長門型戦艦
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長門型戦艦(ながとがたせんかん)は、大日本帝国海軍の戦艦の艦型のひとつで、八八艦隊計画により最初に作られた戦艦[2]。 長門(ながと)[3]と陸奥(むつ)[4]の2隻が建造された[注釈 1]。
注
- ^ 戰艦“長門 ながと”[5] 全要目{排水量32,720噸 速力23.0節 備砲 40糎砲8門 14糎砲20門 12.7糎高角砲8門 魚雷發射管6門 起工大正6年8月 竣工大正9年11月 建造所 呉海軍工廠} 長門は40糎砲といふ巨砲を世界で初めて搭載した戰艦であり、艦型に於ても從來のものを完全にノツクアウトし、列強海軍をして瞠若たらしめた艦である。從來先進列強にとかく後塵を拝せしめられてゐた帝國は一躍世界をリードする日本たることを證明したのである。新鋭長門は今や聯合艦隊主力として海軍無條約時代に備ふ我海軍たのみの艦である。戰艦は艦隊の根幹でありその價値は搭載する主砲の威力と防禦設備如何に依つて決定される。主砲は敵主力艦隊を撃滅するものであり、副砲は主として來襲する敵の輕快部隊に備へるものである。世界の七大戰艦とは、我が“陸奥”“長門” 英の“ネルソン”“ロドニー” 米の“ウエスト・ヴァジニア”“コロラド”“メリーランド”の七艦である。
- ^ 大きさ、速力では同時期に就役していたイギリス海軍のフッド(15インチ砲8門、速力31ノット、約42,000トン)が上回るが、同艦は巡洋戦艦であった[13]。
- ^ 戰艦“陸奥 むつ”[14] 全要目{排水量32,720噸 速力23.0節 備砲 40糎砲8門 14糎砲20門 12.7糎高角砲8門 魚雷發射管6門 起工大正7年6月 竣工大正10年10月 建造所 横須賀海軍工廠} 陸奥は世界七大戰艦の一であり、姉妹艦長門と共に我が海軍の至寶的存在である。世界の七大戰艦は、排水量を指すのではなく、搭載主砲の口徑を云ふのである。(40糎はワシントン制限條約の主砲口徑の最大限であつた) この陸奥級の出現によつて齎された第一の偉觀は從來の36糎砲から40糎砲への躍進である。第二に擧ぐべきは前檣が三脚を脱却してヤグラ式に考案されたことであつた。40糎主砲8門は前後各二個の砲塔内に収め、副砲10門づゝを兩舷に 12.7糎高角砲8門は中部甲板附近に備へられてゐる。長さ201.35米、幅28.96米、平均吃水9.14米。(長門も同様) 昭和十一年度海軍特別大演習直前に改装終了し晴れの觀艦式に参加した。殆んど長門と同様の形で、煙突は一本になつた。“陸奥”は昭和12度は長門と共に聯合艦隊旗艦として活躍することになつてゐる。“陸奥”は昭和12年度は長門と共に聯合艦隊旗艦として活躍することになつてゐる。加斯“陸奥”“長門”が同時に艦隊に編入されたことはこゝ10年來絶えてなかつたところである。(艦型圖省略)
- ^ 「戦闘艦を描いてよう、戦闘艦を」と注文する子供には是が非でも「陸奥」や「長門」のあの仁王様の火見櫓のやうな前檣と芋蟲か何ぞのやうな前部煙突とを描いて見せなければ承知しないのだ[17]。
- ^ 日本海軍の長門型2隻(長門、陸奥〉、イギリス海軍のネルソン級2隻(ネルソン、ロドネイ)、アメリカ海軍のコロラド級3隻(コロラド、メリーランド、ウェストバージニア)である[21]。
- ^ コロラド級戦艦は既に4隻(コロラド、メリーランド、ワシントン、ウェストバージニア)が起工し、2番艦メリーランド (USS Maryland, BB-46) が完成していた[34]。
- ^ 進水して艤装工事中だったコロラド級3番艦ワシントン (USS Washington, BB-47) は完成度80%で条約締結のため建造中止、標的艦として処分された[20]。
- ^ イギリス海軍が計画していたN3型戦艦やG3型巡洋戦艦が破棄されて、条約締結時点の同海軍は16インチ砲搭載戦艦を1隻も保有していなかった[36]。
- ^ ビッグセブンと表記することもある[40]。
- ^ 同世代の“ビッグセブン”であるコロラド級戦艦は、16インチ砲8門で、航続距離と防御力を重視している[42]。
- ^ 同世代の“ビッグセブン”であるネルソン級戦艦 (Nelson class battleship) は16インチ砲9門を備え、火力と防御力で長門型戦艦を凌駕するが、23ノット(速力)16ノット7,000浬(航続距離)であった[43]。
- ^ 米国ノースカロライナ級戦艦、英国キング・ジョージ5世級戦艦、仏国リシュリュー級戦艦、伊国ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦、独国ビスマルク級戦艦などの新型戦艦を指す。
- ^ 数値上は大和型戦艦の艦橋高39mより高いはずだが、「大和」左舷に「長門」が横付けするのを「武蔵」艦橋から観察していた信号兵は「大和の檣楼は長門の艦橋より頭一つ(射撃指揮所、15.5m測距儀)高かった」と回想している[47]。
- ^ 32,000mまでの測距は一応信頼が置けるが、近弾以外の弾着水柱を確認できないので、観測機を併用しなければ着弾修正が難しい。
- ^ ただし、陸奥は同じ演習で28,300mで12発撃って命中0、長門も命中1など、あくまで目安でしかないことに注意。
- ^ ただし実際に「長門」が標的艦として参加したのは1946年のクロスロード作戦なので、あくまでも「洋上での核実験の映像を流用した所、たまたま映り込んでしまった」だけとみられる。
- ^ 『艦隊これくしょん -艦これ-』・『戦艦少女R』・『最終戦艦withラブリーガールズ』・『アズールレーン』・『アビス・ホライズン』・『ガーディアン・プロジェクト』・『蒼藍の誓い ブルーオース』・『ブラック・サージナイト』・『パズルガールズ』・『ヴェルヴェット・コード』の10作品。
脚注
- ^ a b c d 「軍艦長門、扶桑要目」p.4
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, pp. 72b-74日本初の高速戦艦「長門」型計画
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 44a-49戦艦 長門/長らく連合艦隊の象徴であった鉄(くろがね)の城
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 50a-53戦艦 陸奥/謎の爆沈を遂げた40cm砲搭載艦
- ^ a b c d ポケット海軍年鑑 1937, p. 11原本4-5ページ(戦艦長門)
- ^ a b c d 決定版、日本の戦艦 2010, p. 72c.
- ^ a b c d e f g h i j k 決定版、日本の戦艦 2010, p. 73.
- ^ a b c d e f g h i j k l m 決定版、日本の戦艦 2010, p. 75c.
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 179.
- ^ a b c d e 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 182.
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, pp. 75e-76宿願の「八八艦隊艦成案」成立
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, p. 75a八八艦隊戦艦「長門」、「陸奥」の建造
- ^ a b ポケット海軍年鑑 1937, p. 76原本124-125ページ(戰艦フード)
- ^ a b ポケット海軍年鑑 1937, p. 10原本2-3ページ(戦艦陸奥)
- ^ #海軍艦隊勤務p.84
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 51.
- ^ #増補 軍艦物語p.13
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, p. 75b就役後の「長門」型戦艦
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 7■日本の戦艦(解説)
- ^ a b ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 94a-97戦艦コロラド級/40cm主砲を搭載したビッグセブンの一角
- ^ a b c ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 46.
- ^ 〔 これからアメリカが造ろうとしている主力艦は陸奥のような三万二千七百トン位しかないちっぽけな軍艦ではない。モンタナ級の五隻などは一隻で五万八千トンもあるという大戦艦だ 〕高山書院『日本は勝つ』福永恭助著 昭和18年5月発行より引用
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 159–171一四インチ砲諸要目しらべ
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, p. 72a戦艦+巡洋戦艦=高速戦艦の誕生
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 118–121戦艦クイーン・エリザベス級/大出力を備えた“高速戦艦”の先駆け
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 175–179ライバル米海軍との競争
- ^ 大内、赤城・加賀 2014, pp. 65–69八八艦隊計画
- ^ Ref.C10100742300〔 2年10月15日 英国戦艦「ワースパイト」中央切断図の件及其の図一部訂正の件 〕、 Ref.C10100743500〔 2年12月24日 英国戦艦「ワースパイト」全体配置図等提出の件 〕など。
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, pp. 76a-77「加賀」、「土佐」の建造と特徴
- ^ a b 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 176.
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, pp. 75d-77「加賀」型戦艦
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, pp. 77a-78真の高速戦艦、「天城」型巡戦
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 50b.
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 45.
- ^ 大内、赤城・加賀 2014, pp. 57–59ワシントン海軍軍縮条約の決定事項
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, pp. 126a-129戦艦ネルソン級/欧州最強の攻撃力を備える異形の戦艦
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 185a-188勢揃いしたビックセブン
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 188.
- ^ 『平易に説いた陸海軍の知識』p.143
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 94b.
- ^ a b c d 決定版、日本の戦艦 2010, p. 74.
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 73■アメリカの戦艦(解説)
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 127.
- ^ a b 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 187.
- ^ 決定版、日本の戦艦 2010, p. 76b.
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 44b.
- ^ 細谷四郎『戦艦武蔵戦闘航海記』p.103-104
- ^ #牧野ノートp.90
- ^ a b c #牧野ノートp.91
- ^ 従兵長 2000, p. 75.
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 177.
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 171–174「一六インチ砲試製の件」
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 178–179「八八艦隊」関連砲身諸元
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 184.
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 183.
- ^ 従兵長 2000, p. 193.
- ^ a b c 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 185b.
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 194–195「八八艦隊」関連主砲砲塔・砲架諸元
- ^ a b c d 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 186.
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, pp. 223–225四五口径四一センチ砲
- ^ 石橋、大口径艦載砲 2018, p. 225.
- ^ 『図解 日本帝国海軍全艦船 1868-1945』(並木書房)
- ^ 従兵長 2000, p. 199.
- ^ 「試験(3)」pp.3、pp.14
- ^ 「軍艦長門、扶桑要目」p.4、「3.資料(一)(艦船要目、艦船表、その他)分割3」p.2
- ^ 福留繁 1971, p. 168.
- ^ 「連合艦隊関係(1)」p.2-3、「艦船行動簿大正12年9月分(1)」p.3
- ^ 福留繁 1971, p. 169.
- ^ a b c d 阿川弘之『米内光政』新潮文庫、2002年(平成14年)、31-34頁。
- ^ 「英」(大正12年 公文備考 巻161変災災害)
- ^ ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 47.
- ^ a b ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 52.
- ^ a b ミリタリー選書(6)世界の戦艦 2005, p. 48.
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