奄美料理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 07:22 UTC 版)
魚介料理
(南部ではてぃらだなどと呼ばれる)
- はーうるめぅ(クマササハナムロ、赤うるめ)のから揚げ - 沖縄料理のグルクンから揚げに似るが、腹の色が赤い。鹿児島県でつきあげ等と呼ばれる薩摩揚げの原料としても使われる。
- くるうるめぅ(タカサゴ、黒うるめ、与論島で むれーじ)のから揚げ - 沖縄料理のグルクンから揚げ。
- かたやす - あごひげの様な触覚器官があるヒメジ科の魚。身が美味で、から揚げ、塩焼き、煮つけなどにする。
- しび(うきんしび、小さいキハダマグロ)の刺身。身はクロマグロよりも淡い桃色をしている。
- とかきん(イソマグロ)の刺身 - 沖永良部島では入り江への追い込み漁(まはだぐめぃ)で捕られ、食べられてきた。
- バショウカジキの刺身
- シイラ(ひゅー、まんびき) - 冬が漁期。刺身の他、味噌漬けを刺身、茶漬けとしても食べる。
- ブダイ(いらぶち) - アオブダイなどの皮を湯引きして、刺身を肝を加えた酢味噌で食べる他、身をフライにしたり、幼魚をから揚げにして食べる。
- あかまつ(ハマダイ、ちびき)の刺身 - うま味が強く、正月の三献など、祝いの席に欠かせない魚であるが、近年漁獲量が減り、高級魚となっている。
- くろまつ(ヒメダイ)- あかまつ(ハマダイ)と同じく、これも刺身にする。
- うんぎゃるまつ、ほた(アオダイ)- これもうま味が強く、刺身にする。沖縄では「しちゅーまち」と称して塩煮にもする。笠利漁港が特産化を進めており[11]、米飯に切り身を載せ、出汁をかけて食べるうんぎゃる丼もある。
- ひき、ふぃき(スズメダイ)のから揚げ - スズメダイ科のずーずるびき(アマミスズメダイ)、あやびき(オヤビッチャ)などに小麦粉をまぶして、油で揚げる。ひきは他に塩焼きなど。子持ちのものが珍重される。
- かちゅ、かそ(カツオ、与論島でかつー) - 奄美大島も一本釣りが盛んで、身は刺身、生節、鰹節、味噌漬け、魚味噌などに利用し、煮汁は煎脂(せんじ)という調味料、内臓は塩辛(からしゅ)にする。大型のうぶす(スマカツオ、スマ)もまれに捕れる。
- そーら(カマスサワラ) - 刺身、味噌漬けなど。奄美市住用町、瀬戸内町などで銛で突いて漁をする。
- あばす(ハリセンボン、あばし) - 主にから揚げ、味噌汁にする。
- ねぃばり(ハタ類) - 主に煮付け、刺身にする。与論島で「にーばい」、沖縄では「みーばい」。
- はーじん(スジアラ) - 刺身、煮魚などにされる白身の最高級魚。沖縄や香港などでもハタ類の中でも高級魚として食べられている。
- まくぶ(シロクラベラ) - 刺身、煮魚などにされる白身の希少高級魚。
- とんか(ウツボ) - 沖永良部島で大型のウツボのこと。奄美大島では「うじ」。
- すれぃん(キビナゴ、やし) - 薩摩料理では刺身にして酢味噌で食べるかから揚げが定番であるが、奄美のものは総じて小さいので、煮干し(ざこ)や塩辛(すれぃんがらしゅ)の材料[12]、素揚げの素材としてよく使われる。大きいものは木の葉で包み焼きにもする。
- 漁なぐさみ - 徳之島の漁師料理で、浜で煮た魚の寄せ鍋[13]。
- とぅびんにゃ(瀬戸内、宇検で てぃらだ、与論島で てぃだら) - 土佐料理のちゃんばらがいと同じく、マガキガイを茹でたもの。おーさとともに汁物にもする。
- やくげえ(ヤコウガイ) - 夜光貝はサザエと同科の大型の巻貝。身を刺身で食べる。磨くと真珠光沢がでるため、食べたあとの貝殻もみやげ物として売られている。古くは杯にも加工されて重要な交易品となった。
- かたんにゃ(チョウセンサザエ、与論島で「まきにゃ」) - 俗に島さざえとして売られる。サザエに似るが、殻に突起がない。小ぶりのコシダカサザエも同様に煮付けやつぼ焼きにする。
- すわりんにゃ(シャコガイ) - まれに刺身などにされる。
- くんまー(ヒザラガイ、げぅじま、くじま)の酢味噌和え - 喜界島で「くんまー」、奄美大島で「げぅじま」と呼び、茹でて殻を外し、調味する。他に醤油風味の旨煮、味噌漬け、炒め物などにされる。
- こーまん、こーむぃ(イソアワモチ) - 沖縄県北部の伊江島での「ほーみー」の食用が有名であるが、奄美大島北部でも下処理して茹でたものを酢味噌和えなどで食べる集落がある。徳之島でも「ほーめぅ」と呼んで食べる人もいる。
- たく、とほ(タコ、喜界島で「とー」) - 本州などのマダコではなく、ワモンダコ(島だこ。大きい)、シマダコ(縞蛸)やウデナガカクレダコ(すがり、しがり。小さい。沖縄県石垣島でうずむな。)などを大潮の干潮時に珊瑚礁で取ってくる[14]。この漁を「いざり」という。刺身、茹でタコ、味噌和えにして食べる。
- ソデイカ - 沖縄で「せーいか」と呼ぶ大型の赤いイカ(いきゃ)で、刺身や粒味噌和えにする。与論島では沖合で旗流し漁が行われ、最も重要な水産品となっている。
- いび(イセエビ類) - 奄美群島ではシマイセエビ(おーいび、青海老)、カノコイセエビ(はーいび、赤海老)が主で[15]、他にニシキエビ(とらえび)などが捕れる。茹で海老、炭火焼き、刺身、味噌汁などにされる。「すぇで」と呼ばれる脱皮直後の柔らかいものが珍重される[15]。
- くちがん、てごしゃ(セミエビ) - 刺身、茹で物、焼き物、味噌汁など、イセエビ類と同様に食べられ美味る。
- たなが、たんが(テナガエビ)の天ぷら - 淡水産で、薄い衣を付けて揚げる。本州など本土で一般的な素揚げや掻き揚げではない。
- さい、すぇ(ミゾレヌマエビ)の天ぷら - 淡水産だが、長い腕がない。これも薄い衣を付けて揚げる。
- かめんくゎ(ミナミスナホリガニ)の素揚げ - 砂浜にいる小さなカニで、揚げて塩味で食べる。
- がしち(がっす、がっちゃー、はちち、ウニ) - 旧時は奄美大島でも豊富に取れたが、温暖化などにより減少し、現在はしるがしち(シラヒゲウニ)が7-9月の解禁期間の初めに少量流通する程度。卵巣を生で食べるか、塩漬け、煮物にする。
- ちきあげぃ(つき揚げ) - 浙江料理などにもあるが、沖縄料理である「チギアギー」が語源ともされており、全国的には薩摩揚げと呼ばれる練り物の揚げ物であるが、砂糖入りで、甘味が強い。奄美大島では瀬戸内町古仁屋のものが珍重される[16]。トビウオ(とぅびいゅ)類などが利用される。
- ^ a b c 恵原義盛、「序にかえて」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp3-5、1980年、鹿児島、道の島社
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- ^ a b 比地岡栄雄、「推薦のことば」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp6-8、1980年、鹿児島、道の島社
- ^ 与論島では卵焼き全般を「ふが焼き」という。
- ^ a b c d 藤井つゆ、「行事の料理」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp15-36、1980年、鹿児島、道の島社
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- ^ 今村知子、『かごしま文庫51 鹿児島の料理』pp30-32、1999年、鹿児島、春苑堂書店 ISBN 4-915093-58-1
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- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』p95、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ a b c 久留ひろみ、濱田百合子、「与論島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp178-181、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
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- ^ a b c 久留ひろみ、濱田百合子、「沖永良部島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp174-177、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
- ^ 与那国町商工会の登録商標。登録3315327ほか。
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- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』p94、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』pp110-113、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ 喜界島方言ですーきは料理、ご馳走の意味
- ^ 鹿児島県大島郡喜界町、『おいしいたのしい喜界島』pp22-23、2011年、喜界、喜界町保健福祉課
- ^ 国土交通省「平成17年度奄美群島生物資源等の産業化・ネットワーク化調査」. “奄美群島生物資源Webデータベース ヒラミレモン”. 奄美群島広域事務組合. 2014年10月26日閲覧。
- ^ 奄美新聞社 (2012年11月16日). “キウイフルーツの仲間 「クガ」の実たわわ”. 2015年11月16日閲覧。
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