MG・メトロ6R4とは? わかりやすく解説

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MG・メトロ6R4

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 00:15 UTC 版)

MG・メトロ6R4

MG・メトロ6R4とは、MGブランドでブリティッシュ・レイランドが開発したグループB車両である。

名前は6気筒(6cylinder )・ラリー(rally )・4WDに由来する[1]

概要

ローバー・メトロのMG版をベースに製作された。開発にはウィリアムズ・グランプリ・エンジニアリングや、イギリスの駆動系メーカーであるジャックナイト英語版などが関わっているとされる。

エンジンは元コスワースの従業員、デヴィット・ウッドが設計したもので、総アルミニウム合金製、バンク角90度のV型6気筒[1]、動弁系は気筒あたり4バルブ(計24バルブ)[1]DOHC[1]と言う構成のV64Vエンジン英語版で、これを縦置きミッドシップに搭載した。排気量2,991 ccから、最高出力380 - 410 PS[1]/8,500 rpm(ロードバージョンの計画値は250 PS)、最大トルク31 kg-m/6,500 rpmを発揮した。グループBカテゴリのトップ争いにおいて必須と見なされていたターボチャージャーターボラグを理由にあえて採用せず、大排気量の自然吸気エンジンとしている。ドライブトレインは前後トルク配分35対65のビスカス式のセンターデフを介して駆動する4WDとした。初期の試作車にはローバー・V8エンジンの2気筒をカットして作られた通称V62Vエンジン(気筒あたり2バルブ)が載せられていたものの、採用は見送られた。

シャシはメトロのモノコックをベースにしつつ、後半部を鋼管スペースフレームに変更し、もともとの居住空間(後部座席)を、全く新たなパワートレインとサスペンションのスペースとした。コンパクトカーをベースとしたためホイールベースは2,412 mmと極端に短いが、あえてそのままとした一方、前後のトレッドは1,510/1,550 mmと十分に確保されている。

F1チームが関わっていることもあり、空力性能はグループBカーの中でも優れていた。その空気の流れから、川や大きな水溜りがあるセクションなどでは、水を前や横ではなく、エアアウトレットから真上に吹き上げて派手な水柱を作るため、遠くからでもその存在が分かるほどで、マスメディアでもその瞬間を狙った映像や写真が多数紹介された。

生産台数はグループBの規定に準じて200台余りが生産されたが、他のグループB車両とは異なり、20台がファクトリーチームに提供されたほかはすべてプライベーターに引き渡され、結局市販車(ロードカー)としては販売されなかった。

なお、メトロ6R4のロードバージョンの名前は「クラブマン」、ワークスバージョンは「インターナショナル」という名前だった。

戦歴

世界ラリー選手権WRC)参戦についてはワークスチームであるMGオースチンレーシングチームと各地プライベーターにより参戦。 活動時期は1985年の最終戦RACラリーから1986年モンテカルロ、スウェディッシュ、ポルトガル、ツール・ド・コルス1000瑚サンレモ、RAC・ラリーにワークス、プライベーターともに投入されたもののWRC参戦はこの1年弱と短く、アクロポリスサファリ、ニュージーランド、アルゼンチン、コート・ジボワール等比較的コストの嵩むハードなステージには投入されなかった。

デビュー戦の1985年最終戦RACでは、トニー・ポンド英語版が駆り、ランチア・デルタS4の1-2フィニッシュに次ぐ3位入賞。 1986年1000瑚でパー・エクルンドが7位、サンレモではマルコム・ウィルソンが4位と、WRC全体でみればポイント圏内に入ることがやっとで安定した信頼性は低いものの、ポテンシャルの高さを見せている。

ウィル・ゴロップのドライブするMG Metro 6R4 BiTurbo(1991年のFIAヨーロッパラリークロス選手権にて)

WRCでのグループB終了後の1987年、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムヨーロッパラリークロス選手権英語版(Euro RX, ERX) においてプジョーアウディフォード勢等と参戦、その後もプライペーターにより多くのラリーイベントでその姿を観ることができた。

WRC王者のディディエ・オリオールは「あなたにとって最強のマシンは?」という質問に、フォード・シエラコスワースランチア・デルタ インテグラーレとともにメトロ6R4を挙げている[2]

トールマン・グループはまた、メトロ6R4をパリ・ダカール・ラリーに参戦するよう改造し、サスペンションを上げてエンジンをローバー 3.5 L V8に換装し、「TG88 メトロ・レイダー」(Metro Raider) と呼ばれていた。その後、レイナードの助けを借りて、車は変更されたボディで更新され、前年とは異なる外観になり、現在は「TG89 エンデューロ」(Enduro)と呼ばれている[3][4]

出典

  1. ^ a b c d e 『外国車ガイドブック1986』p.14。
  2. ^ 『Racing on(レーシングオン) No.368』P47 三栄書房刊
  3. ^ The History Of the 6R4”. 6R4.net.. 2023年4月21日閲覧。
  4. ^ Ted Toleman”. AUTOSPORT. 2023年4月21日閲覧。

参考文献

外部リンク




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