プロテインワールド仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:05 UTC 版)
「生命の起源」の記事における「プロテインワールド仮説」の解説
「タンパク質がまずはじめに存在し、その後タンパク質の有する情報がRNAおよびDNAに伝えられた」とする仮説である。RNAワールド仮説と双璧をなす生命の起源に関する考察のひとつであり、近年プロテインワールドを支持する化学進化の実験結果が多く得られている。プロテインワールド仮説の趣旨は以下の通りである。 タンパク質は生命反応のあらゆる触媒をになっており、代謝系を有する生命には必須である。 20種類のアミノ酸から構成されており、多様性に富んでいる。 セントラルドグマのあらゆる反応に酵素の触媒は関与している。 ユーリー-ミラーの実験で生じた、4種のアミノ酸(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、バリン)を重合させたペプチドは触媒活性を有している(GADV仮説)。 さらにそれらのアミノ酸の対応コドンはいずれもGからはじまるものであり、アミノ酸配列からDNA、RNAに情報が伝達された痕跡であると考えられる(GNC仮説)。 GADV仮説は、奈良女子大学教授の池原健二によって提唱された、プロテインワールド仮説を支持する新説である。この説により、プロテインワールド仮説がより重みを増したと言える。しかしながら、これにも以下の反証があげられる。 ペプチドには自己複製能力が存在しない。 タンパク質もRNAほどではないが、分子構造が不安定である。 ランダムに重合したアミノ酸から特定のコンフォメーションを有する酵素等が自然に出来上がるとは考えにくい。 第一の点に関しては鋳型とモノマーを材料としたポリマライゼーションのみを自己複製とするなら指摘の通りだが、広義の自己複製ならその限りではない。
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