2012年日本シリーズ「死球騒動」の真相
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「加藤健 (野球)」の記事における「2012年日本シリーズ「死球騒動」の真相」の解説
2012年11月1日、北海道日本ハムファイターズ対巨人の日本シリーズ第5戦で起こった出来事。4回表無死1塁で打席に入った加藤はバントの構えを見せ、日本ハムの多田野数人は内角高めへ直球を投じ、それに対して加藤はのけぞるように回避し、頭を押さえながら倒れ込んだ。これを見た球審の柳田昌夫は頭部への危険球と判断。日本ハム・栗山英樹監督の猛抗議も判定は変わらず、多田野には退場処分が下されてしまう。しかし、リプレイを観る限り投球は加藤ではなくバットに当たっていた。多田野はこれについて加藤が死球を演じたとの見方を示し「だます方もだます方。だまされる方もだまされる方」とコメント。一方、加藤は「必死にプレーした。何が起こったのかなという感じ」と言葉を濁し、死球についての明言を避けた。他にも、この時マスクを被っていた日本ハム・鶴岡慎也は「当初ファウルと判定していたものの、原辰徳監督の抗議を受けて死球へ覆した」旨の証言を残しており、このことから一部では「柳田球審が性急な判断を下したのも問題」とされる向きがある。なお、試合は10-2で巨人が勝利。 後日談で本人は、審判を騙そうとしたのではなく、頭部に死球を浴びた人間にしか分からない恐怖から来る錯覚が引き起こした衝撃が要因であったと話した。打席で倒れ、痛みがあるような仕草で一塁へ向かったのは、パニック状態の中、強い衝撃を体に感じたためであり、気が動転していたことから死球を思わせ、勢いよく倒れたことで地面に体を強く打った。以上の理由から加藤は体のどこかにボールが当たったと錯覚し、自分で認識する時間もなく、審判から死球を宣告されたという。加藤は「僕はそれまで頭部死球が2回あったんです。その時はヘルメットが割れて、何が起きたかわからなかった。(日本ハム戦の時も)同じように何が起きたかわからず、その場に倒れてしまいました」「(場内の)ブーイングは聞こえました。映像を見て、逆の立場で考えれば僕だってブーイングしたと思います。でも、僕も審判の方をだますつもりはなかったですし、あの時は一瞬で頭が真っ白になってしまった。あの試合以降、多田野投手だって指先の感覚が狂ったかもしれない。審判の方も僕のせいでジャッジに迷いが出るようになったかもしれない。リズムを狂わせてしまい、迷惑をかけてしまった」と語っている。また、死球の判定を受けた次の打席で安打を打つも、ヤジを受けたことで落ち込んでおり、相手内野手の金子誠と飯山裕志から「おう、カトちゃん」「ナイスヒット」と声を掛けられ、救われたという。さらに引退後までこの件についてコメントをしてこなかった理由については「ユニフォームを着ている間は何を言っても言い訳になる」と考えていたためだと語っている。
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