L-62アンティ_IIとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > L-62アンティ_IIの意味・解説 

L-62アンティ II

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/07 07:30 UTC 版)

L-62アンティ II
フィンランドで動態保存され現存するアンティII(Ps.455-4号車)
(2009年の撮影)
基礎データ
全長 5.32m
全幅 2.30 m
全高 2.54 m
重量 10.0 t
乗員数 5 名
装甲・武装
装甲 6-13 mm
主武装 ボフォース 40mm機関砲
機動力
速度 50 km/h
エンジン スカニア L8V / 36 T 1664 cc
155 HP
懸架・駆動 トーションバー・サスペンション,装軌式,前方起動輪
テンプレートを表示

L-62アンティ II(スウェーデン語: Luftvärnskanonvagn L-62 Anti II)は、第二次世界大戦中、スウェーデンのランズヴェルク社によって開発された対空自走砲である。

概要

L-62は、それ以前にランズヴェルク社が開発した軽戦車、L-60からエンジンやトランスミッション、サスペンションなど多くのコンポーネントを流用し、1940年から1941年にかけて開発された。ただし車体は搭載砲に合わせて全長、全幅とも大型の専用のもので、転輪も似た形状ではあるがL-60軽戦車のものより小径で、片側5つに増やされている。

武装は1930年代に同じくスウェーデンのボフォース社が開発し、輸出兵器として成功を収めていた60口径40mm機関砲で、これを360度回転可能な、上面のみ開放式の大型砲塔に搭載した。

スウェーデン軍には採用されなかったが、少数がフィンランドに輸出されて対ソ戦(継続戦争)で使われたほか、小改良型が40Mニムロードとしてハンガリーでライセンス生産された。

戦歴

フィンランド、トゥースラ対空兵器博物館に現存するアンティII(Ps.455-6号車)

フィンランドは冬戦争後、1941年4月にスウェーデンに6両のL-62を発注した。武装のボフォース40mm機関砲は、すでにハンガリー製ライセンス品をスウェーデン経由で購入・保有していたため、予算節約のため購入したのは武装抜きの車体で、購入価格は1両あたり16万5000スウェーデン・クローナであった。砲の搭載は最初の1両のみがスウェーデンで、残りはフィンランド国内で行われた。L-62は翌年に全てフィンランドに到着、この6両で装甲防空中隊が編成された。これらは当初R-901~R-906の登録番号を与えられたが、1943年夏、登録番号システムの変更によりPs.455-1~Ps.455-6となった。

1944年夏、ソ連軍の攻勢が始まると、防空中隊は戦車師団とともにカレリア戦線に投入された。中隊は6月11日から7月11日にかけての戦闘で10機のソ連機を撃墜し、フィンランド軍戦車部隊の対空防御に貢献した。

フィンランド軍の6両のL-62はすべて大戦を生き延び、戦後も長く軍籍にあった。2008年現在、少なくとも4両がフィンランド国内に保存されており、動態保存されて可動状態の車両もある。

また、ハンガリーでは「40M ニムロード(40M Nimród)」として135両がライセンス生産され、対ソ戦に投入された。

参考資料

  • Bonhard Attila, Sárhidai Gyula, Winkler László: A Magyar Királyi Honvédség Fegyverzete, Zrínyi Katonai Kiadó, Budapest, 1992., ISBN 963 327 182 7
  • Esa Muikku, Jukka Purhonen, SUOMALAISET PANSSARIVAUNUT 1918 - 1997(THE FINNISH ARMOURED VEHICLES), APALI 1992
  • Terry Gander, THE 40mm BOFORS GUN, Patrick Stephens Limited, Wellingborough 1986
  • Csaba Becze, Magyar Steel, STRATUS, 2006

関連項目


「L-62アンティ II」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「L-62アンティ_II」の関連用語

L-62アンティ_IIのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



L-62アンティ_IIのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのL-62アンティ II (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS