行列の平方根
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/30 19:29 UTC 版)
数学のおもに線型代数学および函数解析学における行列の平方根(ぎょうれつのへいほうこん、英: square root of a matrix)は、数に対する通常の平方根の概念を行列に対して拡張するものである。すなわち、行列 B が行列 A の平方根であるとは、行列の積に関して B2 = BB が A に等しいときに言う。
「実数の平方根は必ずしも実数にならないが、複素数は必ず複素数の範囲で平方根を持つ」ことに対応する事実として、実行列の平方根は(存在しても)必ずしも実行列にならないが、複素行列が平方根を持てばそれは必ず複素行列の範囲で取れる。
平方根を持たない行列も存在する[注 1]。
また一般に、ひとつの行列が複数の平方根を持ち得る[注 2]。実際、2 × 2 単位行列は次のように無数の平方根を持つ。 カテゴリ
行列の平方根
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 00:42 UTC 版)
詳細は「行列の平方根」を参照 一般に、正方行列 A に対して、X2 =A を満たす正方行列 X を A の平方根行列と呼び、記号で √A あるいは A.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄2 と表す。平方根行列は存在するとは限らず、存在しても1つだけの場合や複数個の場合、無限個存在する場合がある。例えば、二次単位行列 I2 は無数の平方根を持つ。ただしその中で正定値となるのはただ一つ I2 自身である。 また、半正定値複素(resp. 実)正方行列 A に対して、A = BB*(あるいは A = B*B. ここに ∗ はエルミート共軛)を満たす(正方とは限らない)任意の行列 B をしばしば、 A の非エルミート (resp. 非対称) 平方根 (non-Hermitian (resp. symmetric) square root) と呼ぶ(とくに適当な三角行列となるときコレスキー因子 (Cholesky factor)とも呼ぶ)。B がそれ自身エルミート(実係数の場合は対称)ならば、これは上で述べた平方根の概念と一致する。任意の正定値エルミート行列 P に対し、それ自身正定値エルミートとなる平方根は一意であり、これを主平方根 (unique square root, principal square root)と呼ぶが、しばしば記号 √P や P1/2 は専ら主平方根を表すために予約されることに注意すべきである。また、正定値エルミート行列の任意の非エルミート平方根は、ユニタリ行列を掛ける分の不定性を持つが、これは正実数の場合に、(正値の主平方根が一意に決まること、および)主平方根に ±1 を掛けたものがその平方根のすべてであることと対応している。 このような半正定値行列の平方根の計算および一意性の証明には、エルミート作用素に関するスペクトル論(固有値分解)や特異値分解あるいはコレスキー分解などが利用できる。
※この「行列の平方根」の解説は、「平方根」の解説の一部です。
「行列の平方根」を含む「平方根」の記事については、「平方根」の概要を参照ください。
- 行列の平方根のページへのリンク