IMRTの治療計画法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 20:04 UTC 版)
「強度変調放射線治療」の記事における「IMRTの治療計画法」の解説
IMRTでは、まず目標とするDVHを定め、照射法を決めるという順序で計画を立てる。これを逆方向計画(インバース・プランニング: inverse planning)と呼ぶ。IMRTの照射は極めて複雑であり、コンピュータを用いた最適化(Optimization)により、目標とする線量制約を可及的に満たす照射法を導き出す。コンピュータが、放射線腫瘍医の指示にできるだけ合致する照射法を考えてくれるという点では、人工知能(Artificial Intelligence; AI)に近いとも言えるが、目的関数(Objective function)を設定する時のハイパーパラメーターを適切に選ばないと、局所最適解に陥ったり、変数の振動など、まさに AI が直面している問題が治療計画の過程でも起こることがあり、最良の治療計画を立案する上で、目的関数の式と、最適化に用いるアルゴリズム(例えばシンプレックス法、焼き鈍し法など)について、数理的背景を熟知する必要がある。焼き鈍し法では、マルコフ連鎖の遷移確率行列が既約かつ非周期であればマルコフ過程のエルゴート定理から計算回数を繰り返すことによって、大域解が得られるとされるが、コンピュータが扱えるのは、連続数ではなく離散数であり、計算機数学の視点から十分条件に関して理解していなければ、得られた解が、治療システム上、最良な解かの判断もできず、不適切な治療を現実の患者に施行する可能性も否定できない。 線量の処方は、PTV内の一定の容積に対する容積処方とすることが多い。例えば、PTVの95%の容積に78Gy照射するというように処方する。PTVの95%の容積に処方する場合はD95処方、PTVの50%の容積に処方する場合はD50処方というように呼ぶ。
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