F-5E/F系列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 07:36 UTC 版)
「F-5 (戦闘機)」の記事における「F-5E/F系列」の解説
フィリピン空軍のF-5A(手前左)と、アメリカ空軍のF-5E(手前右)空気取り入れ口の大きさや、主翼のストレーキの形状に注目。 RF-5E タイガーアイ F-5N F-5E F-5Aの改良型。1972年8月11日に初飛行。 レーダーの装備を中心に、カナディア製のCF-5/NF-5やノルウェー空軍向けのF-5A(G)/B(G)で取り入れられた改良点も導入されている。 エンジンをさらに強力なJ85-GE-21(ドライ推力:1,588kg、アフターバーナー使用時推力:2,268kg)に変更。これに伴い空気取り入れ口の面積を20%拡大したほか、胴体側面にCF-5/NF-5と同型のルーバー型開閉式補助空気取り入れ口を追加。 AN/APQ-153 空対空レーダー(後期型は改良型のAN/APQ-159(英語版))を装備。これに伴い、照準器もAN/ASG-29 LCOSS(Lead Computing Optical Sight System)を装備。 胴体中央部を38.1cm延長し、左右幅も41cm拡大。さらにコクピット直後から垂直尾翼付け根部までのドーサルスパインを胴体と一体化し、燃料搭載量を増加。これに伴い、コクピット直後から伸びていたドーサルスパインと胴体中央部の段差も、コクピットから少し離れた部分で滑らかに成形されており、F-5Eの外見上の特徴の一つとなっている。 翼面荷重をF-5Aと同等にするため、重量増加に合わせて主翼弦長を付け根部分で14cm拡大。主にストレーキ(LEX)の部分の面積が拡大されたため、ストレーキの前縁は二段後退角が付いた形状となっている。 CF-5/NF-5やF-5A(G)/B(G)で導入された、伸縮式前脚やアレスティング・フック、空気取り入れ口や前面風防の除氷装置などを追加したほか、フラップを自動空戦フラップとして運用可能とした。 RF-5E RF-5Aと同様、機首のレーダーおよびコーンを撤去し、代わりにカメラを搭載した専用コーンを装着した簡易偵察型。ただし、小さすぎて新型の偵察装置を搭載できないという問題点があり、サウジアラビアが後述するタイガーアイ配備までの暫定型として運用したのみ。 RF-5E タイガーアイ(Tigereye) F-5Eの偵察機型。機首を20cm延長し、レーダーと右側の機関砲を撤去して設置した大型カメラ室にカメラを搭載。ミッションに応じて様々なカメラに換装できる。1979年1月29日に初飛行。 ノースロップ社は「RF-4Eの60%のライフサイクルコストで90%の能力を発揮できる」と謳っていたが、価格がF-5Eの1.5倍と高価であったため、サウジアラビア、マレーシア、シンガポール、台湾でのみ採用された。内ノースロップ製の新造機はサウジアラビア(10機)とマレーシア(2機)のみで、シンガポール(8機)と台湾(7機)の機体は、シンガポールのSTアエロスペース(英語版)がF-5Eから改造したものである。台湾では「タイガーゲイザー(Tigergazer)」と呼ばれる。 F-5F F-5Eの複座練習戦闘機型。複座での運用に対応したAN/APQ-157 レーダーを搭載し、機関砲1門(弾数は、140発に半減)を固定装備。1974年9月25日に初飛行。 F-5Eを元に、前部座席やレーダー、機関砲を搭載するスペースを確保するため、機首部分を107cm前方に延長しているほか、主翼上面に境界層板(フェンス)を装着している。 F-5N スイスで余剰となったF-5Eがアメリカ海軍でアグレッサーとして再就役した際の呼称。機関砲を取り外し、レーダーをAN/APG-69に換装。 中正号戦闘機 中華民国(台湾)のAIDC(航空工業発展センター、現在の漢翔航空工業)でライセンス生産されたF-5E/F。中正とは、蔣介石の名に由来(介石は字) 1973年2月9日に「ピース・タイガー」の計画名でF-5E 100機のライセンス契約が結ばれたのをきっかけに、以後6次にわたる「ピース・タイガー」計画の下、1986年までに242機のF-5Eと66機のF-5Fがライセンス生産された。 また、1990年代半ばに7機のF-5EがシンガポールのSTアエロスペース(英語版)においてRF-5Eタイガーアイに改造された。最初のRF-5Eは1997年8月に中華民国空軍に引き渡され、RF-104Gの後継として第12偵察中隊(12th TRS)に配備された。
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