VTOL機での使用とは? わかりやすく解説

VTOL機での使用 (STOVL方式)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 06:39 UTC 版)

スキージャンプ (航空)」の記事における「VTOL機での使用 (STOVL方式)」の解説

インヴィンシブル」のスキージャンプから発進するシーハリアーFRS.1 「クイーン・エリザベス」のスキージャンプから発進するF-35B 1960年代イギリスホーカー・シドレー社は、世界初実用垂直離着陸機としてハリアー開発進めていた。まずは空軍向けの攻撃機として開発されていたが、1969年頃からは、海軍向けの艦上戦闘機版(シーハリアーFRS.1)の開発着手された。 ハリアー垂直離着陸VTOL)に対応しているが、離陸する際には、短距離でも滑走行えば当に搭載量増やすことができることから、実際の運用では、垂直離陸(VTO)ではなく短距離離陸STO)と垂直着陸VL)を組み合わせたSTOVL方式となることが多い。当初装備搭載したハリアー発艦させるためにはカタパルトが必要と考えられていたが、母艦として予定されていた全通甲板巡洋艦(後のインヴィンシブル級)は蒸気タービンではなくガスタービンエンジン主機とする予定だったため、カタパルトのための蒸気供給課題となっていた。これを解決するため、1969年海軍のダグラス・テイラー中佐と、ホーカー・シドレー社のラルフ・フーパー技師が、ほぼ同時にハリアー発艦支援設備としてスキージャンプ台を使うことを着想した。これは、まずエンジンノズルを船尾側に向けたままで水平な飛行甲板上を加速し艦首スキージャンプ台差し掛かったところでノズル回転させて推進力部分的に下方に向け、半弾道曲線描きながらスキージャンプ台通過することで、水平に滑走したときよりも高い高度まで機体押し上げることができる、というものであったこのように高度を稼ぐことで、従来より大きな揚力を得ることができ、より重い機体でも浮揚することが可能になる1976年ホーカー・シドレー社のフォザード技師長がこの着想取り上げて本格的な研究開始された。この結果兵装最大積載状態であれば滑走距離を50パーセント以上減少させ、また滑走距離を一定とした場合はミリタリーロードを30パーセント増加できること判明した例えば、甲板上合成風速(WOD25ノット環境で、ハリアーが4,500キログラム燃料兵装搭載してSTO発進する場合スキージャンプ使わずひたすら水平に滑走すると、滑走距離180メートルで離艦時対気速度222キロメートル毎時となるのに対し12度スキージャンプ使用すれば、離艦時対気速度204キロメートル毎時低下するうえに燃料兵装30パーセント増やして安全に発進でき、また同じ搭載量であれば離艦時対気速度130キロメートル毎時として滑走距離を3分の1短縮することができると算出された。 1977年には、ベッドフォード基地使用されていない誘導路実験用スキージャンプ台設置され同年8月から1979年6月までに計430回のテスト離陸が行われた。試験には、空軍ハリアーGR.1と、BAeデモンストレーション用自費製作した複座ハリアーT.52が使用された。この結果スキージャンプ台恩恵確認され試験担当したテストパイロットであるジョン・ファーレイは、「これまで経験したことのない、総合的にWin-Win最善アイデア」と評した当初勾配角6度とされていたが、後に20度までの様々な角度試験が行われ、12度最善であると結論された。しかしインヴィンシブル級の1番艦・2番艦では、艦首設置されシーダート発射機との干渉避けるため、勾配角7度とされた。一方、まだ起工前で設計修正する余裕があった3番艦や、艦が大きく余裕があった「ハーミーズ」では勾配角12度とされており、1・2番艦でも後に同様に改修された。 また1978年9月には、陸軍工兵隊英語版)によってハンプシャー王立航空研究所にも勾配角15度スキージャンプ台設置されて、同年ファーンボロー国際航空ショーハリアーによる発進デモンストレーションされた。翌年アメリカ海兵隊はこのスキージャンプ台購入して勾配角12度変更してパタクセント・リバー海軍航空基地移設したのち、1981年にはチェリー・ポイント海兵隊航空基地に近いボーグ海兵隊予備着陸場(英語版)に移設して、海兵隊ハリアー操縦士訓練用いられた。1984年度計画からワスプ級強襲揚陸艦建造する際には、スキージャンプ設置することも検討されたものの、スキージャンプ部分ヘリコプター発着できなくなって同時発着数減少することが問題視され艦型大きく十分な滑走距離を確保できることも勘案して結局は採用されなかった。

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