公共の福祉 規制目的と合憲性判定基準の関係

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公共の福祉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 19:12 UTC 版)

規制目的と合憲性判定基準の関係

司法審査における判定基準(合憲性判定基準/違憲審査基準)として、厳格な基準と緩やかな基準に大別する二重の基準理論があるが、消極目的規制の場合は厳格な基準の場合を含むものの、消極目的規制の場合は緩やかな審査基準の場合もあることに注意を要する。例えば経済的自由権の一種である営業の自由での薬事法距離制限の事例は、消極目的規制であるが、司法審査基準としては緩やかな基準である。(緩やかな基準のうちの「厳格な合理性の基準」が採られる。)

他方、積極目的規制がされる場合は、緩やかな審査基準であり、緩やかな基準のうちの「明白性の基準」等が採られる。

国際人権規約との関係

日本国が締約している「国際人権規約」の「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約、B規約)」[15]の規定に基づき、日本国政府は2012年までに6回、自由権規約人権委員会へ定期報告を行い、委員会は定期報告を踏まえ、規約の履行状況を審査したうえで、日本国政府へ「最終見解」により、「国内法を規約に合致させるよう[16]」、また「法的措置をとるべき[17]」と、懸念事項及び勧告を提示してきた。

日本国政府は第4回定期報告において、「公共の福祉」の概念について、主として、基本的人権相互間の調整を図る内在的な制約理念により一定の制限に服することがある旨を示すものであり、「公共の福祉」の概念は、各権利毎に、その権利に内在する性質を根拠に判例等により具体化されていることから、実質的には、規約による人権の制限事由の内容とほぼ同様なものとなっており、「公共の福祉」の概念の下、国家権力により恣意的に人権が制約されることはあり得ない旨を説明しており、第5回以降の定期報告でも同様の説明を繰り返し行っている。しかしながら、第4回以降、第6回までの定期報告に対する最終見解において、委員会はその都度、「公共の福祉」の概念は曖昧で制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容し得ると、懸念を表明している。

そのうえで、第5回定期報告に対する最終見解において委員会は、「『公共の福祉』の概念を定義し、かつ『公共の福祉』を理由に、規約で保障された権利に課される『あらゆる制約が、規約で許容される制約を超えられない』と明記する立法措置をとるべきである」旨を勧告し、第6回定期報告に対する最終見解においては、「規約第18条及び第19条の各第3項に規定された厳格な要件を満たさない限り、思想、良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する、権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを促す」旨を勧告している。

なお、規約で許容される制約の一例として、たとえば規約第19条第3項において、表現の自由の行使については一定の制限を課すことができるが、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限ることとされている[18]

   (a) 他の者の権利又は信用の尊重 
   (b) 国家の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

憲法改正案における「公共の福祉」の取扱い

自由民主党憲法改正推進本部は、2012年(平成24年)4月に「日本国憲法改正草案」を発表しているが、当該草案において「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」へ変更しており、その理由について「日本国憲法改正草案Q&A」のQ15で説明している。


  1. ^ a b c 衆議院憲法調査会事務局(平成15年6月5日開催「基本的人権の保障に関する調査小委員会」参考資料), 「基本的人権と公共の福祉に関する基礎的資料 -国家・共同体・家族・個人の関係の再構築の視点から-」, p. 10, https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi031.pdf/$File/shukenshi031.pdf 
  2. ^ 宍戸常寿『憲法解釈論の応用と展開』(日本評論社、2011年)9頁
  3. ^ 長谷部恭男「国家権力の限界と人権」『憲法の理性』(東京大学出版会、2006年)63頁以下
  4. ^ 宮沢俊義『憲法Ⅱ〔新版〕』(有斐閣、1971年)236頁参照
  5. ^ 芦部信喜『憲法学Ⅱ人権総論』(有斐閣、1994年)198頁参照
  6. ^ 佐藤幸治『憲法〔第三版〕〕』(青林書院、1995年)403頁
  7. ^ 浦部法穂『憲法学教室〔全訂第2版〕』(日本評論社、2006年)84頁以下
  8. ^ 高橋和之『立憲主義と日本国憲法〔第2版〕』(有斐閣、2010年)111頁以下
  9. ^ 長谷部恭男(編)『リーディングズ現代の憲法』(日本評論社、1995年)47頁〔内野正幸〕
  10. ^ 渋谷秀樹『憲法〔第3版〕』有斐閣、2017年、169-170頁。
  11. ^ 渋谷秀樹『憲法』(有斐閣、2007年)159頁
  12. ^ 初宿正典『憲法2〔第3版〕』(成文堂、2010年)49頁
  13. ^ 曽我部真裕、赤坂幸一、新井誠、尾形健(編)『憲法論点教室』(日本評論社、2012年)70頁〔曽我部真裕〕
  14. ^ 宍戸常寿『憲法解釈論の応用と展開』(日本評論社、2011年)11頁参照
  15. ^ 国際人権規約―自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)(外務省ウェブサイト)
  16. ^ "規約第40条に基づき日本から提出された報告の検討 B規約人権委員会の最終見解", 市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)人権委員会, 外務省. 2016年8月6日閲覧
  17. ^ "規約第40条に基づき締約国より提出された報告の審査 自由権規約委員会の最終見解", 自由権規約委員会, 外務省. 2016年8月6日閲覧
  18. ^ 東澤 靖「研究ノート : 表現の自由をめぐる憲法と国際人権法の距離 : 自由権規約委員会一般的意見34の検討を中心に」『明治学院大学法科大学院ローレビュ』第16号、明治学院大学大学院法務職研究科、2012年3月、 93-111頁、 hdl:10723/1087


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