RNAポリメラーゼIIの立体構造
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「RNAポリメラーゼ」の記事における「RNAポリメラーゼIIの立体構造」の解説
ロジャー・コーンバーグらは2001年に X線構造解析の結果を発表した。RNAポリメラーゼIIの結晶化は難しく、撮影に用いたのはRpb4とRpb7を欠いた酵母変異株のもの(polII Δ4/7)だった。これは転写を開始できないが、伸長反応は問題なくできる。 全体の構造は巨大な顎のようで、酸性のDNAをくわえる深い溝がある。このため残りの酵素表面は酸性であるのに対し、溝には塩基性残基が並ぶ。上顎はRpb1とRpb9、下顎はRpb5である。底の触媒活性中心には2個のMg2+があり、コーンバーグらはメタルA (metal A) とメタルB (metal B) に区別した。メタルAはRpb1のD481、D483、D485といった3個のアスパラギン酸と強固に結合している。一方、メタルBはRpb1のD481、Rpb2のE836とD837に囲まれているものの、配位結合するには距離がある。触媒反応の過程でこれら酸性アミノ酸が近づくと考えられる。メタルBは基質のリボヌクレオチド三リン酸と結合する。 真正細菌同様、RNAポリメラーゼIIにもポア1 (pore 1) という、合成したRNAを出す出口が存在する。漏斗状のポア1外縁には、出てきたRNAを切断するTFIISと結合するアミノ酸が並ぶ。一方、入り口は14 Åにも及ぶクランプモジュール (clamp module) が回転することによって開閉される。プロモーターは酵素表面でほどかれ、相補鎖を外に残して鋳型鎖が溝の中へ誘導される。
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