鉄軌道構想
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1992年(平成4年)、仙台市は仙台市地下鉄南北線の泉区泉ヶ丘までの延伸を調査した。また、黒川郡の首長および議長で組織する「緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会」も、1993年(平成5年)度および1994年(平成6年)度に「新交通システム事業化計画調査」を行い、泉中央駅から北上して仙台北部中核工業団地に至り、そこから東に向かって大郷町を経由し、さらに南下して宮城郡利府町のJR利府線の利府駅に接続する約40キロメートルの区間を調査・検討した。しかし、開業目標の2020年(令和2年)に黒川郡の人口が13万8559人まで増加すると仮定しても、最も人口が集中する富谷町(当時)の区間でさえ採算がとれないとして、延伸構想は棚上げされた。 2002年(平成14年)2月、黒川郡4町村が2025年(令和7年)には20万9873人まで人口が増加するとの仮定の上で、軌道を中心とした郡内の公共交通機関の将来像の報告書を公表した。その報告書では、最も実現性が高いとされた泉中央 - 泉ヶ丘 - 大衡の建設費が、地下鉄南北線延伸で530億円、ライトレール新設で468億円であり、これに大郷町や利府町を何らかの形でつないで循環するとした。しかし、仙台市は1999年(平成11年)に「アクセス30分構想」を策定して、都心回帰やコンパクトシティを志向するようになっており、地下鉄南北線延伸には消極的だった。 仙台北部中核工業団地やその周辺では、2007年(平成19年)にセントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本)が進出を表明すると、関連企業や電子機械工業の進出が次々発表された。2009年(平成21年)に開催された「緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会」の同年度総会で、企業の従業員の足を確保するためとして、2002年(平成14年)公表の報告書で示された構想の推進を各首長などが求めた。しかし、宮城県も仙台市も費用対効果を疑問視して、この構想の推進に否定的だった。2015年(平成27年)の富谷町長選挙において、泉中央駅から富谷町までのライトレール設置を公約に掲げた若生裕俊が当選したが、この公約は仙台市との具体的な話し合いに基づくものではなかった。 このような中、2019年に富谷市は都市・地域総合交通戦略(基本構想)を策定し、2020年には都市・地域総合交通戦略総合(基本計画)として仙台市地下鉄南北線の泉中央駅から富谷市明石台地区までの約3.4km区間を最重要課題と位置づけ、地下鉄整備またはガイドウェイトランジット整備を掲げている。2021年には地下鉄整備に向けて、地下鉄整備を想定した際の基本計画や費用便益分析、PFI方式による整備手法の検討調査を行っている。
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