線量制約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 20:04 UTC 版)
線量制約とは、脊髄ならば最大線量45Gy、耳下腺ならば30Gy照射される体積が全体の50%未満などというにDVHで評価しやすい形で決まっている。 なお、照射による吸収線量の空間的分布(線量分布)を治療計画装置で計算する際、線量分布を計算する範囲内を三次元的に格子で区切り、治療計画の複雑度などに見合うだけの小さな体積が線量分布を構成する最小の単位を定義し、これをしばしばボクセル(voxel)と呼ぶ(強度変調放射線治療の治療計画を作成する際には、2mm×2mm×2mm以下のボクセルが推奨される)。 危険臓器の線量制約を最大線量で定めると、危険臓器内のボクセルのうちのたった一つだけが線量制約を越えていても、線量制約を満たさないことになる。しかし、通常このような制約逸脱は臨床的意義に乏しく、より有害事象を反映する適切な線量制約が求められる。このため、小体積への吸収線量の上限という形式がとられることが多い。たとえば、45Gy照射されるのが2cc未満というような線量制約が用いられ、「D2cc < 45Gy」のように表記される。 ほかには、ある線量が照射される危険臓器の体積の上限を線量制約とすることがある。たとえば、20Gy照射される体積が肺の25%未満といった制約であり、これは「V20 < 25%」のように表記される。 近年、より正確に有害事象の起こる確率を予測できる NTCP model という概念も広く人口に膾炙してきており、今後はこの計算式が主流となることも予想される。 (ただし、線量制約の多くは経験的なものであり、放射線治療医の間である程度のコンセンサスが得られている、ある臨床試験で条件として決まっている、といったことを参考に申し合わせる。ここで挙げた数字は単なる例であり、妥当性を一切保証しない。)
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