RNAワールド仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:05 UTC 版)
詳細は「RNAワールド」を参照 RNAワールド仮説は、「初期の生命はRNAを基礎としており、後にDNAにとって替わられた」とするものである。1981年、トーマス・チェックらによって発見された触媒作用を有するRNAである「リボザイム」がその根底にある。また、レトロウイルスによる逆転写酵素の発見もその拍車となった。RNAワールド仮説の趣旨は以下の通りである。 RNAは自己スプライシングやrRNAの例もあり、自ら触媒作用を有している。 RNAはRNAウイルスにおいては遺伝情報の保存に役割を果たしている。 RNAはDNAに比べて変異導入率が高く、進化速度は速い。 RNA自体が触媒作用と遺伝情報の保存の両者をになう点は、生物学者に大きなインパクトを与え、RNAワールド仮説は、いまだ生命の起源の論争の中でも主たる考察であると言える。しかしながら、RNAワールドを否定する意見としては、以下の点があげられる。 リボザイムの持つ自己複製能力は、それ自体では存在しない。 リボザイムの触媒能力はタンパク質のそれに比べてきわめて低く、特異性も存在しない。 RNAは分子構造が不安定であり、初期の地球に多量に存在したであろう、紫外線や宇宙線によって容易に分解を受ける。 しかし、特異性に関しては近年ではハンマーヘッド型リボザイムを筆頭に顕著な改善が認められる。
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RNAワールド仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 04:20 UTC 版)
詳細は「RNAワールド」を参照 RNAワールド仮説は、生命が発生した頃にはRNAが遺伝情報の維持(現在のDNAの役割)と、酵素のような生化学的触媒の両方の役割を担っていたとする仮説である。これは無生物的な環境下に於いてRNAがDNAと比較して容易に合成されることなどを根拠としている。 この仮説では生物は遺伝情報(ゲノム)の貯蔵媒体としてRNAを使用し、その後の変異と進化によりDNAとタンパク質が徐々に台頭してきたと考えられている。ただしRNAはDNAと違って相補性が確保されておらず、修飾を受けやすい不安定な分子であり、生物においてゲノムを安定に保持する機能は主にDNAが担っている。一方で、非生物の特性を併せ持つウイルスでは、ゲノムを持つRNAウイルスとしては、プラス鎖のもの(コロナウイルスなど)とマイナス鎖のもの(インフルエンザウイルスなど)の両方が見つかっている。現時点(2006年)では、ゲノムの保持にDNAではなくてRNAを用いているのはウイルスだけであると考えられている(ウイルスにはゲノムの保持媒体にRNAを用いているものとDNAを用いているものの2種類がある)。
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