1980-90年代 美味しんぼとクッキングパパの登場
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「料理・グルメ漫画」の記事における「1980-90年代 美味しんぼとクッキングパパの登場」の解説
1980年代になると漫画の外では外食が根づき、「グルメ・ブーム」が生まれた。 その流れをつくりだす原動力の一つともなり、また自らその流れにのったのが1983年開始の『美味しんぼ』(雁屋哲、花咲アキラ。ビッグコミックスピリッツ)である。この頃に『ザ・シェフ』(剣名舞、加藤唯史。週刊漫画ゴラク)、『クッキングパパ』(うえやまとち。モーニング)なども成功をおさめ、『美味しんぼ』の主人公たちが目指す料理の「究極」は時代の流行語ともなるほどジャンル全体が盛り上がりをみせた。『美味しんぼ』の登場は(野球漫画のスタイルに頼らないという点、漫画的なアイディア勝負やリアクションをしないという点で)画期的だったと言われ、それ以前のグルメ漫画は食材にあまりこだわらず、例えば、魚の鮮度に注目することはあっても、野菜、調味料、肉ならどの動物のものかとかまではこだわらなかったが、『美味しんぼ』はそれこそ本質で時間をかけて探しに行き、他のグルメ漫画で触れにくくされてきた環境問題や、食品偽装・添加物などの問題に立ち入り、毀誉褒貶ありながらも人気を得た理由の1つとなった。この作品は主人公が料理人ではなく、農薬や捕鯨、さらには歴史問題にまで絡めた政治的すぎるメッセージを含んでいたが、それと同時に食の本質や食材の知識を問うていた。トリヴィアルな蘊蓄をつめこむ「情報漫画」でもあったことも、その後の料理漫画へ強い影響を与えた。雁屋哲がグルメブームを批判するために原作をつとめたはずだったが、『美味しんぼ』の誕生によって「料理漫画はグルメ漫画」と呼ばれ、ブームの原動力の1つとなったことは「やや皮肉な出来事」と表現されている。 『クッキングパパ』は、所帯を持つ男性主人公が家庭で料理を作り、1980年代にはあまり考えられなかった状況で登場、主人公は料理が得意なことをしばらく周囲には隠していた。作中に登場する料理のレシピを併載したことでヒットし、男性も家庭料理を作る習慣が広まった。
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