Voodoo Bansheeまで
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「3dfx」の記事における「Voodoo Bansheeまで」の解説
3dfxは1995年にCOMDEXにてVoodooを発表。これは一般的なPCに取り付けると、基本となるVGA互換コントローラに代わって3Dの高速描画を実現するグラフィックアクセラレータである。その仕組みは、通常のGDI描画をはじめとする2D描画については既存のビデオカードやオンボードのグラフィックコントローラが実行し、3D描画に限ってPCIバスに追加されたVoodooが実行する、というものである。このため、既存のビデオカードやグラフィックコントローラのアナログRGB出力をVoodooの入力端子に接続、VoodooのアナログRGB出力をモニターに接続するというもので、2D描画時にはVoodooのデバイスドライバがVoodoo上のリレースイッチ経由で入力されたアナログRGB信号をそのままパススルー出力し、3D描画時のみこのスイッチを切り替えてVoodooの画像出力をモニターに表示させるという仕組みを取っていた。同時期に同じく独自規格のAPIを利用する3D専用アクセラレータとして、イギリスのビデオロジック社が開発しNECなどがチップ生産を担当したPowerVRが存在したが、こちらは既存のビデオカードのVRAMにPCIバス経由で直接表示データを書き込んで表示するというものであり、既存のビデオカードの性能にも左右される、チップセットなどと相性があるなどの問題があった。 3dfxは1997年にVoodooチップのサブセット版に他社製VGA互換チップを組み合わせることで、他のグラフィックカードなしでのスタンドアローン動作を可能としたVoodoo Rushを発売している。もっともこのVoodoo Rushはカード上のメモリに対する読み書きで3D描画にかかわる処理を完結していた初代Voodooと比較すると、テクスチャメモリは独立して搭載されているものの、実際の画面表示は2D描画を担当するVGAチップに接続されているフレームバッファ用VRAMに対し、画面リフレッシュの隙を縫う形で3D側で演算・描画した表示データを書き込む、という動作を行うため3D性能の低下が顕著で、Glide対応にもかかわらずこのカードのみ非対応とされたソフトが少なからず存在した。また、同時期の競合他社製品と比較して2D用VGA互換コントローラの性能が著しく低く交換できないことや、VGA互換コントローラを含め3つのコントローラチップと多数のEDO DRAMチップを搭載せねばならず低価格化が難しかったこともあって市場での評価は低く、このシリーズは比較的早く生産中止になっている。 1998年には、テクスチャ演算ユニットを2基搭載として3D描画を高速化、加えてSLI(Scan Line Interleave)を採用、2枚搭載とすることで更なる高速化を可能としたVoodoo2の発売により、3dfx社は高性能3Dアクセラレータメーカーとしての地位を確固としたものにする。しかし、Voodooはあくまで3D描画専用の補助装置であったので、通常のビデオチップ、ビデオカードメーカーとの市場の住み分けが出来ていた。 1998年の年末に発売されたVoodoo BansheeはVoodoo2のアーキテクチャを基本としつつVoodoo系チップとしては初めてVGA上位互換の2D描画機能を搭載、メモリインターフェイスをEDO-DRAM対応から当時最新のSDR-SDRAM対応に変更、テクスチャ演算ユニットを1基搭載としてVoodoo2から半減、その代わりコアの動作クロックを引き上げてバス幅を128ビットに倍増、1チップ構成ながらカード単独では3チップ構成のVoodoo2に迫る3D性能を実現した。このVoodoo Bansheeはメモリインターフェイスの128ビット化などの威力によって同時期の他社製品と比較して2D描画も非常に高速で、2D/3D共に高性能なバランスのとれた製品となった。このため、安価で優れた製品を開発できるアジア勢のビデオカードメーカーもこぞってVoodoo Bansheeを採用したビデオカードを製造し、その結果、1998年のクリスマス商戦の際にはVoodoo Banshee搭載製品が多数市場に出回った。このVoodoo Bansheeの成功によって3dfxは有力グラフィックコントローラメーカーとなり、ATIやMatrox、S3といった有力メーカー各社とシェアを争うようになった。
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