LU分解とは? わかりやすく解説

LU分解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/24 05:33 UTC 版)

数学における行列のLU分解(エルユーぶんかい、: LU decomposition)とは、正方行列 A下三角行列 L上三角行列 U の積に分解すること。すなわち A = LU が成立するような LU を求めることをいう。正方行列 A のLU分解が存在する必要十分条件はすべての首座小行列式が 0 でないことである。また L の対角成分をすべて 1 とすれば分解はただ一通りに定まる。文献によってはLR分解とも呼ばれる(それはAを左三角(left triangular)と右三角(right triangular)の行列の積に分解するということにちなむ)。

LU分解の手法

以下、n正方行列の場合で説明する。基本的にはA = LU の各成分について書き下した n2 個の式を解くことにより、行列 L , U を求めるのだが、このままでは未知の係数の個数(n (n + 1) 個)が式の個数(n2個)より多いので解けない。これを解くための解法には ドゥーリトル法クラウト法 の2つがある。

  • ドゥーリトル法では、行列 L の対角成分の全てを 1 とおき、(1, 1) 成分 , (2, 1) 成分 , (3, 1) 成分 , ... , (1, 2) 成分, (2, 2) 成分, ... の順に n2 個の式を解く。
  • クラウト法では、行列 U の対角成分の全てを 1 とおき、(1, 1) 成分 , (1, 2) 成分 , (1, 3) 成分 , ... , (2, 1) 成分, (2, 2) 成分, ... の順に n2 個の式を解く。

ドゥーリトル法による2次行列のLU分解を行う。与えられた正方行列A の成分をaij とする。

  1. 下三角行列 L の対角成分を全て 1 とおき、残りの成分、(1, 2)を0、(2, 1)を変数l21 とおく。
  2. 上三角行列 U の対角成分と対角成分より上の成分を変数におく。
  3. A=LU の両辺を係数比較する。
  4. 上式を上から順に解くことでL , U が求められる。

応用

連立1次方程式

連立1次方程式

の解き方に、行列 A を LU分解する方法がある。L , U は下三角行列、上三角行列であるため、逆行列を求めることなく計算することが可能である。このため、同じA に対しb だけを変えていくつも連立方程式を解く場合、LU分解は有用である[1]

与えられた方程式

に対し、変数y

とおき、これを上式に代入する。

から変数y を求める[注釈 1]。求めた解yUx = y の右辺に代入し、解 x を求めることができる[注釈 2]

Ly = bガウスの消去法の前進消去、Ux = yは後退代入に対応する。

逆行列

行列 A を LU 分解すると、

により逆行列A-1 を求められる。

また、

ei単位行列I の第i 列)

の解xi を並べた行列AX = I を満たすので、このようにしても逆行列A-1 を求めることができる。

行列式

行列 A を LU 分解できれば、その行列式は簡単に求めることができる。なぜならば、行列 L および U は三角行列であることから、それらの行列式 |L | , |U | は対角成分の積で表され、|A | は、

と計算できるからである。

変種

LDU 分解
下三角行列 L対角行列 D と上三角行列 U の積に分解する。
LUP 分解
下三角行列 L と上三角行列 U置換行列 P の積に分解する。

脚注

注釈

  1. ^ 左辺Ly を計算し、左辺と右辺を係数比較すれば、y が求まる。
  2. ^ 左辺Uxを計算し、左辺と右辺を係数比較すれば、x が求まる。

出典

  1. ^ Joel H. Ferziger; Milovan Perić 著、小林敏雄、谷口伸行、坪倉誠 訳『コンピュータによる流体力学』シュプリンガー・フェアラーク東京、2003年、90頁。ISBN 4-431-70842-1 

関連項目


LU分解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:25 UTC 版)

行列の分解」の記事における「LU分解」の解説

詳細は「LU分解」を参照 適用正方行列 A 分解A = LU,、ただし L は下三角行列で U は上三角行列 関連LDU分解は A = LDU である、ただし L は下三角行列対角線に 1 が並び、U は上三角行列対角線に 1 が並び、D は対角行列である. 関連LUP分解英語版)は A = LUP である、ただし L は下三角行列で、U は上三角行列で、P は置換行列である. 存在LUP 分解任意の正方行列 A に対して存在する。P が単位行列のとき、LUP分解はLU分解となる。LU分解が存在すればLDU分解存在するコメントLUP 分解と LU 分解は n × n の線型方程式系 Ax = b を解く際に有用である。これらの分解ガウスの消去法過程行列の形にまとめたものである行列 P はガウスの消去法過程行われる任意の行の交換を表す。ガウスの消去法で行の交換なしに行階段形になれば P = I であり、したがって LU 分解は存在する

※この「LU分解」の解説は、「行列の分解」の解説の一部です。
「LU分解」を含む「行列の分解」の記事については、「行列の分解」の概要を参照ください。

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