非公式協力者の類型
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1980年から1989年まで有効であったシュタージ(エーリッヒ・ミールケ)の1/79方針は、非公式協力者の任務を決定し、以下の類型に分類した。 非公式特務協力者(IMA) 「作戦地域(西ドイツ)」における「攻撃的」措置のために動員された。当時のマスメディアに情報を売りだすために、西ドイツのジャーナリストとの接触を優先的に行った。この任務は、持続的に、断続的または一回限りで行われた。最終的にはシュタージは、16人の西ドイツの非公式特務協力者を確保していた。 共謀共同防止または敵対行動の疑いのある人物に対する直接処理のための非公式協力者(IMB) このタイプは、最も重要な非公式協力者であり、彼らはシュタージに敵対的と判断された人物と直接的な接触を持ち、その人物から信頼されていた。直接、作戦段階(ドイツ語版)に動員された。このため個々の担当協力者は、当該人物を監視・スパイするために、非社会主義経済圏に滞在することもでき、スパイ用器具や外貨を持つことができた。シュタージにとって特に関心があったのは、反体制派集団に属している人や、教会の職務についている人びとであった。非社会主義経済圏でのそのような人びととの関係を持った人が、このタイプの非公式協力者となった。例えば、協会、組織、党のメンバーなどがそうであったが、西ドイツの情報機関の職員(例えば警察、連邦憲法擁護庁、連邦情報局)との行政上の関係を持っていた人もそうであった。シュタージがそのような共謀共同を把握すれば、強制的に東ドイツ内で募集するということも試みられた。このタイプは、1980年に、IMF(作戦地域に対する共謀共同に対する国内防止のための非公式協力者)や、IMV(敵対行動の疑いのある人物の処理および暴露に直接従事する非公式協力者)との関係で作られた。1968年までは、単に「秘密協力者」(GM)と呼ばれていただけであった。最終的にシュタージはこのタイプの協力者として約3,900人を確保していた 特殊出動非公式協力者(IME) このタイプは、シュタージの特殊任務のために動員された非公式協力者で、特殊な知識を持っていた(例えば筆跡観点や毒性学など)。監視や捜査に専門特化していて、要職に就いていた。1968年までは「特殊出動の秘密協力者」(GME)と呼ばれていた。1988年には7,167人が確保されていた 諜報確保のための非公式協力者(IMK) このタイプは、シュタージの様々な兵站上の任務のために動員された。それぞれの任務に応じた略字があった。シュタージにアジトや部屋、物品を提供する略字はKWやKOであり、シュタージに仮の住所や電話番号を提供することは、IMK/DAや IMK/DTと呼ばれた。それ以外の業務でシュタージの諜報を支援する人は、IMK/Sと呼ばれた。1989年には、30,500人の人員が確保された。 政治作戦の支援及び責任範囲の安全保障のための非公式協力者(IMS) このタイプは、企業、社会施設、研究教育施設、国立研究所などの領域で活動する人びとであり、特に理由なく、人びとの行動を報告していた。疑うべき局面を早期に発見し、防止するよう働きかけ、自らの責任範囲内部での安全保障に貢献した。1968年までは「秘密情報提供者(独: Geheimer Informator)」と呼ばれていた。最終的には93,600人の人員を確保しており、非公式協力者のなかでは最大であった。 安全保障のための社会的協力者(GMS) 詳細は「安全保障のための社会的協力者(ドイツ語)」を参照 官民の指導的な地位で活動しており、「党的」で「国家意識的」な態度を取ることになっていた。情報収集のために動員され、他の非公式協力者の負担を軽減した。通常は、「敵対的・否定的人物」への直接的な「処理」には関わっていなかった。シュタージの終焉が始まったころには、33,000人の人員が確保されていた 非公式協力者監督(FIM) 「作戦経験」を持ち、監督に適した非公式協力者は、「シュタージの任務において、作戦従事者を管理・指導」することができた。任務を受けた際に、さらに自主的に作戦遂行をすることができた。1968年までは「秘密主要情報提供者」(GHI)と呼ばれていた。最終的には4,591人の非公式協力者監督がいた。さらに偵察総局(ドイツ語版)は、26人の非公式協力者監督を西ドイツに投入していた。 非公式協力者の候補者 非公式協力者に優先的に徴発される予備段階にあった人びとである。非公式協力者の予備段階が設置されており、重点的に採用された。しばしば、これらの人びとはかつて人物操作作戦(ドイツ語版)に属していた。募集が約束されると、実際の採用段階がはじまり、非公式協力者の予備役は、候補者の同意に基づいて、正式な非公式協力者の段階になった。他の場合には、その段階が突然中止になり、お蔵入りになる場合もあれば、いわゆる作戦段階(ドイツ語版)に変更になると、その中で弾圧を行うための器具が与えられるか、他の非公式協力者が候補者への手本を見せるように派遣された。
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