2000年代:標準の確立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 23:33 UTC 版)
「デジタル・フォレンジック」の記事における「2000年代:標準の確立」の解説
2000年以降、技術の標準化の必要性に応え、様々な機関がデジタル・フォレンジックに関するガイドラインを発表する。デジタル証拠に関する科学ワーキング・グループ (SWGDE)は2002年の論文「Computer Forensicsのためのベストプラクティス」を作成し、2005年には国際ISO規格(ISO 17025、試験および校正の能力に関する一般的要求事項)の公開が続いた 。ヨーロッパの主要な国際条約である「サイバー犯罪条約」は、国内のコンピュータ犯罪法、調査技術および国際協力を調整する目的で2004年に発効した。条約は43カ国(米国、カナダ、日本、南アフリカ、英国、その他のヨーロッパ諸国を含む)によって署名され、16カ国によって承認されている。 トレーニングの問題もまた注目を集めた。営利企業(多くの場合、法科学的ソフトウェア開発者)は認証プログラムを提供し始め、デジタル法科学的分析は英国の専門家調査員トレーニング施設、 Centrex の訓練に含まれるようになった 。 1990年代後半以降、モバイル機器がより広く利用されるようになり、携帯電話が単純な通信機器を超えて進歩し、デジタル・フォレンジックにとっても、それは豊富な情報(証拠)となることが判明した。それにもかかわらず、携帯電話のデジタル分析は、主に機器のメーカーの独自性のために、従来のPC関連機器に遅れをとっている。 この時代、インターネット犯罪、特にサイバー戦争とサイバーテロのリスクにも焦点が当てられた。2010年2月のアメリカ統合戦力軍報告書は、次のように結論づけている。 敵はサイバー空間を利用して、ビジネス業界、学術界、政府、のみならず空軍、陸軍、海軍、宙域までをもターゲットとするだろう。第二次大戦でエアパワーが戦場を変えたように、サイバー空間は国家を保護する役割であった物理的なバリアを粉々にし、商業、およびコミュニケーションに対する攻撃を可能にしている。 現在、デジタル・フォレンジックの分野は未解決の問題に直面している。PetersonとShenoiによる2009年の論文『デジタル・フォレンジックリサーチ:善、悪、そしてまだ知られていない問題』は、デジタル・フォレンジック調査におけるWindowsOSへの偏重に対し懸念を表明している。2010年、Simson Garfinkelは、将来のデジタル調査における問題を列挙し、その中でデジタルメディアの容量の拡大、消費者への幅広い暗号化の普及、多様なOSとファイルフォーマット、複数のデバイスを所有する個人の増加、法的問題などを挙げた。また、この文書では、継続的なトレーニングの問題、およびこの分野に参入するための非常に高いコストも指摘された 。
※この「2000年代:標準の確立」の解説は、「デジタル・フォレンジック」の解説の一部です。
「2000年代:標準の確立」を含む「デジタル・フォレンジック」の記事については、「デジタル・フォレンジック」の概要を参照ください。
- 2000年代:標準の確立のページへのリンク