4月の暴力―継続される暴力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:40 UTC 版)
「シリア内戦」の記事における「4月の暴力―継続される暴力」の解説
非常事態法を撤廃しても抗議は収まらなかった。4月22日は一連の騒乱において最も忌まわしい日となり、数万人が街路に繰り出した。ダマスカスと、国内の少なくとも10都市で抗議活動が行われた。ダマスカス中心部では数百名の抗議者たちが追い払われたものの、首都を囲む都市に数千名の抗議者たちが集まった。抗議者側の報告によれば、治安部隊のデモ隊への発砲により全国で少なくとも70名の人々が殺された。100名以上が殺害されたことが明らかになりつつあったものの、シリアはほとんど全ての他国メディア関係者を国内から締め出していたため迅速な確認は困難であった。 翌4月23日、国内いたる所で亡くなった抗議者たちの葬儀が行われた。ダルアーでは暗殺者が発砲し8名が殺されたと伝えられ、そのうちの5名は治安部隊の隊員であった。その夜、私服の治安部隊が家々を襲い活動家たちを逮捕した。聖金曜日の抗議の後、数十名の市民が行方不明となり、ある人権団体によれば金曜日から土曜日にかけて217名の行方不明者があったとされる。 詳細は「w:Siege of Daraa」を参照 4月25日、シリア政府は初期の抗議において焦点となったダルアーに戦車を展開し、少なくとも25名を殺害した。数百から6,000名と見積もられる兵士と狙撃兵が戦車に随伴し、上水道・電力・電話回線を切断した。住民の話によると、抗議者たちが軍用車両を焼き、兵士を人質に取ったといわれる。政府は近くのヨルダンとの国境を封鎖した。少なくとも1名のシリア軍主要指揮官がダルアーに対する軍事作戦に加わることを拒否した。ダルアー住民は記者に電話で次のように訴えた。「シリアをオバマに占領させろ。シリアをイスラエルに占領させろ。ユダヤ人を呼べ。どれもバッシャール・アサドよりはましだ。」 アメリカ大統領バラク・オバマは暴力の行使を「著しく正義に反する」として非難し、合衆国内におけるシリア当局資産の凍結を準備した。国際連合安全保障理事会(国連安保理)常任理事国であるフランスとイギリスを含むEU各国は、国連に対して国際的な制裁の実施を働きかけた。但し、常任理事国のロシアと中国の支持が得られるかどうかは不透明であった。シリアはイスラム主義者たちの扇動による暴動であると主張した。 4月28日、アルジャジーラは、負傷した兵士がシリア市民に介抱されている模様を示す映像を放映し、彼ら兵士が抗議者たちへの発砲命令を拒否し、体制派の部隊を攻撃したと報じた。この放送局は映像の信憑性を確認できないとしながらも、「信頼できる情報源」によるものと主張した。 ダルアーやドゥーマなどの都市における過酷な取り締まりにもかかわらず、4月29日も抗議者たちの行動を阻止できなかった。アレッポ、ホムス、デリゾール、シャイフ・ミスキーン、ダマスカス、およびシリア国内の他の都市でも数千名が集まった。シャイフ・ミスキーンにおいて兵士が非武装の抗議者たちを実弾で攻撃し殺害している映像が匿名で投稿された。アルジャジーラは、金曜礼拝の後に始まった治安部隊による攻撃で少なくとも50名の人々が殺されたと報じた。ロイターは死者62名と報じた。
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