奄美料理
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主食
1745年に薩摩藩が米ではなく砂糖を年貢として納めるように命じた「換糖上納」の歴史から、サトウキビの栽培が盛んとなったことと、戦後の減反政策の影響で稲作は現在ほとんど行われなくなっているが、主食は粳米(さく)である。九州地方などから輸送されたものを利用している。 1950年ごろまでは米は貴重品であったため、日常的にはサトイモ、タイモ、サツマイモや粟が主食で、さらに飢饉や戦時中など、蘇鉄の実や幹からとるでん粉も主食に加えられた時期もある。白米のご飯(与論島で「まい」)は貴重さを込めて銀飯(ぎんみし)とも呼ばれた。ハレの行事であり、「夏正月」ともいわれる夏の収穫祭礼「三八月」などにはおにぎり(力飯)、米粉とヨモギで作るかしゃ餅、冷たい小豆粥(あじきがい)、黒米を混ぜた赤飯(かしき、はしち)などの米を使った行事食が食べられる。
- なり粥(なりがい) - 蘇鉄(すてぃち)の実(なり)のデンプンをよく水に晒し、発酵させて毒抜きし、水を加えて煮た葛湯や重湯状のもの。蘇鉄の幹から取ったデンプン(せん)で作るせん粥(せんがい)、別名胴掻き粥(どーがきがい)とともに、不作の時の生命維持用に食べられた。
- 乾麺 - 江戸時代に黒糖に対する交易品として素麺が持ち込まれたことで、素麺を貴重な保存食として食べるようになった。また、台風が近づくと、本土(鹿児島、大阪・神戸)や沖縄本島と連絡しているフェリーがすぐに欠航する離島の食糧事情から、供給が一時的に途絶えても利用しやすい素麺、干し饂飩が家庭に常備され、行事食としてもよく利用されている。奄美市笠利町佐仁集落では八月踊りの際に踊り手の口に茹でたそうめんをつっこむように食べさせる。喜界町中里集落には、「ソーメンガブー」と呼ばれる、素麺を争奪する祭りがある[6]。
- ^ a b c 恵原義盛、「序にかえて」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp3-5、1980年、鹿児島、道の島社
- ^ a b 原口泉、「奄美の食文化」『奄美の食と文化』pp108-109、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
- ^ a b 比地岡栄雄、「推薦のことば」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp6-8、1980年、鹿児島、道の島社
- ^ 与論島では卵焼き全般を「ふが焼き」という。
- ^ a b c d 藤井つゆ、「行事の料理」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp15-36、1980年、鹿児島、道の島社
- ^ 南海日日新聞 (2014年10月22日). “「喜界町中里でソーメンガブー」”. 南海日日新聞. 2014年10月26日閲覧。
- ^ 今村知子、『かごしま文庫51 鹿児島の料理』p24、1999年、鹿児島、春苑堂書店 ISBN 4-915093-58-1
- ^ 今村知子、『かごしま文庫51 鹿児島の料理』pp30-32、1999年、鹿児島、春苑堂書店 ISBN 4-915093-58-1
- ^ a b 久留ひろみ、濱田百合子、「喜界島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp168-169、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』pp78-82、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ 奄美新聞 (2015年8月11日). “「ウンギャルマツ」食べよう”. 2015年11月30日閲覧。
- ^ 藤井つゆ、『新版シマヌジュウリ 奄美の食べものと料理法』、p91、鹿児島、南方新社。
- ^ a b 久留ひろみ、濱田百合子、「徳之島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp170-173、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
- ^ 宇都宮英之、『南の海の生き物さがし: 琉球弧・奄美の海から』p22、2006年、鹿児島、南方新社 ISBN 9784861240904
- ^ a b 宍道弘敏、塩浦喜久雄 ほか、「奄美海域におけるイセエビ類の生態と抱卵エビ蓄養技術」『鹿児島県水産技術開発センター研究報告 第2号』pp15-26、2011年、鹿児島、鹿児島県水産技術開発センター [1]
- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』p95、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ a b c 久留ひろみ、濱田百合子、「与論島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp178-181、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
- ^ 鹿児島県 (2009年6月17日). “かごしまの伝統野菜 有良だいこん(あっただいこん)”. 2015年1月15日閲覧。
- ^ a b c 久留ひろみ、濱田百合子、「沖永良部島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp174-177、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
- ^ 与那国町商工会の登録商標。登録3315327ほか。
- ^ 澄川盛昭の登録商標。登録5379620。
- ^ 高橋宙之、田畑耕作、田中征勝 「鹿児島県におけるフダンソウ在来種の調査と収集 (PDF, 723 KiB) 」『植探報』Vol.19 pp. 27–35、2003年、つくば、農業生物資源研究所
- ^ 鹿児島県 (2009年6月17日). “かごしまの伝統野菜 フル(葉にんにく)”. 2015年1月15日閲覧。
- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』p94、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』pp110-113、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
- ^ 喜界島方言ですーきは料理、ご馳走の意味
- ^ 鹿児島県大島郡喜界町、『おいしいたのしい喜界島』pp22-23、2011年、喜界、喜界町保健福祉課
- ^ 国土交通省「平成17年度奄美群島生物資源等の産業化・ネットワーク化調査」. “奄美群島生物資源Webデータベース ヒラミレモン”. 奄美群島広域事務組合. 2014年10月26日閲覧。
- ^ 奄美新聞社 (2012年11月16日). “キウイフルーツの仲間 「クガ」の実たわわ”. 2015年11月16日閲覧。
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