J-I改からGXまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 08:49 UTC 版)
「GXロケット」の記事における「J-I改からGXまで」の解説
宇宙開発事業団(NASDA)が1997年(平成9年)に検討に着手し、かねてから基礎研究を行っていたLNG推進系エンジンの飛行実証試験計画から発展して、LNG推進ロケットの計画はスタートした。新たなロケットの開発はせず、既存のH-IIロケットの2段目と置き換える形でLNGエンジンを搭載し、数回の打ち上げ試験を行うに止める案もあったが、この計画に、低コストな商業ロケット打ち上げサービスを始めたいIHIが加わり、官民共同の宇宙開発計画として「J-I改ロケット」計画が生まれた。J-IAやJ-IUとも表記され、J-IIロケットとも呼ばれていた。J-Iロケットの改良型のような名前となっているが、実際にはJ-Iとの共通点はまったく無く、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}単に予算獲得の都合などの理由により、このような名前になっていたのではないかと思われる[要出典]。これは第1段に米国のアトラスII AS用燃料タンクとロシア製のNK-33ロケットエンジンを使用することで、安価かつ高性能な中小型商用ロケット打上げ能力を実現しようとするものであった。1998年(平成10年)にはIHIと日産自動車を受注者として選定し、打上げは当初2001年(平成13年)冬とされていた。1999年(平成11年)8月には先端技術実証ロケットと名称変更した。 1段目がケロシンを燃料とする液体燃料ロケットで、固体ロケットブースターは使用せず(平成10年頃の検討段階ではSRBを2本または4本使用する案も有った)、2段目に新規開発するLNG燃料エンジン、という全体の構成は最終的なGXと同じである。最初の計画では、1段目にアトラスIIIロケットの機体を改修したものにNK-33エンジンとアトラスVの誘導装置を組み合わせ、2段目に炭素繊維複合材製の推進剤タンクにガス押し式サイクル・アブレータ冷却式エンジンとH-IIAロケットの誘導装置を組み合わせた、最終的なGXロケットよりも一回り小型のものだった。2001年(平成13年)3月、このロケットの開発・運用を行う民間企業としてIHI、三菱商事、川崎重工業、ほか7社の出資により株式会社ギャラクシーエクスプレスが設立され、GXロケットと命名された。 NK-33エンジンは元来、1960年代末にソ連が秘密裏に開発していた月ロケットN-1ロケット用に開発・生産されたエンジンであり、その中止によって使用されなかったエンジンの在庫が大量に(100基前後)保管されていたものを安価に購入できる見込みであったため選ばれた。しかしこのNK-33エンジンはアメリカの宇宙ベンチャー企業キスラー社に先に契約を結ばれてしまったため購入できず、既に生産も終了していたため同エンジンの入手は不可能となり、他のエンジンへの変更を余儀無くされた。そのため、2002年(平成14年)3月には1段目に同じくロシア製のRD-180エンジンを使用することに変更、アトラスIIIロケットの本体とエンジンを購入し一部改修した上で使用する事となった。
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