WITHレーダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 00:58 UTC 版)
「ゲリラ雷雨防衛隊」の記事における「WITHレーダー」の解説
WITHレーダーとは、従来の雨雲レーダーでは捉えることのできない、対流圏下層(上空2km以下)の現象を捕捉できる小型レーダーである。WITHレーダーには、固定型と移動型(専用車搭載型)の2つの種類があり、固定型は首都圏や関西圏・NEXCO西日本の営業エリア を中心に全国31台(2010年8月3日現在)配置され、移動型は必要に応じて出動できる状態になっている。ウェザーニューズでは、通称「CASAプロジェクト」として、将来的には全国100ヵ所以上に固定型WITHレーダーを配置するほか、2010年2月10日に文部科学省から譲渡された三代目南極観測船初代しらせにも設置し、首都圏のゲリラ雷雨や突風などをリアルタイムに観測、情報発信していく計画である。WITHレーダーは、従来の雨雲レーダと比較して以下のような違いがある。 上空2km以下の現象を捕捉できる。 (従来のレーダーでも、データの抽出部分を変えることによって任意の高度の平面図を得られる。実際に、民間気象会社などに配信されている気象庁レーダーのエコーデータからは、一般的な2km以外の高度のデータも作成されている。なお、WITHレーダーでは、スキャンの仰角が固定されていて、レーダー近傍と遠方とで観測高度が大きく異なるため、観測結果の利用には注意が必要である) 雨雲の移動速度、移動方向が捕捉可能である。 (気象レーダーにおけるドップラー速度の観測機能は、日米の気象当局が1990年代から現業利用を始めるなど、WITHレーダー出現前から広く普及しており、2010年時点ですでに新規性のある技術ではない) 従来型のレーダーの更新頻度が300秒毎であったのに対し、更新頻度が6秒毎に短縮されている。 (比較対象と思われる気象庁レーダーが、600秒間にアンテナの仰角を変えながら28回前後の全周スキャンを行う(1シークェンス中に2回データを作成する)のに対し、WITHレーダーは、6秒間に仰角固定の120°水平スキャンと所定方向の垂直スキャン(60°?)を各1回行うだけであり、観測方法自体が全く異なる。また、両者の分解能(ビーム幅)及び探知距離には数倍の差があるため、所要時間だけでの単純な比較は無意味である) 地面に対して水平方向のスキャニングで雨雲の位置を把握するだけではなく、垂直方向のスキャニングで雲高を把握したり、降雨の有無を確認することが可能である。 (上記のとおり、一般的な気象レーダーは、仰角を変えながらアンテナを回転させて概ね扇形回転体内の空間を立体的にスキャンし、広範囲に雲の垂直方向の広がりや内部構造を把握する。一方、WITHレーダーは、衛星画像や他のレーダーの観測結果などから当たりをつけた領域の集中捜索を行うのが本来の用法であり、役割の違いと性能の差を混同すべきではない) 現在、2020年までの首都圏全域配備を目指して、WITHレーダーの後継となる『EAGLEレーダー』の開発を進めている。(オクラホマ大学やNanowave社との共同開発) 3次元且つ360°全方位を高速スキャン可能な新型マルチビームレーダーである。 また東京五輪を見据え、筑波大学と共同でドローンによる観測値を使った都市気象予測モデルの開発も計画している。
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