沖縄本島 歴史

沖縄本島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/07 08:21 UTC 版)

歴史

地域区分・市町村

沖縄本島は、行政その他の分野において、基本的に北部・中部・南部の三つの地域に区分される。

また、都市圏の繋がりから中部と南部は一纏めに中南部と区分する事が多い。その他、交通などの視点から那覇市より北を中北部と称する事もある。

経緯および定義

まず現代(2020年)における北部・中部・南部の定義は下記の通りである。これは行政上も一般に「北部地域」・「中部地域」・「南部地域」と称する[28][29]

この北部・中部・南部の区分は、歴史的に古琉球三山時代北山中山南山の各王国の勢力範囲(領地)に由来すると考えられている。更に、中近世琉球(琉球王国時代の古い区分である国頭中頭島尻、さらに近代沖縄以降の国頭郡中頭郡島尻郡)に継承されて、現代に至っている。ただし、三山時代の境界からは変遷がある(詳細は、「国頭」・「中頭」・「島尻」の各項目を参照)。

さらに、行政上の「北部地域」・「中部地域」・「南部地域」の区分には周辺離島の市町村も一部含まれるが[28][29]、本項目では扱わない。

沖縄本島北部

山原の風景(国頭村)

概ね、国頭(くにがみ)地区、または山原(やんばる)と呼ばれる地区に相当する。面積764km2、人口約12万人。 豊かな自然が残り、動植物の多様性が認められ、2021年7月26日に奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島世界自然遺産に登録された。

沖縄本島中部

概ね、中頭(なかがみ)地区に相当する。面積280km2、人口約59万人。最も米軍施設が集中する地区である。浦添市は南部広域市町村圏事務組合、西原町・中城村・北中城村は南部広域行政組合に所属するなど、南部市町村との繋がりも強い。

なお、浦添市、西原町は那覇都市圏との絡みから公的にも南部と扱われる場合もあるが、行政区分上は基本的には中部である[30]

沖縄本島南部

松山交差点(那覇市)

概ね、島尻(しまじり)地区に相当する。面積198km2、人口約54万人。県都那覇市を有する。単に「南部」という場合は那覇市以外の市や町を示す事が多い。

中南部都市圏

中南部都市圏(ちゅうなんぶとしけん)とは那覇市を主な中心とし、沖縄市を副次的な中心とする都市圏である。面積約478 km2(県土面積の5分の1)に約116万人(県人口の8割)が暮らす。

中部とは沖縄市を、南部とは那覇市を中心とした地域だが、那覇市の求心力は中部にまで及ぶ一方、沖縄市の求心力は中部全体に及んでいない。その上、中部・南部は面積が全国平均を遥かに下回る小規模多数の市町村からなり、両地区を合わせても面積が北部に及ばないため、一纏めに中南部と区分する事が多い。ちなみに、中南部の各市町村の面積を比較すると、最大のうるま市でも86.01 km2で、それ以外の市町村の面積は全て50km2未満である。

中南部都市圏の人口密度政令指定都市である北九州市を凌ぐ(面積は本島中南部の方がやや小さく、人口は約98万人の北九州市に比べて16万人程多い)ほど地方都市周辺としては非常に高い。なお那覇市や浦添市、宜野湾市などの近隣自治体に限っては三大都市圏並みの人口密度を誇る(那覇都市圏も参照)。その上、2003年に沖縄都市モノレール(ゆいレール)が開通するまで軌道系公共交通機関が存在しなかった(ただし、戦前には複数の鉄道・軌道は存在していた。沖縄県の鉄道を参照。)ため、本土より自動車への依存度が高く、強度の車社会により中南部の道路は慢性的に渋滞気味である。しかし歴史的・地理的背景が異なる為、経済・産業の規模は人口規模より小さい。

なお、中南部の電話市外局番098で統一されている(那覇MA国頭郡恩納村宜野座村金武町と周辺離島の島尻郡久米島町渡嘉敷村座間味村粟国村渡名喜村も含む。つまり本島中部、本島南部。慶良間・粟国諸島、久米島、恩納・金武地区が該当)。09880989X0989XXに分かれていた市外局番が、1990年に桁ずらしにより統一された。これらの地域では広告(テレビ・ラジオのCMも含む)やお知らせ等で電話番号を紹介するとき市外局番の098を省略する場合が多い(沖縄県内の固定電話の加入世帯の大半がこのエリアであるのと、あとの市外局番が実質0980のみであるため)。


注釈

  1. ^ ただし本島と架橋された島の人口も含むため、「沖縄本島(1,231,765人)」から「沖縄本島橋連結計(7,039人)」を差し引いた[7]
  2. ^ 『琉球語辞典』に掲載されている語句はローマ字表記で、読みは記載されておらず、"Žiži-Sanpoo-Sjuhanari" (Ž上部の記号はハーチェク)とある。そこで、『琉球語辞典』の「文字と表記法(p.viii - x)」を参考にして、片仮名に変換した。
  3. ^ 地下(ジジ)ないし治下(ヂゲ)は「沖縄本島」を指し、離島(方言で「ハナリ」)と対になる言葉。三方(サンポー)は国頭・中頭・島尻のことを示す[16]

出典

  1. ^ 『島嶼大事典』「沖縄諸島」(1991年)p.117
  2. ^ a b 令和2年全国都道府県市区町村別面積調 島面積 (PDF)”. 国土地理院 (2020年1月1日). 2020年5月30日閲覧。
  3. ^ a b 『理科年表 平成19年版』(2006年)p.565
  4. ^ a b c d 『日本歴史地名大系』「沖縄島」(2002年)p.73中段
  5. ^ a b 『日本統計年鑑 平成26年』「1-2 主な島」(2013年)p.13, 17
  6. ^ 沖縄県の人口、世帯、住居 (PDF)”. 沖縄県企画部統計課 (2011年10月28日). 2013年2月4日閲覧。
  7. ^ a b c 『第51回 沖縄県統計年鑑』「10.島嶼別世帯数、男女別人口(平成12年、平成17年)」(2008年)p.28
  8. ^ 平成17年 全国都道府県市区町村別面積調 (PDF)”. 国土地理院. p. 189 (2005年10月1日). 2013年2月4日閲覧。
  9. ^ 『日本歴史地名大系』「総論 自然環境」(2002年)p.23上段 - 中段
  10. ^ 国立天文台(編) 平成19年 理科年表 p.565 ISBN 4621077635
  11. ^ a b 『日本歴史地名大系』「沖縄島」(2002年)p.73上段
  12. ^ a b 『沖繩大百科事典 上巻』「沖縄島」(1983年)p.525
  13. ^ 『角川日本地名大辞典』「沖縄島」(1991年)p.235
  14. ^ 我が国の広域な地名及びその範囲についての調査研究 (PDF)”. 海上保安庁海洋情報部 (2009年). 2013年2月4日閲覧。
  15. ^ 語彙詳細 - 首里・那覇方言、沖縄言語教育センター、2014年12月2日閲覧。
  16. ^ a b 『琉球語辞典』(1999年)p.635
  17. ^ 『日本歴史地名大系』「総論 自然環境」(2002年)p.24上段
  18. ^ 安和鉱山 琉球セメント
  19. ^ 飲んで元気 アセローラ 本部町が産地をPR”. 琉球新報 (2009年5月14日). 2011年8月17日閲覧。
  20. ^ 『日本歴史地名大系』「総論 自然環境」(2002年)p.24中段
  21. ^ 沖縄県 市区町村の役所・役場及び東西南北端点の経度緯度(世界測地系)”. 国土地理院. 2019年6月16日閲覧。(特に「糸満市」の「南端」参照)
  22. ^ 『沖繩大百科事典 上巻』「喜屋武岬」(1983年)pp.872 - 873
  23. ^ 沖縄県の市区町村の役所・役場及び東西南北端点の経度緯度”. 国土地理院. 2012年2月1日閲覧。
  24. ^ 地図閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年2月1日閲覧。
  25. ^ 国土地理院・地理院地図(抄)。なお、沖縄本島周辺離島の小島・岩礁は原則としてそれら離島の項目に記載。また沖縄諸島の島々に含まれる島は扱わない
  26. ^ 『日本歴史地名大系』「阿児奈波島」(2002年)p.72下段
  27. ^ 山里(2004)
  28. ^ a b 中部地域/沖縄県”. www.pref.okinawa.lg.jp. 2020年11月14日閲覧。
  29. ^ a b https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/doboku/kowan/keikaku/documents/documents/p1~10.pdf
  30. ^ 浦添市は中部、南部のどちらに含まれるの | 浦添市”. www.city.urasoe.lg.jp. 2020年11月14日閲覧。
  31. ^ 気象統計情報”. 気象庁. 2012年2月1日閲覧。
  32. ^ 沖縄のダム”. 沖縄県土木建築部河川課 (2012年6月28日). 2014年10月2日閲覧。
  33. ^ 『平成27年1月 離島関係資料』「2.島しょ」(2015年)p.6






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