鉄道車両のアクティブサスペンション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 14:00 UTC 版)
「アクティブサスペンション」の記事における「鉄道車両のアクティブサスペンション」の解説
動力を使用した振動抑制装置付きサスペンションのことであり、フルアクティブサスペンションとも呼ばれている。 横揺れの元となる外部からの左右の振動を、車体に取付けられた左右加速度センサーで検知し、それを基に制御器が必要な力の大きさや方向を算出、台車と車体の間に枕木方向で取付けられているアクチュエータに指令を送り、アクチュエータで外部からの振動とは逆の力を発生させて、車体の左右振動を効果的に抑制するものである。 動力源には圧縮空気を使用する空気式と電動アクチュエーターを使用する電気式とがある。制振効果は非常に高いものの、サスペンション駆動に専用の動力源を必要とするため消費エネルギーが大きく、システムのサイズも大きくなってしまう。また構造が複雑で維持コストも含めて高価なため、採用は特急形車両にとどまっている。このため、JR東海ではN700S系確認試験車への搭載にあたり、従来のセミアクティブサスペンションに小型モーターと油圧ポンプを追加して推力を出す仕組みの、これまでのものとは全く異なるタイプのフルアクティブサスペンションを開発した。このフルアクティブサスペンションは制御装置が故障してもセミアクティブサスペンションとして機能するなど、高い冗長性を持っていることが特徴である。 日本では以下の鉄道車両に装着されている。 新幹線500系電車W1編成の両先頭車(1・16号車) ※高速列車としては世界初。なお、上記以外の中間車(5・8・9・10・13号車)とW2編成以降の各搭載車両にはセミアクティブサスペンションを搭載。 新幹線E2系電車両先頭車とグリーン車 ※上記以外の車両にはセミアクティブサスペンションを搭載。 新幹線E3系電車2000番台両先頭車(11・17号車) ※上記以外の車両(12 - 16号車)にはセミアクティブサスペンションを搭載。 京成AE形電車 (2代)「スカイライナー」両先頭車 大手私鉄では初。 JR東日本E259系電車「成田エクスプレス」両先頭車 JR東日本E353系電車先行量産車は先頭車両(12両組成時の両先頭車=1・12号車)とグリーン車(9号車)のみ 量産車は全車両に装備 JR東日本E261系電車「サフィール踊り子」全車両に装備 新幹線E5系・H5系電車全車両 新幹線E6系電車全車両 JR東日本E657系電車両先頭車(1・10号車)とグリーン車(5号車) 近鉄50000系電車「しまかぜ」全車両 東武500系電車「Revaty」全車両 新幹線E7系・W7系電車グランクラス(12号車) 12号車も含めて全車両にセミアクティブサスペンションを搭載。なお、12号車のものはフルアクティブサスペンション故障時のバックアップ用である。 JR九州77系「ななつ星 in 九州」編成両端(1号車:ラウンジカー兼電源車・7号車:デラックススイート) JR九州の寝台列車「ななつ星」に充当。 新幹線N700S系電車グリーン車(8 - 10号車) 上記以外の車両にはセミアクティブサスペンションを搭載。 量産車では上記に加えて1・16号車(両先頭車)と5・12号車(パンタグラフ搭載車)にもフルアクティブサスペンションを搭載する。 近鉄80000系電車「ひのとり」プレミアムシート車(両端の先頭車)
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