさし、広義には沖縄本島北部に広がる森林または沖縄本島北部地域自体をさす。
本部半島は石灰岩層が分布しており、熱帯地域にみられる円錐カルストが発達している[17]。また本部半島は石灰岩を産出している為、大規模な採石場とセメント工場が立地している[18]。農業では、アセロラの産地として知られている[19]。
中南部は主として琉球石灰岩層と泥岩から構成されている[20]。地形は平坦で、100mを越える丘陵地は殆どなく、また河川が非常に少ない。侵食されやすい石灰岩の南部にはカルスト地形が発達し、亜熱帯であるので浸食が速く、ドリーネやウバーレが多い。多くの鍾乳洞があり、那覇の南東の南城市玉城の全長5km(一般公開部分890m)の玉泉洞が最も有名である。
最北端は辺戸岬(へどみさき)で、鹿児島県に属する与論島とは22kmの距離。最南端は荒崎(あらさき)である[21] が、一般にはその西にある喜屋武岬が沖縄本島最南端と思われがちである[22]。
端点 | 所在地 | 緯度 | 経度 | |
---|---|---|---|---|
東端 | 国頭郡国頭村 | 北緯26度45分22秒 | 東経128度19分40秒 | |
西端 | 那覇市 | 北緯26度11分55秒 | 東経127度38分11秒 | |
南端 | 糸満市 | 北緯26度04分28秒 | 東経127度40分37秒 | |
北端 | 国頭郡国頭村 | 北緯26度52分32秒 | 東経128度15分28秒 | |
緯度・経度は世界測地系に基づく |
小島・岩礁
浜辺・海礁上の小岩を除く[25]。
- 世皮崎 - 国頭村字奥沖。
- 赤崎 - 国頭村字楚洲沖。
- カツセノ崎 - 国頭村字安波沖。
- 天仁屋崎 - 名護市字天仁屋沖。
- 金武岬 - 金武町字金武、金武岬沖。岬の東方約950mと南島約600m沖に小島・岩礁もある。
- 西ノ岩 - 金武湾内。うるま市と金武町との間で所属係争中。
- ゴンジャン岩、アギナミ島 - うるま市勝連平敷屋カンナ崎の南方沖約600m。
- 豆腐島 - 北中城村字渡口沖。
- クマカ島 - 南城市知念岬の南島沖約2.6 km。
- アドチ島 - 南城市知念志喜屋沖。
- タマタ島 - アドチ島の東方沖約1.1 km。
- 岡波岩 - 糸満市西崎の西方沖約800m。
- (無名) - 北谷町町北前1丁目沖にある小島。
- (無名) - 読谷村残波岬の西方沖約500mにある岩礁。
- トベラ岩 - 恩納村万座毛沖の岩礁。
- 備瀬崎 - 本部町備瀬崎沖。備瀬竜宮と灯台がある。
- 夫振岩 - 名護市字源河の北北西沖約1.2 km。
- サザマ石 - 大宜味村饒波沖。
人工島
- 中城湾港泡瀬地区(沖縄市東部海浜開発計画) - 造成中
注釈
出典
- ^ 『島嶼大事典』「沖縄諸島」(1991年)p.117
- ^ a b “令和2年全国都道府県市区町村別面積調 島面積 (PDF)”. 国土地理院 (2020年1月1日). 2020年5月30日閲覧。
- ^ a b 『理科年表 平成19年版』(2006年)p.565
- ^ a b c d 『日本歴史地名大系』「沖縄島」(2002年)p.73中段
- ^ a b 『日本統計年鑑 平成26年』「1-2 主な島」(2013年)p.13, 17
- ^ “沖縄県の人口、世帯、住居 (PDF)”. 沖縄県企画部統計課 (2011年10月28日). 2013年2月4日閲覧。
- ^ a b c 『第51回 沖縄県統計年鑑』「10.島嶼別世帯数、男女別人口(平成12年、平成17年)」(2008年)p.28
- ^ “平成17年 全国都道府県市区町村別面積調 (PDF)”. 国土地理院. p. 189 (2005年10月1日). 2013年2月4日閲覧。
- ^ 『日本歴史地名大系』「総論 自然環境」(2002年)p.23上段 - 中段
- ^ 国立天文台(編) 平成19年 理科年表 p.565 ISBN 4621077635
- ^ a b 『日本歴史地名大系』「沖縄島」(2002年)p.73上段
- ^ a b 『沖繩大百科事典 上巻』「沖縄島」(1983年)p.525
- ^ 『角川日本地名大辞典』「沖縄島」(1991年)p.235
- ^ “我が国の広域な地名及びその範囲についての調査研究 (PDF)”. 海上保安庁海洋情報部 (2009年). 2013年2月4日閲覧。
- ^ 語彙詳細 - 首里・那覇方言、沖縄言語教育センター、2014年12月2日閲覧。
- ^ a b 『琉球語辞典』(1999年)p.635
- ^ 『日本歴史地名大系』「総論 自然環境」(2002年)p.24上段
- ^ 安和鉱山 琉球セメント
- ^ “飲んで元気 アセローラ 本部町が産地をPR”. 琉球新報 (2009年5月14日). 2011年8月17日閲覧。
- ^ 『日本歴史地名大系』「総論 自然環境」(2002年)p.24中段
- ^ “沖縄県 市区町村の役所・役場及び東西南北端点の経度緯度(世界測地系)”. 国土地理院. 2019年6月16日閲覧。(特に「糸満市」の「南端」参照)
- ^ 『沖繩大百科事典 上巻』「喜屋武岬」(1983年)pp.872 - 873
- ^ “沖縄県の市区町村の役所・役場及び東西南北端点の経度緯度”. 国土地理院. 2012年2月1日閲覧。
- ^ “地図閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年2月1日閲覧。
- ^ 国土地理院・地理院地図(抄)。なお、沖縄本島周辺離島の小島・岩礁は原則としてそれら離島の項目に記載。また沖縄諸島の島々に含まれる島は扱わない
- ^ 『日本歴史地名大系』「阿児奈波島」(2002年)p.72下段
- ^ 山里(2004)
- ^ a b “中部地域/沖縄県”. www.pref.okinawa.lg.jp. 2020年11月14日閲覧。
- ^ a b https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/doboku/kowan/keikaku/documents/documents/p1~10.pdf
- ^ “浦添市は中部、南部のどちらに含まれるの | 浦添市”. www.city.urasoe.lg.jp. 2020年11月14日閲覧。
- ^ “気象統計情報”. 気象庁. 2012年2月1日閲覧。
- ^ “沖縄のダム”. 沖縄県土木建築部河川課 (2012年6月28日). 2014年10月2日閲覧。
- ^ 『平成27年1月 離島関係資料』「2.島しょ」(2015年)p.6
固有名詞の分類
- 沖縄本島のページへのリンク