長坂集落の報道被害とは? わかりやすく解説

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長坂集落の報道被害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 06:52 UTC 版)

1888年の磐梯山噴火」の記事における「長坂集落の報道被害」の解説

泥流により集落の約半数80名あまりが亡くなった磐瀬村長坂では、前述のように多く死者出た理由としては、農作業中に泥流襲われたという説と、噴火驚いて磐梯山反対側の東側である長瀬川方向逃げたところを泥流襲われたとの説がある。 泥流によって甚大な人的被害被った長坂集落は、被災後事実とは大きく異なった被災者を傷つける報道相次いだ読売新聞連載した田中智学磐梯紀行では、老人赤子病気の者を助け余裕もなく、若者壮年の者たちは我先に逃げ出したところ、逃げた若者壮年の人たちはみごとに泥流飲まれ老人赤子病気の者たちは生き残ったという内容記事掲載された。つまり長坂では老人赤子病気の者を見捨てて逃げ出した不届き者天罰下ったというような、泥流亡くなった人々貶める内容新聞記事掲載されのである長坂人々を傷つけたのは、新聞などによる報道ばかりではなかった。当時の有力学雑誌であった東洋学雑誌には 磐梯東麓長坂村あり、該山(磐梯山)北に崩潰の際、磐梯は東に崩れ長坂埋没するものと誤認し土人尊敬すべき両親愛らしい子どもなどはこれ平日こととして、にわかに仏道信仰者となりしものか、天上天下唯我独尊真の動物心を出し老弱幼稚を後に残し壮年男女長瀬川越して対岸達せんとせしに、あにはからんや、北より来たりし泥土流れのため九十四人はたちまち奈落地獄入れり。命助かりしは遁逃の力なき老人歩行もできぬ子どものみ。 という記事掲載された。この記事では長坂集落事例優者亡くなり劣者が生き残ったと、チャールズ・ダーウィン自然選択説の逆を行った紹介しているが、翌月東洋学雑誌には追い討ちをかけるかのように一読者からの質問とその回答という形で、長坂で親や子を見捨てて逃げたのは一時の気の迷いなのか、それともあのような非常時にはやむを得ないことであったのかについての議論が行われた。 当時ダーウィンの進化論安易な応用というべき「優勝劣敗」の絶対視自然選択説極端な適用数多く見られ実際この東洋学雑誌記事反論するような「長坂逃げて死んだ人々適切な判断出来なかったわけですなはち劣者であり、逃げられなかった人は結果として適切な場所に居たわけであるから優者である」。との内容記事動物学雑誌掲載されるありさまであった実際長坂集落亡くなった人たちを年齢別世帯別に確認してみると、まず30歳以下の若年層死者多かった10代10代未満死者多く、子どもも多数亡くなっている。被災後救助米年齢別支給状況も他の被災集落とほぼ同一であった。また老人や子どものみが残され世帯4世帯と長坂全体の1割あまりに過ぎず家族全員助かった世帯10世帯逆に全員死亡した世帯単身世帯除いて3世帯あった。これらのことから青壮年住民弱者である老人、子ども、病弱者置き去りにして逃げ出し泥流飲まれ亡くなったという報道事実反するものであった考えられている。 この弱者置き去りにして逃げた青壮年たちが、避難先で泥流飲まれ亡くなったという事実と異な報道によって、長坂集落人々周囲世間から非難矢面に立たされ、名誉をいたく傷つけられた。そして磐梯山噴火報道によるいわば報道被害に、長坂集落100年以上苦しめられ続けることになった

※この「長坂集落の報道被害」の解説は、「1888年の磐梯山噴火」の解説の一部です。
「長坂集落の報道被害」を含む「1888年の磐梯山噴火」の記事については、「1888年の磐梯山噴火」の概要を参照ください。

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