特異値分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/11 09:02 UTC 版)
主成分変換は行列の特異値分解とも結び付けられる。行列 X の特異値分解は以下の形式で与えられる。 X = U Σ W T . {\displaystyle \mathbf {X} =\mathbf {U} \mathbf {\Sigma } \mathbf {W} ^{\mathrm {T} }.} ここで、Σ は n × p の矩形対角行列であり、対角成分 σk が正の行列である。Σ の対角成分を行列 X の特異値という。U は n × n の正方行列であり、各列が互いに直交する n 次元の単位ベクトルとなる行列(つまり直交行列)である。各々の単位ベクトルは行列 X の左特異ベクトルと呼ばれる。同様に W は、各列が互いに直交する p 次元の単位ベクトルとなる p × p の正方行列である。こちらの単位ベクトルは行列 X の右特異ベクトルと呼ばれる。 X の特異値分解に基づいて XTX を表わせば、以下のようになる。 X T X = W Σ U T U Σ W T = W Σ 2 W T {\displaystyle {\begin{aligned}\mathbf {X} ^{\mathrm {T} }\mathbf {X} &=\mathbf {W} \mathbf {\Sigma } \mathbf {U} ^{\mathrm {T} }\mathbf {U} \mathbf {\Sigma } \mathbf {W} ^{\mathrm {T} }\\&=\mathbf {W} \mathbf {\Sigma } ^{2}\mathbf {W} ^{\mathrm {T} }\end{aligned}}} 前節で示した XTX の固有値分解と見比べると、X の右特異ベクトルの組 W はまた XTX の固有ベクトルの組でもあり、X の特異値 σk は XTX の固有値 λk の平方根に等しいことが分かる。 特異値分解を主成分得点行列 T に対して行うと、以下のような分解が得られる。 T = X W = U Σ W T W = U Σ . {\displaystyle {\begin{aligned}\mathbf {T} &=\mathbf {X} \mathbf {W} \\&=\mathbf {U} \mathbf {\Sigma } \mathbf {W} ^{\mathrm {T} }\mathbf {W} \\&=\mathbf {U} \mathbf {\Sigma } .\end{aligned}}} T の各列は X の左特異ベクトルに対応する特異値をかけたものとして表わされることが分かる。この結果は T の極分解(英語版)によっても得られる。 主成分分析の実装として、X の特異値分解のアルゴリズムがしばしば利用される。 n × L に次元削減された主成分得点行列 TL は、固有値分解の場合と同様に、寄与の大きい最初の L 個の特異値とそれに対応する左特異ベクトルだけを残すことによっても得られる: T L = U L Σ L = X W L . {\displaystyle \mathbf {T} _{L}=\mathbf {U} _{L}\mathbf {\Sigma } _{L}=\mathbf {X} \mathbf {W} _{L}.} 特異値分解から寄与の小さな特異値を除いて TL を作るということは、元の行列とのフロベニウスノルムで測った差を最小化するような階数 L の行列を選ぶことに相当する。この結果はエッカート・ヤング定理として知られる。
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