奄美料理 野菜料理

奄美料理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 07:22 UTC 版)

野菜料理

葉ニンニクと卵と揚げ豆腐の味噌炒め

本土と同様の野菜(やせぅ)も用いられるが、特徴ある食材、料理について記す。

  • にぎゃうい、にぎゃぐり(苦瓜、にじゃうい)の粒味噌炒め - 豚肉鶏卵を加えることもある。醤油を使う沖縄料理のゴーヤーチャンプルーとは風味が異なる。
  • いとうい糸瓜、なぶら、なぶりゃー)の味噌煮 - 未熟のヘチマを使った夏の料理。沖縄料理でも「なーべらーんぶしー」として食べられている。
  • まんじゅまい、まんじょまい、もっくゎパパイア) - 果物用とは別の品種の、青い生のものを漬物や炒め物とする。与論島では「ぱんしょーうぃ」。
  • まんじゅまいぬ つけぃむんパパイヤ漬け) - 奄美大島などで、青い未熟なパパイア(まんじゅまい、もっくゎ)の実の果肉を酢漬け、味噌漬け、醤油漬けなどにしたもの。パリパリした食感があり、みやげ物としても広く販売されており、鶏飯の具にもする。
  • ムンジョ青い未熟なパパイア(まんじゅまい)をせん切りにして、塩もみしてから酢味噌、ゴマ、ピーナッツ和えにしたもの。豊年祭力飯のおかずにされる。
  • ブシュカン漬け - 沖永良部島などで作られる、丸い形のブッシュカンの漬け物。
  • しぶりトウガン)といらぶちの酢味噌和え
  • ぴゃーすー - トウガンをくりぬいて、細く切った実を魚の切り身と和えた酢の物。与論島の料理[17]
  • 有良大根(あったでーくねぃ) - 奄美市有良集落特産の短いダイコン。煮物、刺身の妻、酢の物などにされる[18]
  • とっつぶる、とーちぶる - 東洋カボチャの地方品種。奄美市笠利町の在来種は長いヒョウタン型で、長カボチャともいう。つぶる、ちぶるはユウガオを意味する語。とっぴょう(喜界島)、とつぃぶる(沖永良部島)、なるかん(与論島)などとも呼ばれる。
  • むじ、くわり - 田芋サトイモずいきに似るが、えぐみが少なく、茹でて酢味噌和えにしたり、油炒めなどにする[19]
  • がっきょー(島らっきょう。だっきょ、だっちょー、ざっこー) - 生で醤油をかけたり、粒味噌を添えたり、天ぷらなどにして食べる。また、きび酢漬け、塩漬け、黒糖漬けなどにも加工される。
  • はんだま水前寺菜)の酢味噌和え - スイゼンジナ(与論島ではぱんだま)は他に白和え、天ぷら、サラダなどにもされる。
  • さくなー(ボタンボウフウ、長命草[20]、潤命草[21]) - 海岸に生えるセリ科の植物で、苦味があるが、風邪腎臓病に効くともされる。沖縄では以前から栽培もされてきたが、奄美では近年になって普及し、和え物、天ぷらなどで食べるようになった。
  • あざみ、あざん、あざまねぃげぃ(オイランアザミまたはシマアザミ) - 葉から棘のある部分を取り、葉軸だけをツワブキのように煮物にして食べる。シマアザミは「向春草」の名で栽培や茶外茶青汁などの加工品開発も試みられている。
  • むたぬた) - しんむとぅワケギ)などの酢味噌和え。とびんにゃなどを加えてもよい。
  • フダンソウと豚肉の味噌煮 - フダンソウ砂糖原料のひとつであるテンサイの亜種。沖永良部島でしゅーんなと呼ぶ。西日本で広く栽培されるが、奄美では青茎で、葉柄が短く、丸葉のものを多く栽培[22]。豚肉と煮物にされる。あざみの葉軸、昆布などを加える場合もある。
  • ふるいっき(葉ニンニクと塩豚の炒め物) - 冬場12月末-3月だけの野菜である葉ニンニク(ふる)[23]と塩漬け豚三枚肉の炒め物。沖永良部島では「ひるあぎ」、喜界島では「ひるいっちゃーしー」。適宜ニンジンなど他の野菜、アラゲキクラゲ(みんぐり、みんこーら)、豆腐などが加わる場合もある。
  • ニンニクの塊根(ふるんがぶ) - 沖永良部島などで塩漬け、黒糖漬け、きび酢漬けにする。
  • つばしゃツワブキ、つわ) - 葉柄佃煮、煮付けにする。沖縄料理(リュウキュウツワブキを使用)、薩摩料理にもある。大晦日に作るうゎんふにには欠かせない。また、黒糖で飴煮グラッセ)にしてつば菓子にもする。
  • 野菜の煮しめ - 里芋の八つ頭、昆布、干し椎茸の戻したもの、こんにゃく、人参、タケノコ厚揚げなどの甘い煮物。厚揚げの代わりに高野豆腐が入れる場合もある。
  • くさんでー(小桟竹) - 島たけのこ、こさんだけなどとも呼ばれ、若い部分を天ぷらや煮物に利用する。
  • ふーまめぃソラマメ) - 与論島ではとーまみ。薩摩半島と同様に広く植えられており、煮物や揚げ豆にする。喜界島は栽培が盛んで、そら豆醤油も作られている。
  • ほろまめぃジュウロクササゲ、ふろー) - 中国でも一般的なつる性の長いササゲ豆。
  • 味噌漬け豆腐(みすじけぃとふ) - 熊本県にもあるが、沖永良部島の名物料理で味噌の種類が異なる。沖縄料理の豆腐ようの変形か。
  • じまむぃどふ(地豆豆腐) - 沖縄料理(じーまーみ豆腐)、薩摩料理(だっきしょ豆腐)にもあり、昔は盆など、季節の食べ物であったが今は年中ある。とろみがある甘辛い醤油を付けて食べる。与論島ではじんまみとーぷ。
  • 地豆の粒味噌炒め - 薄皮付きで揚げた地豆(落花生)を使う。地豆は塩茹でにもする。
  • の実 - 奄美大島には渋みのないドングリが取れるスダジイ(別名オキナワジイ、イタジイ、シイノキ)が多く、実を炒って食べたり、煎餅に入れて焼くなど、食用にされている。リュウキュウイノシシの餌にもなっている。

  1. ^ a b c 恵原義盛、「序にかえて」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp3-5、1980年、鹿児島、道の島社
  2. ^ a b 原口泉、「奄美の食文化」『奄美の食と文化』pp108-109、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
  3. ^ a b 比地岡栄雄、「推薦のことば」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp6-8、1980年、鹿児島、道の島社
  4. ^ 与論島では卵焼き全般を「ふが焼き」という。
  5. ^ a b c d 藤井つゆ、「行事の料理」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』pp15-36、1980年、鹿児島、道の島社
  6. ^ 南海日日新聞 (2014年10月22日). “「喜界町中里でソーメンガブー」”. 南海日日新聞. 2014年10月26日閲覧。
  7. ^ 今村知子、『かごしま文庫51 鹿児島の料理』p24、1999年、鹿児島、春苑堂書店 ISBN 4-915093-58-1
  8. ^ 今村知子、『かごしま文庫51 鹿児島の料理』pp30-32、1999年、鹿児島、春苑堂書店 ISBN 4-915093-58-1
  9. ^ a b 久留ひろみ、濱田百合子、「喜界島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp168-169、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
  10. ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』pp78-82、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
  11. ^ 奄美新聞 (2015年8月11日). “「ウンギャルマツ」食べよう”. 2015年11月30日閲覧。
  12. ^ 藤井つゆ、『新版シマヌジュウリ 奄美の食べものと料理法』、p91、鹿児島、南方新社。
  13. ^ a b 久留ひろみ、濱田百合子、「徳之島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp170-173、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
  14. ^ 宇都宮英之、『南の海の生き物さがし: 琉球弧・奄美の海から』p22、2006年、鹿児島、南方新社 ISBN 9784861240904
  15. ^ a b 宍道弘敏、塩浦喜久雄 ほか、「奄美海域におけるイセエビ類の生態と抱卵エビ蓄養技術」『鹿児島県水産技術開発センター研究報告 第2号』pp15-26、2011年、鹿児島、鹿児島県水産技術開発センター [1]
  16. ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』p95、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
  17. ^ a b c 久留ひろみ、濱田百合子、「与論島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp178-181、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
  18. ^ 鹿児島県 (2009年6月17日). “かごしまの伝統野菜 有良だいこん(あっただいこん)”. 2015年1月15日閲覧。
  19. ^ a b c 久留ひろみ、濱田百合子、「沖永良部島の郷土料理」『奄美の食と文化』pp174-177、2012年、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3
  20. ^ 与那国町商工会の登録商標。登録3315327ほか。
  21. ^ 澄川盛昭の登録商標。登録5379620。
  22. ^ 高橋宙之、田畑耕作、田中征勝 「鹿児島県におけるフダンソウ在来種の調査と収集 (PDF, 723 KiB) 」『植探報』Vol.19 pp. 27–35、2003年、つくば、農業生物資源研究所
  23. ^ 鹿児島県 (2009年6月17日). “かごしまの伝統野菜 フル(葉にんにく)”. 2015年1月15日閲覧。
  24. ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』p94、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
  25. ^ 蔵満逸司、『奄美食(うまいもの)紀行』pp110-113、2005年、鹿児島、南方新社、ISBN 9784861240508
  26. ^ 喜界島方言ですーきは料理、ご馳走の意味
  27. ^ 鹿児島県大島郡喜界町、『おいしいたのしい喜界島』pp22-23、2011年、喜界、喜界町保健福祉課
  28. ^ 国土交通省「平成17年度奄美群島生物資源等の産業化・ネットワーク化調査」. “奄美群島生物資源Webデータベース ヒラミレモン”. 奄美群島広域事務組合. 2014年10月26日閲覧。
  29. ^ 奄美新聞社 (2012年11月16日). “キウイフルーツの仲間  「クガ」の実たわわ”. 2015年11月16日閲覧。





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