配布媒体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 01:25 UTC 版)
「ZX Spectrum」の記事における「配布媒体」の解説
多くのSpectrumソフトウェアはカセットテープで販売された。Spectrumは、ほとんどどのようなカセットテーププレーヤーでも使えるよう設定されており、音声再生の忠実度が様々だったにも関わらず、ソフトウェアのローディングは極めて信頼性が高かった。 ソフトウェアは、テープ上で符号化され、再生してみるとモデムの音のように聞こえる。ZX Spectrumの符号化方式は非常に原始的だが信頼性が高く、パルス幅変調に似ているが一定のクロックではなかった。パルスの幅によって 0 と 1 を表している。「ゼロ」は244μ秒のパルスで表され、その後に同じ幅のギャップが必ず存在する。従って合計で 489μ秒となる。「1」のパルス幅は二倍なので合計で 977μ秒となる。このため、一秒間に記録できるのは 1023個の「1」か、2047個の「ゼロ」である。0と1が1:1で混在していれば、平均的な記録速度は 1365bpsとなる。ROMルーチンを使わずに独自に機械語でプログラムを書けば、もっと高速な記録も可能だった。 理論上、標準の48Kのプログラムは、ロードするのに約5分かかる。49152バイト × 8 = 393216ビット。393216ビット÷1350ボー ≒ 300秒 = 5分。実際には、48KBのプログラムのロードには 3~4分かかり、128KB をロードするには 12分以上かかった。ベテランユーザーはテープを再生するだけで、機械語なのか、BASICプログラムなのか、画面イメージなのか等、その種類を当てることができたという。 ローディングのための典型的な設定は、音量を3/4程度にして、高音(Treble)を100%、低音(Bass)を0%にするというものである。ラウドネスやDNRなどのフィルターは切っておく必要があり、Hi-Fiプレイヤーは適さない。この用途に最適化されたレコーダーとしてタイメックスのものなどがある。 ZXマイクロドライブは登場したころは好評だったが、カートリッジの品質と違法コピー防止が困難であることなどへの懸念から、配布媒体としては主流にはならなかった。そのため、カセットテープを補完する形でのリリース媒体として使われ、ゲームがマイクロドライブだけでリリースされた例はない。 ZX Spectrum +3 が登場すると、1987年から1997年までに700タイトル以上がフロッピーディスクを媒体としてリリースされた。 テープに加えて、ソフトウェアは活字メディア、雑誌、本を通しても配布された。このとき使われた言語は Sinclair BASIC である。読者はプログラムを手で打ち込み、カセットテープに保存した。この手のソフトウェアは地味で遅いものが多かったが、すぐに雑誌などにはチェックサム付きの機械語のリスト(十六進法)が載るようになった。 特殊なソフトウェア配布方法として、ラジオやテレビの番組があった。例えば、ベオグラード、ポーランド、チェコスロバキア、ルーマニアなどで、司会者がプログラムの内容を説明し、視聴者にカセットテープレコーダーをラジオまたはテレビと接続するよう指示して、音声としてプログラムを放送した。もうひとつの特殊な方法は、ソノシートを使うものである。このソノシートは「フロッピーROM」と呼ばれ、フランスの雑誌で使われた手法である。
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