3.「国際陽明学京都会議」
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「岡田武彦」の記事における「3.「国際陽明学京都会議」」の解説
平成9年(1997年)8月11日から13日の三日間、国立京都国際会館で、将来世代総合研究所主催、京都フォーラム・将来世代国際財団後援で開かれ、この国際会議は「21世紀の地球と人類に貢献する陽明学」というテーマで、米国・中国・台湾・シンガポール・韓国・カナダ・フランス・オーストラリア・イギリス・ロシアなど世界各地から25名の招待学者と、国内から約300名の研究者・実践家が参加した。 岡田武彦はその年まもなく満八十八の米寿を迎える歳であったが、矍鑠とした議長としての開会挨拶の中で「近年になって、漸く科学文明が環境破壊、利己主義、物質的・経済的価値の重視、人倫道徳の破壊などの弊害をもたらすことが注目され、…(途中略)…、それらを克服するには21世紀以後の陽明学の意義と価値を真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。…(途中略)…そこで私たちは、文明文化が進歩し、人智が発達すればするほど、ますます良知を磨いてその光明を輝かしてその功罪を明らかにするとともに、人間の功利心を徹底的に除去することに最も力を注がねばなりません。これが真の文明文化や人智の進歩発達及び人類の平和と繁栄を将来するための必須の道と思います。」と結んだ。 その後の基調講演はド・バリー(コロンビア大学名誉副総長)、余英時(プリンストン大学教授)、溝口雄三(大東文化大学教授・東京大学名誉教授)、島田虔次(京都大学名誉教授)、杜維明(ハーバード大学教授)、秦家懿(トロント大学教授)、金泰昌(将来世代総合研究所所長)と七名の先生方で行われ、とくに島田虔次京都大学名誉教授の「我々は儒学というと古くさいと、はじめから、きめつけるが、はたしてそうであろうかと思う。例えば王陽明の<大学問>は名文で内容があり、すばらしい。王心齋の<鰍鱔説>も、半死半生のような、こういう人間という生き物を少しでも空気をかよわせて、生きかえらせてやる。それが儒教のゆき方。私はこれが昔から好きで、これは絶対(『儒教選集』を作るとしたら)落とせないと思っていた。」という話しは心にしみるものがあった。 12のセッションでは中国語、英語、日本語に分かれて、熱心に発表と討論が行われた。特にセッション6では、実践部会委員長の吉田和男京都大学名誉教授司会のもと、新井正明(住友生命保険名誉会長)、林大幹(元環境庁長官)、北室南苑(北枝篆会主宰)の三氏による実践活動報告が行われた。 最終日の全体会議では、林田明大をはじめとする全国の実践活動者の報告が熱心になされ、続いて20代研究者の志として、陳瑋芬(台湾)、白恩錫(韓国)、ロマノフ(ロシア)、藤本茂(日本)の各氏が、それぞれ思うところを発表した。こういう実践報告は、この国際会議組織委員会議長岡田武彦の「実践家の参加は陽明学が根付いている日本でなければ出来ない試み」という判断と、長年にわたる実践家との熱い交流があったからこそ実現したのであった。 この国際会議は、組織委員会事務局長・矢崎勝彦(将来世代国際財団理事長・京都フォーラム事務局長)の献身的尽力によって所期以上の成果をおさめることができた。これは岡田の人徳によるところも大きい。(『光風霽月』岡田武彦先生追悼文集─456頁・福田殖文引用。 組織委員会名簿・国内外招待者一覧は右記。)
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