運用形態と慢性的な遅れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 10:19 UTC 版)
「タイ国有鉄道」の記事における「運用形態と慢性的な遅れ」の解説
主要路線の快速以上の等級の長距離列車は、ほぼ全ての列車がバンコク近傍のクルンテープ駅構内(主に気動車)、バンスー機関区、トンブリー機関区等の各車両基地を拠点として運用が組まれており、地方の車両基地を運用拠点とした長距離列車の運用は殆ど組まれていない。 そのため、従前のダイヤ設定では殆どの列車が終着駅ですぐに折り返してバンコクに戻るダイヤとなっており、600kmを超える長距離運用であっても折り返し運転に際しての整備、点検や給油のための時間は30分ないし1時間ほどしか組まれていなかった。すなわちダイヤ構成上、往路において列車に遅れが生じた場合に、折り返し時間に余裕を持たせることで復路の運用に影響を与えないための配慮は全くなされておらず、この様な無理な運用組成が慢性的な列車の遅れを生じさせる一因となっていた。この状況は2014年4月以後、各路線でダイヤの見直しが継続されてきたことと、北本線および東北本線における線路規格の改良工事が2015年度内にほぼ完了したことによりこれらの路線を中心に大幅に改善されてきている。しかし、その他に遅れを生じる主な要因として、バンコク近郊区間での踏切の取り扱い(バンコク近郊区間の主要道路の踏切においては渋滞対策として鉄道よりも道路が優先されている)の問題が深刻な課題である。また国鉄への信号・通信設備の近代化更新予算の政府承認が長年にわたって通らずにいるため、旧式の設備に依存せざるを得ない状態が慢性化しており、この状況が運用効率の向上を阻んでいる側面もある。 一方、ナコンラチャシーマ駅、トゥンソン駅、ハジヤイ分岐駅には、機関区が併設され存在する。これらの機関区の本来の役目は貨物用や勾配区間用の機関車の管理、検修であるが、区によってはそれぞれの区が受け持つ地方路線のローカル列車の運用および車両の日常的な検修も担当している。(大掛かりな修理等を行う場合はバンコクのバンスー,マッカサン等の各工場に入場する) 地方の機関区を拠点に運用されるローカル列車は、長距離列車に比べて遅れが生じにくく、通勤,通学等の需要にも比較的信頼性をもって応えている。 こうした事情から、タイ国鉄では軒並み下り列車よりも上り列車の方に、また地方のローカル列車よりも地方とバンコクを結ぶ長距離列車の方に、より大幅な遅れが生じる傾向がある。特に南本線や北本線など、長距離路線の上り快速列車は4時間以上もの遅れを生じることも珍しくない。そのためタイ国政府観光庁などは、外国人旅行者に対して、帰国当日や前夜発の夜行列車での移動は避けるよう注意を呼びかけている。
※この「運用形態と慢性的な遅れ」の解説は、「タイ国有鉄道」の解説の一部です。
「運用形態と慢性的な遅れ」を含む「タイ国有鉄道」の記事については、「タイ国有鉄道」の概要を参照ください。
- 運用形態と慢性的な遅れのページへのリンク