IMRADの内部構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 06:31 UTC 版)
I, M, R, Dそれぞれの項目中に書かれる記載もある程度の類型化がなされている。個々の項目にどのようなことが書かれるべきかそれ自体については、それぞれの項目説明欄に委ねるが、ひとつの見方として「ムーブといわれる、特定の特徴を持ったかたまりが、有機的に結びついてIMRAD型の文章になった」というものがある。 ムーブという概念は、言語学や文学における、分析手法のひとつのムーブ分析に関する概念である。 ムーブ分析とは、 特定のジャンルの文章を いくつかのセグメントに分解し 各セグメントの構成や役割を分析することにより 文章を分類、分析する 手法の一つである。 京都大学の田地野彰教授のグループの「京都大学学術論文コーパス」に関連した論文の構造分析に関する研究(主に大学での英語教育カリキュラムの開発に関する観点から)によると、現実の論文には、少なくとも以下の24個のムーブが存在するとのことである。 表3: 論文にみられるムーブの例 番号ムーブの名称IMRAD備考1 研究の背景について述べる I 2 関連する先行研究を概観する I 3 本研究を紹介する I, A 4 データ収集の手順などについて述べる M, R 5 実験手順を描写する M, R 6 データ分析の手順について描写する M, R 7 結果を提示する R 8 結果について議論する R 9 主な結果とその意義について述べる R 10 具体的な結果について説明を行う R, D 11 まとめを述べる C 12 テキスト(原典)を解釈・分析する D, M 13 著者の解釈を展開する D 14 評者との論争 不明 いくつかの雑誌には“Discussion with Reviewers”という節が設けられ、レフェリーのコメントとそれへの応答のうち、特に読者にも開示する価値が高いものが抜粋されている。 15 採用する説明の妥当性を検証する D 16 比較法研究の成果を記述する 不明 17 実験のデザインの基礎となる理論モデルを提示する M, R, D 18 理論モデルを提示する I, M, D 19 理論モデルの予測を検証するための手順を描写する M 20 定義・仮定等を議論し、目的とする結果について述べる I 理論の論文及び数学の論文にて見られる。 21 補題を提示する 不明 主に数学の論文において見られる。 22 命題を提示する 不明 主に数学の論文において見られる。 23 定理を提示する 不明 主に数学の論文において見られる。 24 理論モデルを評価する D
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